新しい総大将達
ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!
生生世世の後を着いて行くと、大毒沼の前に中央辺りまで埋め立てられてそこに墓が立てられていた。
先に手を合わせている、人の姿をした狸の妖怪っぽいのがいるな。
俺達が近寄っても一生懸命に拝んでいてこちらに気が付かない。
「シオン!
エライ人来たよ! ドケ!」
「ごめんね母さん、偉い人って?」
シオンと呼ばれた少年は眠たそうな目で俺の方を見つめはあと、ハッとしてその場で膝を付いて頭を下げる。
「我が父隠神刑部と共に、あの憎くき女狐を葬った恩人様ではありませんか。
母さんはあまりこちらの礼儀作法を知らずに失礼な事をしたかもしれませんが、悪気は無いので許して頂きたい」
ん?
なんで俺が恩人扱いされてるんだ?
隠神刑部が離反した目的が玉藻前だとは知っているが、俺は兵を率いて、討伐に向かったんだけどな。
それに、事情を知らなかったとは言え、俺の手で瀕死にまで追い詰めたんだが……
よく分からんが、好意的に受け取って貰っているのなら俺もそれを受け入れよう。
「その様に畏まらなくても良いぞ。
見た感じお前はまだ幼い。
それに、母親を悪くいうものではないぞ?」
「承知致しました。
母さん悪く言ってごめんね」
「ダメ! エライ人の言った言葉マモレ!
カタクルシイ、コトバ、しゃべるナ!」
「母さん!」
「構わん。
母親同様に楽な話し方をせよ、敬語も使わなくて良い」
「ええ……
しかしそれではあまりに無礼……」
「儂が許すと言っているのだ。
お前の本来在るべき姿を見せてみよ」
「わ……わかった。
それじゃあ、父さんと同じ様に親父殿と呼んでもいい?」
「良いぞ」
「ありがとうございます」と頭を下げた後、生生世世と顔を見合わせて微笑む二人は可愛げのある屈託のない笑みを返し合っていた。
なんか、見た感じ年齢も近いし親子と言うか……
兄妹みたいに見えるんだよな。
しかも母親の生生世世が妹に見える。
「つかぬ事を聞くが、生生世世は……見た目が変わっておるな?」
「ミタメ変わっても世世は世世ヨ!
エライ人も世世とかセッチャンって呼んでイイヨ!」
「そうか、世世よ。
何故見た目が変わったのだ?」
「隠神様は生生世世という名前つけてクレタ!
ソノ名前に助けられて世世は生まれカワタヨ!」
要するに、前世の記憶を引き継いで転生した訳か。
しかし、前世の記憶が残ったままと言う事は……
職業は変わってねえかもしれねえが、種族は変わってるだろうしスキルや、持っていた耐性なんかはどうなってんだ?
転生の条件は分からんが、もし前世の能力も引き継いでるって言うなら使えるし研究するのも悪く無い。
「世世よ、前世での力は残っておるのか?」
「ゼロよ!
また精霊術士のシュギョウ、イチカラヤッテルヨ!
デモパワーアプしてイル!
ちゃんとビョーキにキク術使えるヨウにナタヨ!」
パワーアップと聞いて少し期待したが、確か病気を治せないのは黒魔族の種族体質みたいな奴だったよな?
つまり、種族が変わってその制限が外れただけじゃねえか。
転生してもあまりメリットは無さそうだな。
「それは良かったな。
シオンと申したな。
この里の管理者に会いたいのだが、案内して貰えるか?」
「親父殿の前に居る俺が、この里の長。
霞の里の総大将紫音だよ」
「それは悪かった。
すまんな、儂の無礼を許せ。
この里を発展させたのは紫音と言う事か?」
「うん、父さんの残してくれた里だもん。
綺麗にして母さんを守らなきゃ」
「コラッ!
子供がナニイッテルンダ!
シオンは母さんがマモルヨ!」
紫音は苦笑いを浮かべて「母さんありがとう」と返事をしている。
なんかこいつら見てるとホッコリした気分になるなぁ。
俺も隠神刑部の墓に手を合わせた後。
「励めよ」と言って来た道を引き返し、空無河童で一色重盛を送ってやってから自分の城へと帰って来た。
霧雨の里に居た朱瓜達は組織っぽいしいいんだが、霞の里に居た紫音に妖怪の兵を集めて置けと言うのはちょっと嫌な気分だな。
まあ、総大将になったからには、俺の命令には従って貰う。
忍者を呼び、来るべき戦に備えて腕を磨き、妖怪の兵を集めておけと二人の総大将に伝えさせた。
後は、二つの里の者同士に遺恨が残ってんだよな。
どうにかして仲直りして貰いたい所なんだが、いい手は無いものか?
そうだ、二つの里を合同させよう。
ただ里同士を合同させても里同士が山を隔てているから、あまり変化はないだろうし、二人の総大将を引き合わせて結婚させてみるか。
と言っても、流石に嫌々結ばれて欲しいとは思わないので、まずはお見合いからだな。
忍者に明日、俺の前へ来るように二人の総大将に伝えさせる。
隠神刑部と玉藻前は俺が互いに争わせていたから仲が悪かったが、案外今の総大将二人が顔を見合わせたらくっついてくれるかもしれないな。
紫音はまだ幼いが、モテそうな顔だったし、朱瓜に関しては母親に勝るとも劣らない美人だったからな。
まあ、結婚話には至らなくても、ちゃんとした和睦を結んで時間と共に手を取り合う様になってくれれば良い。
二人が対面するのを想像して少しワクワクして来たぞ!
ワクワクしたら腹が減ったな。
夕陽が空を赤く染めるのを見ながら、料理人達に夕餉の準備を頼んだ。




