執事のゲームには裏がある?
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シャロンはこのゲームの勝敗には興味が無い。
別の目的があるからだ。
その目的は俺達がボロを出すのを見つける為、双子とは思えない仕草や素振り。
その他には言動や行動を見て嘘が無いのかどうかとか……
明確には分からねえが全く俺達を信用してないのは確かだ。
じゃあなんでそんな事してるのかって所だが、単純に考えればニースを守る為なんだろう。
それなら、その辺りを突いてやりたいが、そこまで持っていけるかどうかだな。
とりあえず、ゲームのルールの範疇で搔き乱してやる。
「次は私がお題だす番だね。
それじゃあ……んーっと、シャロンさんの好きな女性のタイプ……とか?」
「私の好きな女性のタイプ……ですか。
難しいお題ですが、お嬢様、答えられますか?」
「勿論よ!
なんでそんなお題にしたのかは気になるけど、用意は出来ているわ!」
「それでは、答えましょう。
三、二、一」
「私」
「千歳來夢」
「はぁ?
なんで私じゃないのよ!
それにシャロンが千歳來夢がタイプだなんて初めて聞いたんだけど?」
「お嬢様は確かに魅力的な女性ですが、その様な不敬な念を抱くわけにはいきませんからね。
お嬢様がアイドル好きな事は知っておりましたが、それを話し合う間柄でも無いわけですし、私は千歳來夢だけが好きなので、お嬢様の様に節操無く色々なアイドルに手を出したりはしてません」
「私の方が千歳來夢の事知ってるもんね!」
「ハイハイ、それでは次は私がお題を出す番ですね。
用意は良いですか?」
あーあ、ニースがバタカフェに向かって目配せしやがった。
きっちりシャロンはそれを見ていたな。
あの感じだと、ニースはバタカフェが千歳來夢って事は秘密にしてくれている様だが、シャロンはちょっと会話しただけでそれを見抜いたって事か?
どうすればそんな風に繋がる?
『バタカフェ、シャロンに雪之丞とひょん太郎のどちらかと会った事があるのか聞いてくれ』
「用意は出来ている。
けど、以前ここに来た時に雪ちゃんと逸れたんだけど、会ったりした?」
「成程……お会いしましたよ。
あの忍者の女の子は雪ちゃんと言うのですね。
私とここで目が合ったので、一言失礼しましたと言って出て行きましたけど、それがどうかしましたか?」
「あの子が迷惑を掛けなかったのか、ちょっと思い出して聞いただけ」
たった一言か。
それなら、公式のアイドルイベントを見て、バタカフェが千歳來夢だと言う事に気が付いた。
と言うか、公式の掲示板を見返したらそうなんじゃないかって話も出ていたしな。
その後イベント中に雪之丞達のメンバーにバタカフェが加わった事まで把握していた。
その雪之丞、アイドルイベントの時はユキンコだが、声や仕草がここで会った雪之丞と重なる部分があって、目の前に千歳來夢と似た声の人物が現れたから疑いをかけたって事か?
まあ、他に捕捉する部分があるとすれば、アイドルオタクのニースなら何度も動画を見る様に勧めていただろうし、主人であるニースの興味がどんなものなのか執事として確認はしていただろうし、そのニースが接触して連れて来たのだから、アイドルなんじゃないかって思うのは分からなくも無いか……
「それでは次のお題に移ります。
一言で表すなら愛とは何かお答えください」
『答えを合わせるぞ、三秒後に胸のトキメキだ』
「自己犠牲」
「胸のトキメキ」
何で合わせなかったんだよ?
なんか拘りでもあんのか?
「おや?
答えが分かれてしまいましたね。
それぞれのお話を伺っても?」
「私は誰かに愛してもらう為の努力で自分を殺して生きて来た。
でも、最近そうじゃないと思えるようになってきたの。
今はまだ良く分からないから、ちゃんとした答えじゃない」
「お姉ちゃん……
なんか、ごめんね。
私の胸のトキメキの話しはいいよ。
今言うような空気じゃ……ないと思うし」
いきなりアドリブ入れてきやがったから狂っちまったけど、まあいいだろう。
それに、俺がシャロンにトキメキを感じてるっぽく目線も飛ばしてアピール出来たし、これでニースが勘ぐってくれれば少しは反撃出来る機会が生まれるかもしれねえ。
『次のお題はシャロンスキスキアタックで頼む』
「次は私。
シャロンが恋人に作って貰いたい料理は何?」
「ちょっと!
二人共なんでシャロンの事ばかり聞いてるの?
私より会ったばかりのシャロンの方が好きなの?」
「お嬢様!
私、モテますから!
これはゲームなのでそれ程気になさらないでも大丈夫です。
それに、二人共きっと私の事など興味はないと思いますよ?」
「シャロンの言う通り、これはゲーム。
私達はゲームを楽しんでいるだけ」
「うん、格好いいとは思うけど、ゲームのアバターだから、本気にはならない。
次はニースの番だと……思うよ」
「私の番……二人は私の事……好き?」
「お嬢様、先程のお題と被ってますよ!
カフェタソさんが六で、リリさんの方が気を使って八と言ってくれたじゃないですか。
別のお題を考えて下さい」
「ええと、それじゃあ……
私にされて嬉しい事!」
『三秒後に友達として歩み寄って欲しいでいくぞ』
「友達として歩み寄って欲しい」
「友達として歩み寄ってほしい」
「えっ!?
どういう事?」
「ニースは私達と接する時に両腕を広げながら後ろ向きに歩いて行っている」
「もっと仲良くなりたいと思うと離れて行っちゃう」
「そんな事無いよ、ウェルカムだよ私!
でも二人共そう思ってるなら、ギュッと距離を詰めていくからね!」
「心と体の距離は別物なので、セクハラしてはいけませんよお嬢様。
それはともかくとして、勝負ありましたね!
それでは、私から細やかではありすが、勝者の二人にプレゼントを」
シャロンは本棚から本を出してきて、本を開くと一つの卵が入っていてそれを手渡した。
卵って事はペットの卵か?
「その卵のペットは特殊な能力を持ったペットが生まれます。
どんな能力なのかは成長するまで不明ですが、役に立つかどうかは運しだい。
元気に育てて下さいね!」
意外に普通だな。
形の残るもんなら盗聴や覗き見らたりするかもしれねえって警戒したが、
卵なら仕掛けようがねえし大丈夫そうだな。
俺達はシャロンにお礼を言って、部屋から出る。
結局大した反撃も出来なかったが、ゲームには勝てたし悪くない結果だと思う。
ニースもいい感じに不満げな表情だし、もう少し遊んでおくか。




