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第87話 早すぎる襲撃


オニキス 俺の部屋 深夜(ユウ視点)


俺はベッドの上で眠っていた。


隣にはレイナがいる。


決戦まで、あと二日。


そう思いながら、何も考えず眠っていた。


……その時だった。


「……?」


何かを感じた。


俺はゆっくりと目を開ける。


「…………」


部屋は暗い。


静かな夜だ。


だが……


「……なんだ?」


身体を起こした瞬間。


背筋に、嫌な感覚が走った。


魔力。


「デカい……」


ただの魔物じゃない。


一体じゃない。


俺は意識を集中させる。


「……一、二、三……」


気配を一つずつ探る。


「……多いな」


数えるのをやめた。


ざっと感じ取っただけでも……。


「二十……?」


俺はベッドから飛び起きた。


急いで服を着る。


その音で、隣のレイナも目を覚ました。


「ん……ユウ……?」


「起きろ、レイナ」


「……何かあったの?」


レイナは眠そうに目を擦りながら身体を起こす。


だが、次の瞬間。


「……っ!」


レイナの表情が変わった。


「これって……」


「感じたか?」


「うん……」


レイナもすぐに立ち上がり、服を着始める。


「かなり大きい……」


「ああ。それに数が多い」


二人で部屋を飛び出す。


廊下に出る。


「ユウ!」


「なんや!?」


「何が起きた!?」


次々とみんなが部屋から出てくる。


全員、ただならぬ気配を感じ取っていた。


俺たちは言葉を交わすことなく走る。


全員が同じ答えに辿り着いていた。






オニキス 正門前


「…………」


誰も言葉を発しなかった。


門の向こう。


夜空を埋め尽くすように飛んでいる巨大な影。


「……なんだよ、あれ……」


ジュンが呟く。


月明かりに照らされ、その姿がはっきりと見える。


巨大な翼。


長いくちばし。


鋭い爪。


ミツルが呟く。


「プテラノドンか……?」


恐竜型の魔物。


その大きさは翼開長五十メートルを超えていた。


俺たちの知っているサイズの……約五倍。


それが二十体。


空を旋回している。


「…………」


全員が絶句する。


俺は空を見上げながら呟いた。


「やっぱり……手札は天使だけじゃなかったか……」


「まあ、そんな甘い話はあらへんやろ」


アキラが弓を構える。


その瞬間。


「来るぞ!!」


プテラノドンの群れが一斉に動いた。


巨大な翼が夜空を切り裂く。


次々とこちらへ向かってくる。


ミツルが空を見上げる。


「いくら結界があると言っても、耐えれる保証がないなら……!」


「やるしかあらへんやろ!!」


アキラが叫ぶ。


手を前に突き出す。


武器具現化。


アキラの弓を具現化し構える。


「喰らえや!!」


弓を引き絞り、炎の矢を放つ。


シュッ!!


炎の矢は一直線に飛び、

プテラノドンの翼に着弾した。


「ギャアアアア!!」


確かにダメージは入った。


だが……。


「……まだ飛んでるやんけ」


プテラノドンは高度を落としながらも、再び翼を広げる。


そして、こちらへ向かってくる。


「硬っ……」


アキラが顔をしかめる。


「だるいなぁ……!」


ルシファーが前へ出た。


『ここは我がやろう』


ルシファーが片手を空へ向ける。


魔力が一気に膨れ上がる。


「……!」


俺たちは一歩下がった。


ルシファーの周囲に黒い魔力が渦巻く。


『落ちろ』


ルシファーが手を振り下ろした。


ドォォォン!!


プテラノドンたちの身体が急激に落下する。


巨大な魔力の圧力が、奴らを地面へ叩きつける。


ドゴォォォン!!


北の大地が揺れた。


砂煙が一気に舞い上がる。


「…………」


俺たちは呆然とその光景を見つめる。


やがて砂煙が晴れていく。


地面には、何体ものプテラノドンが倒れている。


「……すげぇ」


「さすがルシファー……」


みんなから安堵の声が漏れる。


俺が呟く


「まだだ……」


その瞬間。


バサッ!!


「!?」


倒れていたプテラノドンの一体が翼を広げた。


「まだ動けるのかよ!?」


一体。


二体。


次々とプテラノドンが起き上がる。


再び巨大な翼が夜空へ舞い上がった。


「くそっ……!」


ナツが構えた、その時……。


「…………待って」


レイナが空を見上げている。


マサキが反応する。


「どうした?」


レイナの視線を追う。


みんなが空を見る。


雲の上。


ジュンが呟いた。


「……嘘だろ」


新たな巨大な影が現れた。


一つじゃない。


二つ、三つ。


次々と雲を抜けてくる。


「…………」


全員が言葉を失った。


「二十……」


新たな群れ。


さっきと同じ数。


二十体のプテラノドンが、

雲の上からこちらへ向かってくる。


「……マジかよ」


アキラが弓を握り直す。


空を見上げながら、乾いた笑いを漏らした。


「これ……」


ミツルが呟く。


「……キリがないぞ」


二十体。


そして、まだどこかにいるかもしれない。


決戦まで、あと二日。


そのはずだった。


俺たちの戦いは、もう始まっていた。

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