働き者の将軍様
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ひょん太郎がアイドルイベントに登録した。
それは別に構わない。
やりたい事をすれば良いし、好きにすればいい。
しかし、こいつアイドルなんて出来るのか?
普段から無口だし、リアルで何食ってたか知らねえが、こっちの世界だと毒虫とか毒蛙を旨そうにしゃぶり付いてたからなぁ。
イメージが湧かねえ……
「それはネタなのか本気なのか?」
「本気だ」
「おう……応援してるぞ」
クスクスと笑う日葵と共にひょん太郎の背を見送った。
さて、まだ城でやりたい事もあるんだった。
まず、日葵には沢山の女中の部下を付ける。
大奥のイメージだが、皆仲良くする様に言い伝える。
そして、お城の花形である姫は外せないよなぁ!
実は将軍になってからアンロックされてたから気になってたんだよな。
俺の娘でもなんでもないが、とりあえず姫を作ろう。
民衆やら他のプレイヤーやらの期待に応えられる様な姫を作りたい。
まずは長女の瑪瑙姫。
才色兼備で三人の中でも一番背も高く、世話好きの頼れるお姉さんって感じだ。
二人目は二女の翡翠姫。
病弱と言う程では無いが体は弱く、短歌とかが趣味の文学少女的な姫だ。
三人の中では最も美人。
最後に三女の蛍姫。
元気いっぱいな少女で元気に庭などで毬で遊んでいる。
まあ、ポイントは抑えてると思うしこれでいいか。
姫達はこの西治城での役割など無く、ただのマスコットだが城のNPCからは可愛がられるだろうし、民衆達も慕うだろうからそれだけで存在する価値はある。
他に城に必要そうなもんは今んとこ思いつかないな。
さて……悪行も一つやっておくか。
まずは、更地が欲しい。
それも二つだ。
んー……此処にするか。
代官の朝比奈蘭丸の納める朝比奈の町と、同じく佐久間秀虎の納める佐久間の町。
この二つの町は丁度いい感じに山を挟んで隔たれている。
この二つの町を更地にしてしまおう。
ただ金を使って更地にしてしまっても面白く無い。
そこで我等が櫛名田雪姫と許乃波奈佐久夜に忍者やら毒士達を預けて滅ぼさせる。
今すぐには出来ないが、明日迎えをやって話をしよう。
そう言う訳で適当な兵士を呼びつけ、早馬を出す。
内容は明日迎えを出すので城に来いだ。
忘れない内に迎えの手配もしておこう。
しかし悪代官の時と違って色々と面倒だ。
組織を持つと足回りがどうしても悪くなるんだよなぁ……
これでも施設は一瞬で建てられるし、NPCも配置すれば一瞬でそこに沸くからリアルだともっと大変なんだろうけど。
ん?
サっと雪之丞が俺の前へと現れ、跪く。
「御屋形様、折り入ってご相談が」
「おっ今日は忍者してるな!
どうしたんだ?」
「はい、恥ずかしながらこの雪之丞。
作詩も作曲も出来ず、運動能力に優れていると言うだけでダンスが踊れるのだと勘違いしておりました。
御屋形様のお力添えを頂きたく、馳せ、参じた次第に御座います」
そういやそうだよな。
ショコラやひょん太郎もどうするつもりなんだ?
まあいいか。
とりあえず三人を煽り倒して小馬鹿にすんのも手だが、これもゲーム攻略の一環だし真面目に取り合うか。
「うむ、それでは儂が一肌脱いでやろう」
俺は城の外に大きな屋敷を立て、それなりに警備用のNPCも配置する。
その中にアイドルを育てる為に必要なNPCや設備をどんどん設置していく。
ゲーム内の世界観がファンタジーなので、現代風のアイドルってのは難しいがなんとかなるだろう。
適当に音楽が出来るNPCやら振りつけ出来そうなNPC、それに録音が出来る魔法の道具やそれらを専門に扱うNPCなどを配置してあるので、後は三人でなんとかしてほしいとこだな。
忍者達に伝え、ショコラとひょん太郎にも施設設置の馬を伝える。
「今伝えた場所に必要そうなものは用意した。
存分に励め」
「大好きっすー!」
瞬時に両腕を広げて近づいて来た雪之丞を躱し、地面に叩きつけてやろうと右腕を伸ばすと、あっさりとそれを受け止められ……
そのまま腕を固められそうになったが、残念だな!
