闇皇帝は策謀にどっぷり浸かりたい
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はっはっは。
愉快ゆかい。
ショコラの奴荒れてるな。
九体の神霊を呼び出し、味方の妖怪も巻き込んで広範囲にわたって攻撃を仕掛けている。
ひょん太郎も暴れたいはずだが、ショコラのサポートに回っているみたいだな。
ショコラに敵が近づいたらヘイトスキルを使ってしっかりサポートしている。
ショコラの攻撃によってあっち側の龍も逃げ回っているし、城が落ちるのも時間の問題だな。
「御屋形様、あれを」
雪之丞が視線を送る先に隠神刑部が居た。
あの戦火を掻い潜り、前線迄やって来たか。
「御屋形様、あれを殺してしまっても?」
「構わん!
今度は捕まったりするなよ」
「今度は負けないっす!」
嬉々として雪之丞が飛び出していった。
相当強くなっているはずだが、隠神刑部はその雪之丞と真面に打ち合っている。
守りに徹している様にも見えるし、俺から遠のいて行く所を見ると誘導されているのか?
俺は前線に居る玉藻前を下がらせてこっちに来るように指示を出す。
ショコラの攻撃に巻き込まれないとも限らないし、俺の護衛をやらせよう。
「どうした?
もう妾は休んでいて良いのか?」
「まだまだ殺したりぬと言った顔をしておるな。
儂の護衛に回れ。
前線にいる妖怪は下げる必要は無い」
「分かった。
それより、お前様に何か叫んでる者がおる様じゃが、放って置いてよいのか?」
ん?
視線を落とすと、一西政宗がこちらに向かって何か叫びながら歩み寄って来ている。
こいつは何もせず右往左往していただけで、何がしたいのか良く分かんねえな。
裏切るつもりも無いのか?
「陛下!
何故我が民……一西の国の民を葬られた?」
「お陰でいい景色になったであろう?
それより、あれを見てみよ」
城の方はより一層暗雲が濃くなり、妖怪共が活気づいている。
何が起こるのかと一西政宗と見ていると、城と変わらぬ大きさの狸の化物が現れた。
隠神刑部は雪之丞と戦っているはずだが、あれはなんだ?
しかもかなり強く、玉藻前の妖怪達ではまるで歯が立たない。
だがショコラの集中砲火を喰らっているしあれが落ちるのも時間の問題だ。
「一西政宗。
お前はあれと戦い、深手を負わせたのだろう?」
俺が笑いながらそう声を掛けると、顔の青ざめた一西政宗が刀を抜いた。
「玉藻前殿……」
こっちに向かって走って来たので、俺は銃を手に取って一西政宗を攻撃した。
こいつはボスタイプだし、簡単には死なないがガンプレイを交えつつ、どんどん銃弾を撃ち込んでいく。
玉藻前も加勢し、一西政宗は崩れ落ちた。
玉藻前を攻撃しようとしていたみたいだし、誑かされていたみたいだな。
「玉藻前、こいつが死んで良かったな」
「何を言うておる?
彼奴に取ってこれが初めての戦じゃろう?
気がふれて奇怪な行動を取ってしまったというだけじゃろう」
平静を保っているが、僅かに声が震えている。
玉藻前が、裏で一西政宗を躍らせていたと考えると色々と辻褄があってくる。
そして、隠神刑部はそれを利用しただけと言う話し。
あわよくば俺に玉藻前を処刑させる算段だったかもしれない。
玉藻前に取っては誤算だったのか、潤んだ瞳で俺をじっと見つめて来る。
面白いので今は許してやろう。
罰を与えるかどうかは戦争が終わってから考える。
戦火の中から一人の男が妖怪に纏わりつかれながらもこっちへ向かい走って来る。
あれは……あの姿は一色重盛!?
生きていたのか。
妖怪に纏わりつかれながらも、俺の目の前まで一色重盛はやって来た。
「その纏わりついているのを剥がしてやる。
動くでないぞ」
銃を構えた瞬間に、超スピードで一色重盛は俺の懐へと潜り込み、直後に腹部から痛みが走った!
