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悪代官がチュートリアルってマジ?

ブクマ、評価、コメントあったら幸いです宜しくお願いします!

 すでに忍者達は城の中へと侵入し、門は解き放たれている。

 正面から門を潜り抜けると、場内にいる兵士達と忍者達が既にやりあっている。



 ショコラの魔法で殲滅しながら進むと多少手強い奴もいたが、後に控えている雪之丞(ゆきのじょう)を突破できるわけも無くあっさりと敵の武士達は倒れていく。

 どれが一色重盛(いっしきしげなり)と同格の奴かも分からん。



 暇なので弓兵相手にマグナム弾を放ち、一撃で倒したりもしながら城を上って行き、ついに将軍の居る部屋へと辿り着いた。

 


 「この先に将軍がいるのか。

  雪之丞(ゆきのじょう)、影武者の可能性はあるか?」

 「大丈夫っす!

  ちゃんと調べてあるっすけど、影武者の可能性はないっす!」



 (ふすま)を開けるとだだっ広い部屋に一人、それらしき人物がいる。

 あれが将軍か。

 設定上俺は会った事があるはずだが、別に知っている感じはしないな。



 「首を、もらい受けに参りました」

 「この儂に謀反(むほん)とはな。

  身の程を(わきま)えよ」



 「身の程を?

  (わきま)えろと?」



 俺は高笑いをして「切腹になさいますか? 介錯(かいしゃく)は必要ですか?」と()()ろし、その後も腹を抱えて笑ってやった。



 「下賤(げせん)な奴め。

  ただでこの首をくれてやる訳にはいかん。

  儂の首は高いぞ」



 刀を抜き身構える将軍に雪之丞(ゆきのじょう)が瞬時に距離を詰め、忍び刀の一撃を縦に振り抜くと、将軍はきっちりとそれを受け止めた。

 一抹(いちまつ)の不安を覚える。



 相手のLvは恐らく俺達と同じか少し下くらいに見ている。

 だが、将軍と言う職業……

 俺達と同じくチート性能な可能性は高い。



 だが、将軍は指揮系統の職業のはず。

 対人戦闘に特化している雪之丞(ゆきのじょう)とひょん太郎相手にそう長くは持たないはずだ。



 二人を(けしか)けて、俺とショコラで援護しながら戦う。

 ショコラも神霊を呼び出しているので、俺達にはいくつも重ねてバフが掛かっている。

 その上強力な魔法攻撃まで飛ばしている。

 俺達が遅れを取る様な理由が見当たらない!



 「押し切るぞ!」



 ひょん太郎の毒もちゃんと効いている。

 しかし、俺達の勢いは将軍の一撃によって止められる。

 反撃した将軍の一撃は凄まじく、風圧だけで屋根を吹き飛ばした!?

 


 物理的におかしいとかは置いてといて、これは……ボスか!

 普通のNPCとは違いボスとして将軍は存在している。

 幸いな事に即死ギミックなんかは無い様だが、ちょっと手こずるかもな。



 将軍は二人の兵士を召喚する。

 先手必勝とばかりに雪之丞(ゆきのじょう)が攻撃するが、この二人もボス扱いか。

 その内の一人が「敵はここぞ!」っと大きな声を上げると……クソっ!

 なんだこの(いびつ)不快(ふかい)な音は!



 耳鳴(みみな)りの様に耳の奥で警戒音が鳴り響き、更に不快(ふかい)不協和音(ふきょうわおん)がさっき大きな声を出した奴の方からずっと聞こえてくる!

 それに視覚もおかしい、そいつの姿以外が(ぼや)けて見える!



 ()まらず全員でそいつを攻撃するがこいつ硬い!

 全員の攻撃をきちんと受け止めてやがる!

 気が付くと前線に居た雪之丞(ゆきのじょう)とひょん太郎が吹き飛ばされていた。



 ショコラが回復しているお陰で無事なようだが……

 もしかしてこれはヘイトスキルか?

 他のゲームじゃ敵対するモンスターなどを惹きつける為のスキルだが、プレイヤーに対してはあまり有効では無かった。



 だが、このゲームの場合しっかり効果がある。

 早くあいつをどうにかしないとこのまま押し切られちまう。



 うん。



 そう思わせるだけの効果がある。

 しかし忘れてはいけない。

 俺達は全員廃人プレイヤーだ。



 あんなモロヘイト貰いますって奴に馬鹿みたいに攻撃を集中させたりはしない。

 


 先に叩くのはもう一人の方だ。

 そいつを倒したら次は将軍。

 邪魔になりそうなら先にやってもいいけどな。



 三人共このヘイトスキルを使った奴を攻撃しているな……

 どうしたゲーム廃人共と突っ込みたいが、こいつ等はそう言う奴等だ。

 戦闘が始まったら指示を出さない限りひたすら殴りたい奴に攻撃をする。



 この不快(ふかい)な音はその指示も阻害(そがい)する効果があるようだな。

 周囲の音が上手く聞き取れない。

 全く、良く出来ている。



 だが、俺はその上を行く!



