隠神刑部との交渉
ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!
新しい足袋を新調してご機嫌のルンルン気分だ。
良い料理人は見つけたし、後は雪之丞達があいつ等の情報を持って帰ってくるのを待つだけだな!
ん?
あれはショコラか。
一人庭で何を……あれは?
「ショコラ。
その鷹は?」
「ご主人様!
雪ちゃんが!」
ショコラが読んでいた手紙を見るとこう書かれてあった。
『異形の者の姿あり。
我、命危うし。
ごめんなさい』
どういう事だ?
他の奴等は?
「ショコラ、雪之丞に声を掛けられただろ?
着いて行かなかったのか?」
「声なんて掛けられてないよぅ」
「出てこい忍者共!
説明しろ!」
「御屋形様、我等が頭領は一人で出て行かれました。
後を追った者もおりますが、誰も追いつけぬので……」
異形の者と言うのは隠神刑部か。
関りがあって雪之丞が危機に陥る程の者となれば、それくらいしか心当たりが無い。
「忍者は数人のグループを作って捜索にあたれ。
見つかれば全滅する可能性がある。
手掛かりをつかむ度に伝達しろ」
「御意!」
「ショコラはひょん太郎とバタカフェを集めて待機していてくれ。
情報が揃ったらすぐに雪之丞を追う。
俺は玉藻前に話をしに行く」
「わかった!
それじゃあ、河童ちゃんの前で待ってるね!」
俺は玉藻の国へと飛び、城に居る玉藻前の前へとやってきた。
「隠神刑部を殺す。
お前も手伝え」
「すまぬ。
訳合って妾は動けんのじゃ」
「先にお前を殺すぞ?」
「よよよ、話を聞いておくれ。
実は妾は今、子を身籠っておるのじゃ。
だから激しい戦闘には参加できん」
「そうか……
それなら仕方ないな。
子が生まれたら報告しろ。
祝いの品の一つでも持ってくる」
「有難き事じゃ。
役に立てんで悪いのう」
「気にするな。
また来る」
肝心な時にポコポコ子供を作りやがって!
まあいい。
隠神刑部の相手は俺がすればいいだけの話しだ。
見つけ次第ぶっ殺してやる!
城へと戻り、空無河童の小屋へ行くと、既に皆集まっていた。
忍者を呼んで状況を確認させる。
最初に作った発掘隊がいきなり、リスポーンしたらしいので、尋問した所、雪之丞と戦ったらしいと言う事が分った。
話から場所を割り当て、向かった所で捜索中の忍者が戦闘が行われた場所を発見。
そこから走った後があったので、現在それを追っているとの事。
予想される目的地は、不明だが西治の国の方角だな。
時間は掛けてられねえし、西治の国へと飛んで俺達も後を追う。
久しぶりに帰って来たな。
忍者が追っている場所はここから北東へ向かった場所の森、あの辺りには森以外何も無いはずだが?
とりあえず、俺達は忍者達が追っている方角と逆方向から挟み撃ちにする様にして向かう。
探索能力に長けた斥候部隊も連れているので、人間を見逃すと言う事は無い。
森の中を突き進んで行くと、追っていたはずの忍者達と出会う。
「見つかったのか?」
「いえ、途中から足跡を消されて追う事は困難。
現在範囲を広げて探索中で御座います」
「そうか、ならこの森の中で隠れているだろう。
俺達も森の中の捜索にあたる。
情報は見つけしだい寄越せ」
「御意!」
森を探索していると、斥候部隊の一人が普通の獣とは違う毛を見つけた。
そこからある程度進んだ方角を割り出し、その方角へ進んで行くと、大きな洞穴があった。
暗闇で洞窟か。
「バタカフェ。
フェニックスの明かりで中の視界は確保できるか?」
「問題ない。
光の魔法も使えるから視界の心配はいらない」
「進むぞ」
俺達は洞窟の内部へと侵入し、物陰を警戒しながら突き進む。
斥候部隊が何かを見つけた様だ。
「何を見つけた?」
「これを……」
枝切れみたいなのを渡されたがなんなのかさっぱり分からん。
首を傾げていると斥候部隊の一人が説明を始めた。
「それは雪之丞さんの持っていたスルメと思われます。
違っていたとしても、こんな場所でスルメが落ちているのは不自然ですし何かある証拠です」
「そうか、他に手掛かりも無いし先に進むぞ」
そう言えば雪之丞はそんなもんばかり食べてるって言ってたな。
洞窟の先へ進むと小動物が結構いるみたいだ。
蝙蝠と鼠に色々な虫がいる。
ちょっと気持ち悪いが、構う事は無い。
しかし、そうも行ってられない相手も出て来る。
これは化け鼠か?
MOBだろうし、ショコラの魔法で片付けて貰った。
その後も頻繁に大きなダンゴムシの様なMOBやコオロギみたいなMOBを倒しながら洞窟の中を突き進んで行く。
プレイヤーはいないが、こんな所にもちゃんとMOBを配置しているんだな。
実際俺達は足を踏み入れる事になったし、意味はあるんだろうけどな。
洞窟の奥まで行くと広い空間に出る。
そして、そこには縛られて身動きの取れない雪之丞と隠神刑部の姿があった。
「親父殿、交渉がしたい」
「駄目だ。
今すぐ殺す」
「待ってくれ親父殿。
ここには某一人しかいない。
警戒せずとも親父殿であれば、某など相手にならぬ。
この娘は無事だ。
戦ってついた傷はあるが、命に危険は無い」
「聞いてやってもいいが先に雪之丞をこちらに引き渡せ」
「それは某が困る。
引き渡せば話もきかず、一切の容赦なく殺されてしまう。
それでは困る」
「よく分かっておるではないか。
話を聞いてやろう」
「今追っている清十郎と狂史郎と言う若者達の事を追わないでほしい。
柵から逃れ、楽しく過ごしたい。
彼等の願いはそれだけだ」
「あ奴等は儂の可愛い姫達も攫ったのだぞ?」
「血は繋がってないのだろう?
それくらい良いではないか。
旅をするうちに、某もあの者達を見守ってやりたいと願った。
聞き入れてはくれぬか?」
「いいだろう。
所でそれは妖術か?」
「流石親父殿。
気づかれたか」
隠神刑部をよく見ると、ネームプレートに隠神刑部の分身と書かれていた。
「儂の目は節穴では無い。
それくらいの事は見抜ける」
「ならば長いは無用。
これにて御免」
ポンっと煙を立ち昇らせて隠神刑部の姿が消えた。
縛られていた雪之丞を開放する。
「失敗したっす……
ごめんなさいっす」
「無事ならいい。
帰るぞ」
「あいつ等を追わないっすか?」
「約束もしたし一本取られた。
ここで追うのは情けない。
それに、あいつ等は仲が良いみたいだし姫達が帰りたいと望めば止める事も無いだろう。
どこに居るのかはわからねえけど、見守ってやるよ」
本音は面白いからもっとやれだ。
平穏に楽しく暮らす?
そんなわけは無い。
何しろあの清十郎と狂史郎の事だ。
俺への恨みは忘れているわけがねえ。
それに、隠神刑部もだ。
あいつは何か企んでいる。
新たに妖怪の国でも作っていつか城を攻めて来るかもな。
落ち込んでいる雪之丞の頭をポンポンしながら俺達は来た道を引き返し、城へと戻った。




