↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/112

人としてみれば・・・

 屋敷に戻って、忍者から何事も無かったという報告を受けた後、調べさせていた事についても話を聞く。

 一色重盛(いっしきしげなり)の持っていた刀を鍛冶師に見せた所、かなりの業物(わざもの)だったらしく、とりあえず保管してくれている。

 


 一色重盛(いっしきしげなり)自体は実在しているらしく、将軍家仕える武士らしい。

 正義感は強いが堅物(かたぶつ)というわけでは無く、冗談を言って場を和ませる事もあるみたいだな。

 そして実力なんだが、将軍家の家来の中では間違いなく五本の指に入るらしい。

 


 んー……

 こいつ本当にNPCか?

 なんかおかしいんだよな。

 町民や俺の生産したNPCなんかは機械的で融通の利かない面もあるんだが、越後屋(えちごや)とか一色重盛(いっしきしげなり)なんかは完全に人間の思考をするんだよな。



 俺達もこのゲームに閉じ込められてるんだし、なんかあるんだろうな。

 まあ、俺達は好きで閉じこもってんだけど! 



 穴を(のぞ)くと、あいつまだピンピンしているなぁ……

 ひょん太郎の毒が効いていないのか?

 


 ひょん太郎が使っている毒は二種類。

 ただ単に継続的にダメージを与える毒と、対象のHPに対して割合ダメ―ジを継続的に与える毒だ。

 後者は当然効きにくいんだが、これだけ時間があればそこそこ喰らっているはずだけどな。



 考えられるのは毒に耐性を持っているとか、HPを回復する術を持っているって所か。

 解毒する方法もあるのかもしれない。 



 それと、一緒に居るショコラから強い視線を感じる。

 あいつもそろそろ限界みたいだな。

 穴の中で退屈だろうし、次の作戦へ移るか。


 

 穴の中に通信機を落として奴と会話する。



 「ご機嫌は如何(いかが)かな?」

 「拙者は無事だ。

  それよりも、ショコラ殿の顔色が悪いのだ。

  彼女だけでも引き上げては貰えぬか?」



 「この期に及んで他人の心配とはな。

  その渡来人(とらいじん)の娘を引っ張り上げて、そっ首を見せればお主がどの様な顔を見せてくれるのか見てみたいのう」

 「頼む」



 はぁ……こいつの肩持ちてぇ……

 俺がショコラならちょっと(なび)くぞ。

 まあ、俺は悪代官でこいつはNPCだ。

 同情した所で俺は悪代官としての行動を取る。



 「ふむ、お主の考えを聞きたくなった。

  その小娘の為に命を投げ出す覚悟はあるか?」

 「拙者の命が欲しいのか?

  ならばくれてやる。

  それでショコラ殿に一切の危害を加えぬと誓うか?」



 「あっはっは。

  誰に物を申しておるつもりだ?

  お主等が生きているのは、儂が生かしてやっているだけなのだぞ?」

 「確かにそうだ。

  だが約束は守って貰わねば成らぬ。

  もしショコラ殿に危害を加えるのであれば……

  拙者は化けて(なんじ)の首を叩き落すぞ」



 「死んだ人間が儂の首を落とす?

  はっはっは、おかしな冗談を言う。

  そんな事が出来るのであれば、儂の首はいくつあっても足りぬ。

  まあ良い、お主の命よりも欲しい物がある」

 「流石は悪党。

  欲が深い、なんだ?

  言ってみよ」



 「天下だ」

 「貴様の様な子悪党風情に握れる代物では無いぞ」



 「そう言わずに聞け。

  将軍家を裏切るつもりは無いか?」

 「無い!」



 「その小娘と将軍家、天秤に掛ければ何方(どちら)に傾く?」

 「そのような事を……

  選べるわけが――ショコラ殿!」



 「気づいておるだろうが、穴の底は毒に(おか)されておる。

  常人ならそろそろ命を落とし()ねん頃合い」

 「頼む、拙者に出来る事ならなんでもやってやる。

  だから、ショコラ殿を……」


 

 「ならば将軍家を裏切れるか?」

 「……何をすれば、良いのだ?」


 

 こいつが結構な身分の人間なわけだし、忍者達もまだLvは低い。

 恐らく成りすまして潜入させても、すぐにばれるだろう。

 リスポーンしないとも限らねえし。

 それなら生かして泳がせる方が効率的だ。

 上手く泳がせる事が出来ればの話しだが。



 「三つ条件を付ける。

  儂を裏切らぬ事、そして近いうちに儂は他の代官を罠にハメてこの町を攻めさせる。

  その時に将軍から目を付けられぬよう儂に有利な発言をせよ。

  最後に、儂が将軍となった時、儂に仕えよ」

 「……相分(あいわか)った」



 穴に縄を投げ入れ、二人をそこから引き上げる。

 


 一色重盛(いっしきしげなり)は目の前に立ち、その隣にはショコラも居る……

 


 「約束は果たそう」

 「良い心がけだ。

  お主程の者であれば、その娘を連れて逃げられると思うがせんのか?」



 「拙者を愚弄する気か?

