ニースの執事。
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この国の内部を探っても、転移装置を使うから基本的に今いる場所が何処なのか良く分からねえ。
向かっている方角さえ分からねえな。
ニースに着いて行くと、転移した先に扉があった。
ニースに案内されて入って見ると、大きな書庫の様だな。
その中にでかい机の椅子に一人の男が座って本を読んでいた。
見た目は若くて、燕尾服を着ている長身で体格のいい男だ。
執事の格好をしているが、本が山積みになっている。
ずっとここで本を読んでいるのだろうか?
「紹介するわ!
彼の名前はシャロン!
シャロン! 友達を連れて来たから挨拶をして!」
シャロンと呼ばれた男は一向に手を止める事無くニースの言葉を無視して本を読み続けている。
「ちょっと!
シャロン挨拶してってば!」
「やれやれ、お嬢様にお友達ですか……
うん、その方達はお友達ではありませんね。
それでは私は本の続きを読みますので」
「失礼ね!
私はいいけど友達の事を悪く言わないでくれる?」
「これは失礼致しました。
お二人は非常に似た見た目をしておりますね。
どちらがどちらを真似て作ったのでしょうか?」
「二人は双子ちゃんなの!
変な事言わないで頂戴!」
「いえいえ、キャラメイクで態々お互いに似せて作っているですよ?
むしろそれは双子に見せる為であり、実の姉妹と言う可能性を信じる方がおかしいですよ。
貴方達本当に姉妹なんですか?」
「本当。
妹の為なら私は命を懸けられる」
「私も、お姉ちゃんと同じ……だと思う」
「成程なるほど、今嘘を付きましたね。
私には嘘を見破るスキルがあります。
正直に言って御覧なさい。
貴方達は姉妹ではないですよね?」
そんなスキルあってたまるか。
嘘ってのは実は境界線が難しい。
間違った事を信じている奴がその話をした場合、当人は真実を話しているが、実際には間違っているので嘘を付いているともとれる。
他にも、未だに解明されていないものの話しはどんな基準を持って嘘か真実かを判定するんだ?
俺はこいつがそんなスキルを持っていないと仮定して話を進める。
「本当に私達は姉妹。
あなたが私達を疑ったから、あなたが嘘を見破るスキルなんて持っていないと言う事を確信している。
シャロンさんの方こそ正直に話して貰える……かな?」
「おや?
控えめな装いをしていた妹さんの方が返答しましたね?
つまり、あなたの方が強い権限をお持ちな様だ。
お嬢様に近づいた目的はなんですか?」
こいつ……なんでこんな自信満々に話が出来るんだ?
あっさりと俺達の真意に差し迫って来るし、まるで本当に嘘を見破るスキルを持っているのかの様だ。
だが、ここで焦ったら駄目だ。
そんなスキルは信じないと決めた以上それを押し通す。
「友達といちゃダメな理由があるの?
どうしてそんな言い方……するんだろ?
一緒にいて楽しいからじゃダメ?」
「お嬢様!
本当にお友達なんですか!?」
「当たり前でしょ!
最初に友達を連れて来たって言ったじゃない!」
「これはどうも失礼致しました。
参考までにお二人にお伺いしたいのですが、お嬢様の何処を気に入られてお友達になったのでしょうか?」
「最初に出会った時に助けて貰った。
次に会った時にはアイドルだと言う事がばれてそこから一緒にいる時間も増えて友達になった」
「私はお姉ちゃんと一緒に出掛けたら、くっついて来て、最初怖かったけど、今は仲良し」
「ほう……それではまだお嬢様と出会って間もないのですね。
それなら是非とも楽しんで頂きたいと思うのですが、生憎お持て成しの準備だ出来ておりません。
ですので、簡単なゲームを致しましょうか」
ゲーム?
こいつまだ疑ってんだろうし、なんか仕掛けて来るつもりか?
面白い、乗ってやろう。
「勝者には私からちょっとしたプレゼントを御用意致します。
ルールは簡単。
私とお嬢様、そしてあなた達二人でチームを組み争います。
それぞれのチームが一つずつお題となるワードを書き、そのお題に対しての答えを相手チームの二人が同時に答えます。
二人が同じ答えの場合はポイントなり、ポイントの多い方が勝者となります。
簡単でしょう?」
ルールは簡単だが、これって双子かどうかを確かめるテストみたいなもんか。
【号令】で指示を出せば確実に答えを統一出来る。
問題ねえ!
「それでは私達からお題を言います。
お嬢様、私が全てのお題を考えても良いですね?」
「なんでよ?
私も考えるわ!」
いきなり意思疎通出来てねえじゃねえか!
バタカフェの方を見ると、目が合ったので多分同じことを考えたんだな。
「それではお嬢様、最初は私がお題を出しますので、交互にお題を決めて出しましょう」
「んー……仕方ないわね!
それでいいわ!」
「それでは第一問。
あなた方の苗字はなんですか?」
『三秒後に佐々木って答えろ』
「佐々木」
「佐々木」
「ほう、佐々木さんですか。
違う苗字を言われたらどうしようかと思いました。
それでは次はあなた達の番です」
「私からお題を出す、リリは次のお題ね。
シャロンのニースに対する好感度を十段階で答えて。
最低は一で最高が十」
「お嬢様!
解ってますね?
私の好感度ですからね!
それではいきますよ!
三、二、一」
「十」
「五」
「嘘ででしょ?
なんで五なのよ?」
「こっちのセリフですよ!
十ってなんですか?
お嬢様のどこにそんな好感度が持てる要素があるんですか?」
「もう!
私はシャロンの好感度今、一になったから!」
なんだこの漫才は。
ちょっとだけクスリとしちまったじゃねえか。
バタカフェは微笑ましく見守ってんな……
なんだ?
シャロンの奴、今こっちを凝視したな。
双子のはずの俺達が少しだけ違う反応をしたらからって事か?
そう言う所を見るのが本命って事だとすると気を抜くわけにはいかないな。
「それじゃあ次は私がお題だすね!
じゃあ、カフェタソとリリちゃんの私に対しての好感度を答えて!
さっきと同じで最低が一で最高が十でお願い」
そういうゲームじゃねえんだよなぁ……
それに、正直には答えずらいぞ。
『三秒後に友達補正でプラス三して答えろ。
この答えは揃えなくても大丈夫だ』
「六」
「八……かな?」
「おやおや?
ばらけてしまいましたね。
でも二人共私よりも好感度が高いようです。
良かったですねお嬢様!」
「んー……もう一声欲しかったかなぁ。
私は二人共十よ!」
またシャロンが俺達の事を凝視してやがるな。
だが、あえて警戒はしない。
ここで警戒して、リアクションを合わせる様にしたらかえって怪しくなる。
それに、元々バタカフェはリアクションの薄い奴だからな。
俺が控えめなリアクションを取っていれば、少し違うくらいに収まるだろう。
次のお題は俺の番か。
やられてばかりは性に合わねえし、なんか一発かましてやるか!