ダメージは無いが判定はある。
悪代官バウンドから強化された悪将軍バウンドによって雪之丞は後方へノックバックし、更に防御力が一時的に下がるデバフを喰らう。
CTは伸びてしまったが、その分以上に俺のHPが上がってるので実質能力的には向上している。
「そう簡単に儂の腕を取れると思うでないぞ?」
「いやいや、抱き着かせて下さいっすよー!
大好きって気持ちをぶつけたいだけなんすから」
「さっきショコラにプロレス技を掛けられそうになったからな。
悪いが体が勝手に動いた。
それに、抱き着かれるとちょっとドキドキしてしまうから抱き着くな」
「ショコラさんが?
ちなみにどんな技を掛けられそうになったんすか?」
「首に飛びついてきたからヘビーローテーションネックブリーカーとかロザリオみたいなアクロバティックな技なんじゃねえか?」
「全然想像つかないっすけど、首に飛びついてきたんすね?」
「そうだ。
まあ、動きが全然甘かったけどな。
あれじゃ態と喰らっても極めれないだろうな」
「わかったっす!
それじゃあボク練習してくるっすね!」
行ったか。
雪之丞は体動かすの好きそうだし、プロレスと聞いて興味でたのかもしれねえな。
ショコラとプロレスごっことかしたらショコラが大変そうだな。
まあ俺の目の前でやらなけや問題は無い。
目のやり場に困るからな。
部屋へと戻って日葵に夕餉を持ってきて貰う。
二日連続宴で大味のもんばっか食ってたからな。
今日は落ち着いてちゃんとしたものを食べたい。
日葵の持ってきてくれた料理は天婦羅!
一つひとつが大きくて衣もカラっとしてて旨そうだなぁ!
天つゆに好きな薬味を入れて大きなエビに齧り付く。
これは旨い!
噛んだ瞬間に広がるエビの仄かな甘味が優しい磯の香に包まれてなんとも口の中が心地良い!
それに、プリプリの歯ごたえと噛みしめると出て来るエビの旨味!
熱々の天つゆには薬味と大根おろしが入っていて、油のしつこさを洗ってくれている。
塩でもいけるな!
天つゆと違って塩で食べるとガツンと香ばしい油の風味と、際立たされたエビの旨味が見事にマッチしている。
この風味だけで腹に溜まるボリュームを感じるが、旨いので箸が止まらんな!
他に山菜などの天婦羅もあるが、こっちを試してみるか。
長ネギの入った味噌汁。
ふむ、味は白出汁で味噌は風味の強い赤味噌か。
上品な味わいに仕上がってるが味噌のしっかりとした香りで天婦羅の強い香りをリセットしてくれている。
それに長ネギもシャキシャキしていて飲み込んだ後は口の中がサッパリしている。
今日の米は少し固めか、味噌汁と合わせると丁度良い感じにいけるな!
「見事だ! 日葵余は大変満足した! ご馳走様でした!」
久しぶりにちゃんとした手料理を食って大満足だ。
日葵の腕も上げってるし、ホント感謝しかない。
そう言えば大浴場を作って無かったな。
城の敷地内に風呂用の脱衣所を立てて……
おっ! 露天風呂もいけるのか!
早速露天風呂を作って作ったばかりの脱衣所へ行く。
襦袢姿の女中に服を脱がして貰い、いざ露天風呂!
景色が悪いのでちょこちょこっといじっていい感じのレイアウトにする。
適当に木とか置いたし手を付けていないので、あまり良くならんな。
それにしても、この露天風呂。
効能の代わりなんだろうけど、色々と効果があるみたいだな。
良く分からんバフが付いている。
風呂から上がった俺は早速庭師を配置した後、ポカポカの体で布団へと横になった。
なんか体がキラキラしているが、気にしないでおこう。