 元々前線に出たらそれっきり帰って来ないタイプの奴等しかいないからな。

 あらかじめ金を使って習得した【号令(ごうれい)】と言う仲間であれば何処にいても指揮を飛ばし伝える事の出来るスキルがある。

 


 俺は号令(ごうれい)を使いもう一人の奴から倒し、倒し終わったら今攻撃している奴は無視して将軍の首を狙えと指示を出した。

 そして形勢は逆転する。



 敵の一人を討ち取り、将軍の首を狙い始める。

 様子を見ているが、ヘイトスキルの奴は防御重視の為か攻撃はまるで怖くない。

 将軍も火力は高いが大振りで、一撃攻撃する(たび)にヒヤリとするが俺達に当たる事など無い。



 回復に専念する必要が無くなったと見たのか、ショコラは二体の神霊を下げ、カーリーと別の神霊を召喚した。

 声が届かない為、何を召喚したのかは不明だが、見るからに前衛タイプか。

 


 将軍には魔法の効果が薄いのかもしれないな。

 それにしてもあれだけの攻撃を受けてまだ倒れないのか、将軍のHPは相当あるみたいだな。

 そうこうしている内にひょん太郎の毒が効いているのか、無視していたヘイトスキルを使ってた奴も顔を(ゆが)め始めた。



 せっかくなので止めを刺しておこう。

 再び将軍が二人を召喚するような事があっても、俺達の敵ではないし、今度は倒さない様にすればいいだけなので構わない。

 何よりずっと不快な音をずっと鳴らされているのは(たま)らん!

 虫唾(むしず)シャトルランだ!



 俺はガンプレイをしながらそいつに向けてひたすら攻撃を繰り出す。

 将軍の一撃は俺には届かないので気にせず棒立ちでリロードを繰り返しながら連射する。

 将軍にはショコラの神霊二体が張り付いているし、あいつも俺に構う余裕が無いからだ。



 クソったれのクソ野郎が倒れると、音が鳴りやむ。

 急に部屋が広くなったような感覚と、妙に音がクリアに聞こえて気持ちが悪い。

 なんか寒くなった感じまでするな。



 まあ、実際そんな事はないんだが。

 音が鳴りやむ直前に分った事がある。



 皆イライラしてて何かを叫んでいた。

 すぐに黙ったので何を叫んでいたのかは不明だが、ひょん太郎まで何かを叫んでいたのには驚いた。

 ショコラが間違いなくクッソ汚い事を言おうとしていたのだけは察する事は出来たが……



 「ちょっとぉ!

  そっちの奴倒すなら先に倒すってさっきのスキルで伝えてよぉ!」

 「なんでそんな必要があるんだ?

  なんで? なんでなんで?」



 ショコラは「もう!」っとプンプンモードだが、もう俺達には余裕が生まれている。

 将軍はHPが高いだけの脳筋だし、もはや相手ではないと分ったからな。

 新たに召喚もする様子も無い。



 じっくり見てみると、ショコラの新たに召喚した神霊にばかり将軍は攻撃しているな。

 あれはタンク寄りの神霊か、本当になんでも出来るな。

 あいつだけ回復させりゃいいし、この戦況がひっくり返る事はない。



 ひょん太郎は毒攻撃以外の時はグローブ付けて殴ってるんだな。

 ん?

 なんだあのグローブ。

 猫パンチじゃねえか!

 あいつ絶対あれ舐めプだろ!



 止めは雪之丞(ゆきのじょう)が後方から一撃を入れてついに将軍が倒れた!



 四人で「うおお!」やら「やったあ!」やら勝鬨(かちどき)の声を上げて勝利の余韻(よいん)に浸る。



 「いやー余裕だったな!」

 「御屋形様(おやかたさま)は見物してただけじゃないっすか!」



 「俺が居なかったら全滅してるわ!

  それにしてもヘイトスキル厄介だな」

 「やっぱりあれヘイトぉ?

  状態異常と思って治してたんだけどぉ♪

  全然効果なかったよぅ、ふぇーん♪」



 きっつ。



 「それはともかく、皆よくやってくれたな!

  これでこのヨギノクニは俺の手に落ちたと言うわけか――なぬっ!?」



 ガツンと頭に衝撃が走り、俺は新たに能力を得たようだ。



 悪代官から悪将軍へとクラスアップし、この城を手に入れた。

 プレイヤーに向けて俺からクエストを依頼する事も出来る様になったぞ。

 この国限定ってのが悩みどころだけどな。

 大してLvの高くないプレイヤーに然程(さほど)大きな期待は寄せられない。



 それも使い道しだいか。

 あと分った事が一つある。

 たぶん八つの国で一番弱いのがこのヨギノクニだ。

 恐らくここまでが悪代官スタートした俺のチュートリアルみたいなもんだ。

 三億かけて代官ってのは相応しくないと思っていたが、そう言う事なんだろ運営共。

 


 当然ヨギノクニ全ての町が俺の支配下になった。

 生き残っている代官が四人いるはずだが、あえて残しておいた方が面白いかもな。

 運営の思惑やらその辺りの事は後で考えるとして、まずは帰って宴だ!

 

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