  約束は守る」

 「いいだろう」



 俺はパンっと手を叩き、忍者に一色重盛(いっしきしげなり)を鍛冶屋へと連れて行き、刀を返す様指示を出す。

 そして、一色重盛(いっしきしげなり)は何も言わずこの場を去った。



 「よく頑張ったな。

  何か情報は聞き出せたか?」

 「私あいつ嫌い。

  本当に……嫌い。」



 「怖っ!

  またセクハラでもされたのか?」

 「えっ?

  やーん、怖くなぁい♪

  可愛いショコラだよ?」



 「きっつ。

  それで、情報は?」

 「きっつって何よもう!

  ショコラが一番頑張ったんだからちゃんと褒めて♪

  情報なんだけど、あいつ……可哀想な女の子を放っておけないんだって!

  ホントキモイ!」



 「NPCにも事情があるって事か?

  なるほどなぁ……」

 「ああー♪  悪い顔してるぅ♪

  そうそう、あいつ多分裏切るよぅ!

  その時ショコラの事連れ去ろうとするから♪

  その時が来たらぁ♪

  あいつの事捕まえてぇ♪

  その後の事は私に任せて?」



 「腹いせに拷問でもすんのか?

  まあ、あいつが裏切るならそれで構わねえ。

  ただし、あいつが俺を裏切らなかったら、その時は俺の好きにさせてもらうぞ?」

 「いいよぅ♪

  必ず裏切るから」



 ふう、緊張したなぁ。

 あいつが暴れたら誰も止めらんねぇからな。

 まあ、Lvを上げれば問題ねえし、多分雪之丞(ゆきのじょう)が居れば、今の時点でもダメージは通せる。



 あいつ上手くやってっかな?

 まあ、あいつが頑張ってんのに俺が何もしない訳にもいかねえ。



 ショコラを診療所へ帰し、さっそく奪った領地に手を加えていく。

 既に俺の領地って事になってるが、いきなり隣町の代官がこの町の代官になったのでよろしくって訳にはいかねえ。



 だから忍者の一人を上忍へとクラスアップさせ、更に名前を付け、隣町の代官に成りすまし支配する。

 忍者の名前を分かりやすくしたいから一号にしようとしたら、まさかのNPCに断られた!?

 かなり下手(したて)に出ながらお断りされちまったけど、お前人格あんの?



 仕様が無いので遊び好きの代官の偽物と言う事で、一影遊改(いちかげゆうあらため)と名付けた。

 


 隣町は職人の町にする。

 この町にいる俺の作った職人たちを全部隣町へ移住させ、大きな工房や店なども設置して行く。

 ついでに弟子として同じ職人を付けたりもして、要望があれば必要な職人も付けてやると伝えた。



 これで貿易の準備は整ったし、装備品の品質も上げられる。

 なんといってもNPCはそれ程良い装備では無いので、作った物を持たせれば戦力もアップする。

 後はいい素材が手に入れば良いんだが、近くに鉱山なんて無い。



 しかし、カワセミ地域には素材が取れる鉱山と地下迷宮があるらしい。

 隣の国だから俺がこの国の将軍になってからかな?

 いや、専用の冒険者みたいなのを作って取って来させるか。



 だが、数人行かせてどれだけ持って帰れるのか……

 そう言えばそう言うのが得意なキャラクターがプリセットにいたな!

 俺は新たに五人のNPCを生産する。



 一人目はドワーフの採掘者(さいくつしゃ)

 二人目はエルフのレンジャー。

 三人目はドラゴンハーフの戦士。

 四人目は鳥人(とりびと)でプリースト。

 五人目は歩荷(ぼっか)と言う荷物を持つ職業で、種族はトロールだ。



 基本的にNPCを生産する時は人間を採用しているが、今回は試しに違う種族で作ってみた。

 うん、こいつらだけすげー浮いてるな。

 出来るだけ珍しい鉱石などを重点的に持って帰る様に指示をだして早速目的の場所へと向かわせた。



 あまり期待はしていないが、価値のある素材を定期的に持って帰って来るならラッキーくらいに思っておこう。

 素材に関しては輸入出来れば美味しいし、一番持ってそうなのはプレイヤーだからな。

 NPC的な立場でプレイヤーから(くす)ねるのは難しいだろうけど、手立ては考えておくか。



 《あなたの討伐依頼クエストが発生しました。 気を付けて下さい》



 あっ……

 誅罰(ちゅうばつ)メーターが溜まっちまったか。

 今屋敷にいるプレイヤーは俺一人。

 一応、用心棒が二人と忍者が沢山いるからなんとかなるか。


 

 Lvはまだ俺のNPC達の方が高いだろうし、悪代官やってやるか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。