手段を択ばない者達
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朝っぱらから忍者に起こされて、俺に会いに来た奴がいるみたいだ。
誰かも聞いていないが、そんな奴は待たせておけばいい!
日葵に食事を持ってきて貰って急いで食べてから、片づけも終わったのでそいつを部屋へ通す。
「隠神刑部か。
何しに参ったのだ?」
「サムライバトルアリーナに興味が湧いた。
直接見て見たい。
案内して貰えるか?」
こいつ結構戦闘狂な感じか?
スポーツ観戦とか結構好きなタイプなのだろうか?
こんな朝っぱらからここまで来ているんだし、余程気に入っているんだな。
他に急いでやりたい事も無いし、案内してやるか。
地下施設の中へ連れて行くと、試合は中盤に差し掛かっている頃だった。
隠神刑部は興味深そうにそれを眺めている。
こうして見ると、可愛い所もあるんだな。
試合が終わったのを見て隠神刑部が俺の方を向いて口を開いた。
「この中へ入ってもいいか?」
「お前が試合に出るのは流石に無理だが、中へ入るくらいならいいぞ」
俺が隠神刑部を先導し、バフを狩る場所などの説明をして案内する。
ん?
妙な気配を感じ取った瞬間、隠神刑部の方を振り返ると、とんでもなく恐ろしい姿の狸の化物がそこに居た!
そして俺の首に噛みついて来る!
だが、カウンタースキル【悪将軍カウンター】によってノックバックと防御力低下のデバフを隠神刑部に与え、透かさず追撃のマグナム弾を撃ち込み、左手に構えたショットガンの銃口を突きつける。
倒すならNPCをデリートした方が確実で早いが、それをするのは勿体ない。
「ここでは攻撃が通ると気付いたまでは良かったが、儂を倒すにはまだまだ力不足の様だな」
「一撃で葬れると思った。
しかし見た目通りの人間ではない様だな」
「如何にも。
儂には鬼が憑いておる。
面白い余興であった」
「親父殿。
女狐にも気を付けおけ。
奴ももう動いている」
親父殿?
まあいいだろう。
女狐って玉藻前の事か。
動いてるってなんの事だ?
まあ、あいつも極悪と言っていい存在だからな。
何をしていてもおかしくはないか。
「どんな企みがあるんだ?」
「親父殿であれば遅れをとる様な事は無いだろう。
ただ、あいつは某の様な同胞とは違う者達を飼おうとしている様だ」
隠神刑部はそう言い残して此処を去っていった。
同胞以外……
そいつはまずいかもしれねえ。
プレイヤーを魅了して自分の傘下にいれてるとなると流石に放置する訳にはいかねえな。
それがNPCであれば問題ねえし放って置くが、プレイヤーは駄目だ。
最悪玉藻前を消さなきゃならなくなるかもな。
急いで空無河童から霧雨の里へと飛び、玉藻前のいる屋敷へと突入する。
そして、今まさに致している所へ出くわしてしまった。
相手はプレイヤーだな。
俺はプレイヤーに止めを刺す。
運営はこの事態をどう見ているんだ?
ただ単に色仕掛けを使っただけかもしれねえが、こいつには強力な魅了スキルもある。
ハマればリアルに被害が及ぶかもしれねえって程にやべえと思うんだが、運営はそこまで考えてはいないのだろうか?
まあいい。
流石に見過ごせない事態だ。
「嫉妬してくれたのか?
妾を抱いても良いぞ?」
「今後プレイヤーに手を出す事を一切禁ずる。
そして、躾が必要なようだな」
俺はフレンドリーファイアが無効になっているのを強制的に解除し、マグナム弾を撃ち込む。
こいつが死んでも仕方の無いくらいに本気でガンプレイを交えながら左手に持ったショットガンと共に打ち抜いて行く。
スキルを使ってその場に残像が残っている。
幻術を使って、回避しようとしているみたいだな。
しかし俺はボス属性になっているお陰でターゲットは見失わない。
雪之丞みたいに、目に見えない程の速さで動かれれば流石に見失うがな。
当然の如く俺は玉藻前を目で追い、リロードしたマグナムとショットガンの銃口から弾丸を吐き出す。
玉藻前は堪らず「お許しをおお」と叫んでその場に伏したので攻撃の手は止めてやった。
しかし油断はしない。
こいつの真骨頂は人の心を掌握する事。
どんな状態まで追い詰めても、一つでも隙を見せればそこへ付け入ろうとしてくるだろう。
「どうした?」
「妾が悪かった。
これ程お前様が怒るとは思ってはおらんかったのじゃ。
もうぷれいやー成る者には手出しはしない。
だから許してたも」
グスグスと鼻を鳴らして悲痛な声で俺に許しを求めてくる。
体もブルブルと震えて小さくなり、心底俺に怯えている……
そんなタマかよ?
こいつがプレイヤーにターゲットを絞っていた事は容易に想像出来る。
情報源は分からんが、こいつレベルの魅了のスキルがあるなら聞き出せるだろう。
それなら自分のした事の意味も当然踏まえてやっているに違い無い。
プレイヤーを飼ってLvを上げれば俺も殺す事が出来るかもしれないしな。
こいつのHPが後どれくらい残っているのかは分からんが。
もう一度くらい弾倉が尽きるまで攻撃を加えておくか。
加減をせず、弾倉に残っている弾を玉藻前にぶち込む。
「別にお前なんて死んだって構わない。
それに、忍者に化けた狐を寄越して来ただろう?
その時に儂はなんと言った?」
「うぐぐっ……
許してたも!
妾が悪かった!
次がないとは聞いておったが、人間相手ならなんとでも言いくるめられると思うておったのじゃ。
もうお前様を侮るような事はせんと誓う。
だから許してたもぉ……」
俺は近くに居た化け狐を玉藻前の目の前でデリートした。
「次は話す事すら許さん。
心しておけ」
俺は裸の玉藻前を置いて屋敷へと戻った。
あいつと致していたプレイヤーが羨ましい。
クソ!
ムラムラさせやがって!
とりあえず事故らない内に解除していたフレンドリーファイア無効を元に戻しておく。
それにしても、総大将の二人は面白いな。
隠神刑部が知らせてくれなかったら、ゲームオーバーにも成り兼ねなかった。
今度はどんな悪巧みをしてくるのか……
俺を楽しませてくれるなら裏切ってくれても構わない。
まあ、今回の事で少しは俺の事を認めてくれただろうし、しばらくは大人しくしてるかもしれないな。