俺の進化したカウンタースキル【闇皇帝バウンド】によって一色重盛は大きくノックバックする。
一色重盛とは言え、俺に攻撃を加えた以上容赦なくコンボを決める。
銃弾に打ち抜かれた一色重盛は大きな笑い声を上げながら俺に語り掛ける。
「親父殿!
楽しいな!」
「隠神刑部!?」
妖怪を纏わせていたのは俺にバレない様に態とだったか。
しかし、一色重盛に化けていた隠神刑部は死んでしまったぞ?
今度は隠神刑部が二人の女代官を連れて堂々とこちらに向かって歩いて来る。
人質のつもりか……?
「はっはっは、親父殿。
これが八百八狸、隠神刑部の戦い方よ。
この娘達は親父殿に伝えたい事がようだ。
聞いてやってくれ」
「儂に……か?
聞いてやる、申してみよ」
俺から離反した二人の女代官が俺の懐へと駆け寄り、再び腹部に痛みが走る……
クールタイム中なので俺のカウンタースキルは発動しない。
女代官は二人共なんらかのスキルを使って俺を攻撃したみたいだ。
手足に行動を阻害する櫛が刺さり、樹木が俺の体に巻き付き、花を咲かせている。
「櫛名田雪姫、許乃波奈佐久夜。
儂はお前達二人を、姫達同様に実の娘の様に可愛がっておった……
こうなった以上、儂はお前達を殺す。
何か言い残す事はあるか?」
「西治真中草子……遺言を残すのはあなたの方です!」
許乃波奈佐久夜がそう告げた直後に、俺の周囲が輝き、光の箱の中へと閉じ込められてしまった。
なんだこれは?
体が少し重い。
力に制限を掛けられた様だ。
「姫様達による悪を封じる結界です!
いつからあのお優しい殿に成り代わった!
外道が!」
涙を零して二人の女代官が俺を睨みつける。
成程、そう言う解釈をしているわけか。
別に俺は変わってなどいないんだけどな。
やはり色々と種を仕込んでおいて良かった。
楽しい。
そして、とても悲しい。
俺は優しかった将軍に成り代わった鬼として振る舞わなければならないじゃないか。
ボスタイプの真骨頂を発揮!
邪悪なオーラを解き放ち、姫達が俺に施した封印を解除する。
「よくぞ儂の正体に気が付いた。
それを知ってしまったのなら、生かしてはおけんぞ?」
二人は臆す事無く俺に攻撃を加えようとするが、その攻撃は俺には届く事は無かった。
「どういうつもりだ?
玉藻前」
「お前様に攻撃を加える愚か者に止めを刺したまでじゃ。
恨まれる様な事をしたつもりは無いぞ」
残った隠神刑部を見つめながら俺は「確かに」と大声を上げて笑う。
「流石は親父殿。
この程度では大した傷にすらならないか」
俺は隠神刑部を撃ち殺す。
八百八狸とか言っていたし、まだまだあいつは生きているんだろう。
「もっと楽しませてみろ!」と叫んで周囲の様子を確認する。
今度は日葵に化けて出て来るか?
新しい隠神刑部が連れて来たのは三人の姫と、最初に作った発掘隊の五人?
戦力にもならないのを連れてきてどうするつもりだ?
「玉藻前、姫達を殺すなよ?」
「畏まった。
それでは今回は手は出さぬ」
こいつも楽しそうだな。
何か企んでいるのか?
「あなたにお聞きします。
本当のお父様は何処に居られるのですか?」
武力行使を止めて、泣き落としでもするつもりか?
隠神刑部も楽しんでくれている様でなによりだ。
「はっはっは、儂が西治真中草子その人じゃ」
「お父様を……殺したのですか?」
「そう言えば、命と引き換えに三人の娘を守ろうとした者がおったなぁ。
あっはっは。
死んで黄泉の国で会うてみるか?」
五人の発掘隊だった奴等が姫達を守る様に、俺の前へと立ちはだかった。




