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健全な商売あっての悪行

 さぁて!

 仕事だしごと!



 とっておきの奴思いついてたんだよな!

 フルダイブ型のゲームの宿命だが、どんなにキャラメイクに力を入れてもプレイ中は自分を客観視出来ない。

 つまり、自分のキャラクターとはある意味出会えないのだ。



 FPSと呼ばれる一人称視点のシューティングゲームだってそうだったけど、あまりキャラメイクは流行って無かったからな。

 このゲームはどうかと言えば、みんな結構(こだわ)りを感じる。



 西治一派(さいじいっぱ)面子(めんつ)もそうだが、みんなキャラメイク頑張ってんだよな。

 俺はどうでも良くなって悪代官っぽければいいと思って作ってしまったが、結果的にはそれで良かった。



 まあ、その話は置いておいて。

 つまり俺が何がしたいのかと言えば、観賞用のNPC達を作って接客させる!

 だがコンセプトがなければやった所で中途半端しかならん。



 なので、今回は獣人を中心とした健全なカフェを作ろうと思う!

 遊郭(ゆうかく)があるんだし、そっちとの差別化も兼ねてお触りは原則禁止のカフェを作る。 



 一応オプションで頭を撫でるくらいは可能にしておくか。

 システムはゲームだし全部前払いのチケット制でいいだろう。

 もちろんカフェと言っても、ゲームの中だし?

 チケット沢山くれたら隣に座らせてあげるけどね!



 と言う訳で早速作る。

 施設を立てるスペースが無かったので、唐栗屋敷(からくりやしき)を隣町へと引っ越してその場所に立てる。



 名前は分かりやすく獣耳(けもみみ)王国だ!

 獣人の可愛らしい女の子を沢山生産して配置して完了。

 


 ついでに江戸風の執事喫茶(しつじきっさ)として、家宰喫茶(かさいきっさ)も近くに立てた。

 働くスタッフはイケメンだが大体いい体をした武将風で髭の似合うナイスガイも多い。



 それと、もう一軒。

 三助喫茶(さんすけきっさ)だ。

 こっちは全員天狗系の美男子で、子天狗と天狗に接客させる。

 子天狗が生意気で不愛想だった事もあって心配だったのでちょっとだけ(のぞ)いてみる。 



 「はぁ……早速客か、何の用だ?」

 「なんだお前?

  俺がお前らの雇い主だぞ?」



 「偉そうにすんなよ人間風情が。

  まあ、座ったらどう?

  茶くらいだしてやる」

 「はぁ?

  めっちゃむかつくんだが?

  接客業なめてんのか?」



 「うるせー出不(でぶ)、下界はただでさえ空気清浄機なしじゃ空気は不味いのにお前がしゃべると空気が薄くなる。

  落ち着いて黙ってろ、あと発汗(はっかん)するな」

 「帰る!

  滅びろ!」



 子天狗だけかと思ったが、天狗あんなんばっかりかよクソが!

 好きでデブやってねえわ!

 この分だともう残り二つも不安だな。



 家宰喫茶(かさいきっさ)へと(おもむ)くと、丁寧に出迎えてくれる。

 やっぱ人間は良いな!

 それに品もあるしいい感じだ!

 珈琲(コーヒー)を入れて貰うと、これがまた旨い!

 とても落ち着くし、店内に掛かっている音楽も雰囲気をだしてていい感じだな。

 よし、次だ!



 獣耳(けもみみ)王国へ入ると、久しぶりに香や和風な匂い以外の匂いを嗅いだきがする。

 ものすごくフルーティーでシャンプーの香りが(ただよ)って来る。

 雰囲気も出ててなかなかいいんじゃないか?



 女の子達は可愛いし、さっそくチケットを使って隣について貰おう。

 どの子にするかな。

 なんでもいいや、適当に店員のおすすめの女の子を付けてもらった。



 隣に座ってくれたのは小さな子猫の獣人かな?

 小っさいな……



 「パトロンさんパトロンさんいらっしゃい。

  おのみものはどうなさいますか?」

 「おおぅ……それではオススメで良いぞ」



 「じゃあ、ワン……にゃんちけっといちまいと、かんぱいするための、ええっと。

  もうさんまいの、にゃんちけっとをいただけますか?」

 


 ふむ、慣れていないがちゃんと営業している様で何より。

 ワンチケットをにゃんチケットと言いなおしたまでは良いが、スリーチケットはにゃんチケットではないぞ。

 あと語尾ににゃんとか付けないんだな。

 俺はその方が好きだが、その辺りはここの店員に任せるか。



 「ようし、これで良いか?」

 「はい、ありがとございます。

  あぅ、ありがとにゃん!」



 うん!

 逆に良い味出しておる!

 庇護欲(ひごよく)に駆られる見事な接客だ。

 このまま慣れる事が無い方がいいかもしれんが、そうもいかないのだろうな。



 持ってきてくれたのは、紅茶。

 そしてこの子は凄く小さな器にミルクが入っている。

 うむ、可愛さが際立(きわだ)ち、悪く無い。

 普通こんな小さな器だと損した気分になるかもしれんが、全然許せる!



 「これ、あげる」

 「ほう、名刺か。

  タマと言う名前か、コロコロとした良い名だ」



 その後一緒に乾杯した後、紅茶を飲み干して店を出た。

 紅茶の味は普通だし、悪く無い。

 タマは小さな器に口を運びペロペロとミルクを飲んでいたのも新鮮でなかなか楽しめた。



 問題はあのクソ天狗共の店だけだな!

 今店を(たた)んでやろうか!

 まあいい、すぐに自分達が間違った接客をしている事に気が付いて数日もすればマシになってるだろう!



 次は闘技場のある町に色々な戦闘術の指南部屋を作るか。

 プレイヤーは使えないが、量産できる戦闘能力の高いNPCを増やすのには打ってつけだし町の見栄えも戦う者達の町って感じでいいだろう。



 どうせならプレイヤースキルを競う為に装備差の出ない大会も設けようと思うし、それ専用の武器防具を扱う店も作っておこう。

 


 ん?

 急に脳内アナウンスが響く。



 《アイドルイベントの告知をお知らせいたします。

  参加ご希望のプレイヤーの方々は三日以内にご登録下さい。

  詳細は公式ホームページにてお知らせしております。

  参加されるプレイヤーの方々は内容をよくご確認してご登録下さい》



 確か公式HP(ホームページ)に最初からそんな事書いてあったな。

 有利にプレイ出来るとかなんとか書いてあったし、アイドルとして活動したらいいだけなのか?

 とりあえず公式の説明読んどくか。



 なになに、参加したアイドル希望のプレイヤーは、専用のアバターをキャラメイクして得られる。

 つまりメインで活動しているキャラクターとは名前も見た目も変えられるわけか。

 それで、イベントで上位100位以内に選ばれたトップアイドルプレイヤー達には特別な報酬が貰え、更に上位三名にはもっと特別な賞品が貰えると。



 イベントは定期的に行われ、上位三名には次のイベントまでずっと定期的に報酬を受け取り続けられる。

 報酬は全てメインプレイヤーの手に渡り、アイドルキャラクターではアイドル活動以外のゲームはプレイ出来ないと。



 なるほどな。

 


 まーうちには縁の無い事だろうし、関係無いか。

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