アイドル活動見学
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施設の中へ入ると様子が妙だな……
三人合わせて同じ曲の振り付けを練習している。
俺に気が付いた雪之丞が駆け足で近寄って来た。
「何覗いてんですか!
セクハラっすよ!
粛清するっすよ!」
「いや、頑張っているんじゃねえかと思って差し入れ持って来たんだよ!
それはそうと、三人一緒の振り付けなのか?」
「そうっす!
五人までならアイドルユニット組んでもいいみたいなんで組んだっす!」
「んー……」
三人で組むとなると、ちょっとまずいか?
思ったよりショコラもやる気みたいだし、三位以内になられると雪之丞とは結婚しないといけなくなるし、一位ならショコラとデートもしなきゃならん。
まあ、デートはどっちでもいいんだけどな。
それにひょん太郎も結構人気あったし、なにより目を惹く!
三人で組んだら雪之丞も本領を発揮するかもしれねえし、ちょっとまずいな。
公式のランキング形式を見直す。
ソロもユニットも同じランキングだが、それとは別に個人ランキングがあるな。
げええ!
ショコラの人気個人でも10位じゃねえか!
雪之丞は……よし、まだ100位にも入ってねえ!
これでユニット組んだら目立つし、ショコラが目立つと雪之丞も目立つ……
しかしショコラでまだ10位だ…‥
ヨシ!
「どうしたんすか?」
「三位以内になったらお前を娶るって話だったが、あれ総合ランキングじゃなくて個人ランキングな」
「いやいや、個人ランキング上位でもなんか貰えるみたいっすけど、話してた時に報酬が出来るのって総合ランキングの時の話しっすよ?
ボク達のアイドルユニットが三位以内に入ったら約束を果たして貰うっす」
「いいや駄目だね!
俺はアイドルとして上位三位以内って約束したんだ。
個人ランキングじゃなけりゃ駄目だね!」
「わかったっすよ!
それじゃあ個人で三位以内になってやるっす!」
「ああ、頑張れよ。
それと、他人の評価なんて気にすんなよ。
お前のダンス……良かったぜ」
あらら……
顔を隠して部屋の隅っこの方までいっちまった。
まあ、俺がもし逆の立場なら見られたくないもんな。
「ひょん太郎……一つ聞いていいか?」
「構わない」
「なんで……オカマっぽい喋り方してたんだ?」
「キャッチフレーズを見ればわかる」
そんなのあんのか。
それじゃあ公式で確認してみるか。
まず雪之丞からだ。
確かにあるな。
しかし雪之丞はまだ決まっていないみたいで、アイドル名のユキンコって名前だけ登録してあった。
ショコラは書いてあるな。
なになに……まずアイドル名がメイドのギルティ―。
キャッチフレーズが“ラブリー天使がご奉仕します!罪なメイドのギルティ―ちゃん”か……
きっつ。
それでひょん太郎のアイドル名は超絶美男子ハーキュリー……
キャッチフレーズが“本物の美貌を教えてあげる”か。
何の説明にもなってないんだが?
「なんだよ、本物の美貌を教えてあげるって……
怖くなってきたわ!」
「キャラ作りだ。
普通に誰でも作れるアバターで筋肉を自慢するより注目は得られる」
「そう言う事なら別にいいんだけどな。
実は俺の事が好きって落ちは止めてくれよ?
絵面が最悪だ」
「承知した」
せっかくだし雪之丞のも考えてやるか、それにユニット名はまだ決まって無さそうだし。
帰って来た雪之丞にポカポカ殴られながらも、一緒に考えてやる。
「伐折羅とかどうっすか?」
「なんで俺の前にやってたゲームのプレイヤー名なんだよ?」
「だって、みんな伐折羅様が好きで集まって来てるんすよ?」
「読みにくいし、パッとしないから駄目だ。
分りやすく罪雪男とかでいいじゃねえか」
「ご主人様ぁ♪
それダサーイ♪」
「俺もそう思った。
それじゃあ……Handsome sin Snowか sin SnowHandsとかでいいんじゃねえか?」
「ハンサムシンスノウ?
シンスノウハンズ?」
「お前等の名前から取ってるだけだ。
ハンサムな罪の雪か罪な雪の手みたいな感じになるが、どっちも意味は分からん。
音の感じで選んだらいいんじゃないのか?」
その後色々な意見を交わし、ユニット名は“罪を背負った雪男~看板娘もまっしぐら~”と言う意味不明なユニット名となってしまった。
どうしてこうなったのかは分からん。
それと雪之丞のキャッチフレーズも決まった。
キャッチフレーズはひょん太郎が決めたんだが“笑顔がキュートなユキンコちゃん!ハートで雪解け大サービス!”と言う感じになった。
ひょん太郎が何を参考にしたのかは分からんが、このワードが出て来るのは意外だったな。
まあ、無いよりは良いだろう。
これから三人で動画を取る様なので、追い出されてしまった。
完全に色物枠って感じになっちまったし、100位以内に入れば良いところだな。
正統派とか実力派って感じの奴等には勝てないだろう。
外に出ると、忍者が一人こっちへと歩いて来た。
「御屋形様、武士としてこの城で働きたいと申し出る者が参りました。
如何為さいますか?」
「募集はしていないが……
いいだろう、会ってやる」
俺は部屋へと戻り、志願して来た奴が来るのを待つ。
プレイヤーでは無いだろうし、誰なんだろうな?
町民がそんな事考えたりするのか?
このゲームならありそうだが……
「お通しします」と外から声を掛けて来たので、「よかろう」と返事をすると襖が開いて、見た事のある奴が入って来た。
こいつは確か……
仁帝神農に面倒を見させていた武芸に秀でた代官の妻の一華だったか?
息子の二人は小さかったはずだが、結構成長しているな。
武士に志願するのはこの二人か。
「お久しぶりで御座います。
この度は息子達を武士としてここで務めさせて頂けるよう頼みに参りました」
「清十郎、殿の為であれば手となり足となり、この命に変えても勤めを果たすとお約束致します」
「狂史郎、基、六道童子。
この命果てるまで、殿に仕える事をお許しいただきたく存じます」
六道童子は何で名前変わったんだ?
どうでもいい事だが少し気になる。
たぶん牛若丸的なあれだろうとは思うが、気にする事では無いな。
「でかくなったな童共。
一華、仁帝神農とはその後どうなった?」
「とても面倒見の言い方だったので、仲睦まじい間柄となっております。
息子達に剣術などの戦い方を基礎から教えて頂き、感謝の念を抱いております」
「そうか。
ならば何も言うまい。
二人を武士として儂に仕えさせて欲しいと言う事であったな」
パンパンと手を討ち、地下で戦い続けている武士の一人を忍者に呼んで来て貰った。
二対一で手合わせをさせ、二人の実力を見定める。
うん、武士が強すぎる。
刀すら抜かずに二人を捩じ伏せてしまった。
一日中戦い続けてる奴だから当然の結果とも言える。
面白そうだし、武士になりたいと言うのなら見習いから始めさせてみるか。
「まだまだ実力不足な様だが、見習いから始めさせてやろう」
忍者に武士達が戦っている地下施設へと二人を案内させた。
あいつ等にはドラマがあるからな。
戦える様になれば客からも人気が出るかもしれない。
未だに俺の首を狙う恨みの念は衰えていない様で嬉しい。
一華も帰らせたし夕餉の用意をさせるか。




