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第0087撃「赤いズボン」の巻


平成4年1992年、8月、高校1年の夏休み。


小生はある日、

たまたま泡嶋本通り商店街を歩いていると、

商店街の真ん中あたりに、「メルキューラ」(仮名)という服屋が

新しく開店しているのを見つけました。


店先から覗いてみると、

カラフルなスーツをはじめ、

お洒落な服がところ狭しと並べられています。


店内はどことなく大人びた雰囲気で、

服の色彩がきらきらと輝いて見えました。


高校生の小生には、

そこが少しばかり別世界のように感じられ、

とても一人で入っていく勇気など持てません。


そこで、

中学時代からつるんでいた愚友の甲村(仮名)に、

さっそく知らせることにしました。


甲村がテキ屋のバイトで休みの日になると、

二人してとくに目的もなく町をほっつき歩き、

いつの間にか半地下にあるメルキューラの店内へ入っていきました。


店長は中西圭三によく似た顔立ちの男性でした。


我々は服を眺めながら、

試着するでもなく、

店長と一時間以上も散々しゃべった挙げ句、

結局なにも買わずに店を出ていくという日々。

店にとってはなかなか迷惑な客でした。


それでも店長は嫌な顔ひとつせず、

我々のどうでもいい話に付き合ってくれました。


そんなある日、甲村が先手を切りました。


メルキューラで紫色のズボンを一着買ったのです。


紫色のズボン。


小生はといえば、

これまで三足千円の靴下を買うくらいしか、

メルキューラに貢献していませんでした。


しかし、ついに小生も覚悟を決め、

赤色のズボンを一本購入したのでした。


赤いズボンを穿いて街を歩けば、

それだけで少しばかり人生のステージが上がったような気分になりました。


もっとも、実際にはただの高校生です。


その頃、

吉川晃司と布袋寅泰が組んでいた「COMPLEX」というユニットを知りました。


すでに活動を終えてから二年ほど経っていましたが、

その音楽はまだ小生たちの耳に新しく響いていました。


レンタルCD店でアルバム『COMPLEX』を借り、

自宅でカセットテープにダビングして、

甲村の部屋へ持っていきました。


それ以来、

二人でそのカセットをよく聴いていました。


チャゲアスごっこのときは、

甲村がASKA役で、

小生は主役の座を譲ってCHAGE役でした。


しかし、

COMPLEXとなると話は別です。


小生が吉川晃司役、

甲村が布袋寅泰役。


こればかりは、

どうしても譲れませんでした。


カセットから「BE MY BABY」が流れ始めると、甲村が、


「BE MY BABY! BE MY BABY!

BE MY BABY! BE MY BABY!」


と、こちらに顔を向けてぶつぶつと繰り返します。


すると小生も負けじと、

「愛しているのさ、狂おしいほど」

と歌い出します。


二人とも、

すっかり吉川晃司と布袋寅泰になったつもりです。


実際には、

赤いズボンと紫色のズボンを穿いた高校生が、

部屋の中でCOMPLEXごっこをしているだけなのですが、

本人たちはいたって真剣でした。


我々は一歩間違えればチンピラと見分けがつかないような格好で、

我がもの顔で街の中をうろうろしたり、

カラオケ店へ入っては熱唱したりして、

暑苦しいほど熱い日々を送っていました。


今思えば、

ずいぶんと濃い青春でした。


けれども当時の小生たちには、

それがたまらなく格好よかったのです。


COMPLEX 「BE MY BABY」(1992年)

YouTubeで視聴する https://youtu.be/jGWFDZ33UCU?si=kIjeRS_OS0OcCp-6


続く。果てしなく続く……。

(まだまだ続くよーっ!お楽しみに〜!)



いつもお読みくださり、

無限の無限のありがとうございまする☆

ブックマーク(フォロー)していただけますと嬉しいです。

では、ご氣元よう‼️

( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )੭⁾⁾


↓過去の自叙伝も、

読んでいただけますと幸いです。


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