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孤独な公女~私は死んだことにしてください  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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11-34 養子縁組の儀式

 アドニスとサフィニアが

深く頭を下げた後。


少しの間、執務室に沈黙が落ち……

先王セレウスが口を開いた。


「それでは次にサフィニアの

養子縁組について話をしようか」


「そうですね、父上」


カイロスが笑顔で頷く。


サフィニアは緊張の面持ちで2人の言葉を

待っていると、セレウスがサフィニアに

問いかける。


「サフィニア。そなたはすでに

『ノルディア』王国では亡くなった公女として、

葬儀まで終わっているのだろう?」


「はい……旅先で、

そのような話を耳にしました」


(そして、その後すぐ私は奴隷商人に捕まったのだわ。

だけど……アドニス様が私を助けて下さった)


チラリと隣に立つアドニスに

視線を向ける。


そこへアドニスが小さく手を上げた。


「私もエストマン公爵家から

葬儀の話を直接聞きました。

サフィニアを私が保護していると伝えたところ、

大層驚いていました」


「そうか。ならば、こちらで

新たに戸籍を与える方が都合が良いな。

昨夜のうちに書類を整えておいた。

今この場で手続きを行おう」


カイロスが立ち上がり、

執務机の引き出しを開けた。


中には王家の紋章が刻まれた羊皮紙と印章、

封蝋が収められている。

それらを全て取り出すと、机の上に

並べた。


(……もう準備してくださっていたなんて……)


サフィニアの胸に熱いものが込み上げる。


カイロスは羊皮紙を手に取り、

部屋の奥にあるソファセットへと視線を向けた。


「それでは向こうの席に移動しよう。

養子縁組の儀は、そちらで行おう。

その後にも大事な話が残っているしな」


「「はい」」


2人は声を揃えて返事をすると

カイロスとセレウスの後に続いて、

ソファへ向かう。


執務室に置かれたソファは、

まるで海を思わせるような濃紺な生地

に金糸の縁取りが施されていた。


(なんて立派なソファなのかしら……)


王家専用の応接席にサフィニアは

感心しながら着席した。

そこに座るだけで、背筋が自然と伸びる気がする。


セレウスとカイロスも向かい側に着席すると

さっそく羊皮紙と印章がテーブルの上に

置かれた。


サフィニアの正面に座ったセレウスが

じっと見つめる。


「サフィニア。そなたはノルディア王国では

亡くなった者とみなされ、葬儀が執り行われた。

なので、こちらで新たな戸籍を与えることに

何の問題もない。

ナディアの血を継ぐそなたを迎えられることを、

私は誇りに思う。

ありがとう、わが国へ来てくれて」


そして笑みを浮かべる。


「先王様……」


サフィニアの目に思わず涙が滲む。

すると隣に座ったアドニスが頭をそっと撫でた。


「ではサフィニア。

本日よりそなたはオケアリオン王国の一員となることを

望むか?」


カイロスが凛とした声で尋ねる。


「はい、国王陛下」


サフィニアは頷き、

セレウスとカイロスの顔に笑みが浮かんだ。


「よし、それでは早速署名に入ろう」


セレウスは羽ペンを取ると

王家の紋章の下に署名する。


「まずは私が証人として署名しよう。

ナディアの兄として、これほど嬉しいことはない」


続いてカイロスが署名し、

王家の印章を押した。


「これで、そなたは正式にオケアリオン王家の一員だ」


サフィニアは震える声で答えた。


「はい、ありがとうございます」


「今日より、そなたは

サフィニア・アクアレイス王女

として生きることになる。

改めて歓迎しよう、サフィニア」


「よろしくお願いいたします、国王陛下」


カイロスの言葉に、サフィニアは

涙を浮かべながら頷いた――


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