善意と悪意
ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!
朝か……雪之丞の姿は無いな。
アイドルイベントの練習に戻ったか。
この町でやっておく事もないし、俺も帰ろうかと思ったが、少しだけ整理していこう。
役に立って無さそうな遊郭の裏手にある幽霊の出る寺を取壊しにして、自警団の施設を設置する。
越後屋には税金を下げる様にと遣いを出したし、慈善活動でもさせて討伐クエストが発生しない様にしておくか。
教会を大きくして普通のシスターと信者を数人配置して、そいつらに越後屋の依頼と言う形で慈善活動をさせる。
これでかなりマシにはなるだろう。
元々教会には誅罰メーターの上昇を抑える効果があったし、グレードアップもしたからな。
さて、城に戻ってもう一働きするか!
次の仕事が以外にきついんだよなぁ……
馬を走らせて半日程で城へと辿り着く。
もう夕方だな。
忍者に聞き三人の姫の居る部屋へと足を運ぶ。
俺の作ったNPC達の性格や見た目は、細かく設定する事は出来ない。
だが、実は大雑把に性格と見た目は決める事が出来て、大体の奴等が忠誠心の高い悪人で容姿は一般的と言う感じにしている。
それ故に俺を裏切るような行動をする事は無い。
しかし、そう作らなかった奴等もいる。
地下格闘技場の戦士達は、欲深い悪人で容姿は強面といった感じだ。
俺を恨んでる奴がいてもおかしくはない。
そして三人の姫や、櫛名田雪姫と許乃波奈佐久夜に関しては、純情一途で善人、容姿端麗にしている。
つまり何が言いたいのかと言うと、悪将軍である俺とは根本的に相容れない設定にしているわけだ。
何故都合の良い性格にしなかったかと言えば、俺の理想通りに作ったらこうなった。
もっと言えば、そういう性格の人物であって欲しいと願ったからだ。
だって嫌だろ?
可愛らしい姫に越後屋とのやり取りみたいな感じになったら……
そんな姫より清楚で清廉潔白って感じの姫の方がロマンがある。
まあ、そんな姫だからこそ汚れていて欲しいって奴等もいるとは思うが俺はピュアだからな。
好みで無い!
そう言う訳でこれから種を仕込みに姫達のいる部屋へとやって来たわけだ。
三人の姫達が俺の事を「父上様」と呼んで慕って来てくれる。
愛い奴等め。
まあ、俺の子供じゃないんだけどな。
俺は姫達に優しく笑みを向け「いい子にしておったか」と言いながらそれぞれの頭を優しく撫でる。
「父上様、今日はどの様な御用で?」
「務めが忙しくてな。
疲れてしまったのでお前達の顔をに来てしまった。
一目見て元気になったからもう大丈夫だ」
「本当に大丈夫なのでしょうか?
少し御窶れになっている様ですし、顔色も悪く見えます。
お疲れでしたら、もう少しここで休まれた方が良いのではないでしょうか?」
「瑪瑙は優しい子だな。
翡翠と蛍も、そう不安気な顔では無く、いつもの様に可愛らしく笑っていてくれた方が儂は幸せだぞ?」
上手く察してくれたな。
その為に俺は今朝から何も食ってないし、いい感じに寝不足だからな。
そして俺は、少し蹌踉めいて、瑪瑙姫に支えて貰う。
「父上様! 大丈夫で御座いますか?」
「うむ、実はな……
謀反を企てている代官が発覚したのだ。
その者等は納めている町で、何も疑わぬ民を誑かし、調べた所、既に多くの者が行く道を違えてしまっておるようなのだ」
「謀反を起こすとはなんと不届きな……
その方達は父上への恩義も忘れたと言うので御座いますか?」
「言うな瑪瑙。
その者等にも事情と言うものがあるのだ。
儂が不甲斐ない故に起こった謀反であると、儂は捉えている。
人は償える、憎んではならん。
その者等の町へは既に兵を預けた代官達に、罪の償いをさせるよう命じた。
だがそれは間違いであったかもしれん。
温情の心で持って捕らえよと命じてしまったのだ。
戦いになれば多くの犠牲が出る。
血を流して来いと命じた儂が、敵に温情を掛けろなどと言ってしまった事を今更後悔しておるなどと……くっ……すまぬ。
情けない姿を見せてしまった」
水を染み込ませた布で目頭を押さえて、涙を流す演出をする。
一応俺の中では迫真の演技なんだから、騙されてくれよな……
「父上は優しすぎるのです!
ですが、きっと命じられた方々も慈悲深き父上の御心をお気づきになっているはずで御座います。
そしてそれが、何よりの励みになるのだと瑪瑙は確信しております。
皆、無事に元の生活へと戻り、過ちは正されるのだと信じております。
精の付くものなどを用意させます。
今日はそれを食べて、お休みになられて下さい」
「心配をかけてしまったな。
だが、多くの罪なき民が血を流すのだ。
それを思うと、何も喉を通らぬし眠ってなどいられんのだ。
だが大丈夫だ!
もうお前達から十分元気を分けて貰えたから、もうひと頑張り出来そうだ」
「無茶で御座います!
先程よりも顔色が……」
このタイミングで態とらしくバタンと倒れる。
受け身も取らずに倒れたから、かなり怖かったけどノーダメージだ!
瑪瑙姫が慌てふためいて、大声で誰かを呼んでいるな。
トタトタと走って部屋を出ていったのは蛍姫か?
翡翠姫は俺を仰向けにして、一生懸命容態を確かめてくれている様だ。
ドタドタと大人数の足音が廊下に響き、振動が伝わってくる。
予めこうなる事を忍者達に伝えて置いたので、布団に俺の体を乗せて寝室へと運んで行って貰う。
姫達には容態が悪いので、しばらくは対顔する事を禁止にするよう伝えさせる。
部屋へと連れて来て貰った俺は、パンパンと手を叩き、日葵を呼び、食事の用意をさせる。
ふう、ようやく食事にありつける。
一応顔色を悪く見せる為に、専用のアイテムを作っておいて事前に飲んでおいて良かった。
あれが無ければ不信感を抱かれていたかもしれん。
さて、準備は整った。
後は櫛名田雪姫と許乃波奈佐久夜が町を滅ぼして帰って来るのを待つだけ。
俺は日葵の持ってきてくれた食事を美味しく頂いて、次の策を練りながら眠りについた。




