第82話 守る者
北の大地 箱館 夜(ユウ視点)
俺はみんなの元に向かっていた。
アキラが泣いて頼んできたから…。
四人になにかあったわけではないらしいが……。
心配で自然と速度が上がる。
俺は辺りを見渡しみんなの姿を探した。
すると…。
『ユウ〜♡』
アスモデウスの声が聞こえる。
声の方を見ると、そこにはみんなの姿が。
それと、知らない…女…。
俺はみんなのもとにゆっくりと降りた。
「来てやったぞアキラ」
「話を聞かせてもらえるか?」
「悪いな…ユウ」
アキラが経緯を話し始めた。
女の名前は、篠原 綾乃。
俺たちのこれまでことと、
彼女の置かれていた状況を聞いた。
「なるほど……」
「わいは篠原をオニキスに連れていってやりたいんや」
「……」
話を聞いて正直、可哀想だと思ったし。
心が強い子だとも思った。
でも、どうしても石田の顔が頭に浮かんでしまう。
どこかのスパイなんじゃないのか…、
また裏切られるんじゃないのかって…。
静寂…。
俺はゆっくりとサイと篠原に近づいた。
「サイも同じ気持ちか?」
「あぁ…」
「そうか」
俺は篠原の横に座った。
「篠原は箱館が好きなのか?」
「はい、故郷ですから」
俺は俯きながら手を合わせ聞く。
「家族も箱館に?」
「……いえ…」
「私が高校生の時……」
「父は刑務所に入って……」
「母は……ショックで自殺しました」
篠原は淡々と話していた。
まるで、もう何度も自分に言い聞かせた言葉みたいに。
「……」
「妹がいましたが……」
「連絡を取ってないので……どこにいるのか……」
「生きてるのかも……分かりません……」
「そうか……、大変だったんだな…」
「……」
「正直、キミを仲間にするか悩んでるんだ…」
「俺たちを裏切ったのが覚醒者だったから……」
「でも……」
俺は篠原の目を見る。
「同じ苦しみを知るキミを、このまま一人にしたくない」
「俺の仲間たちが、キミを受け入れてくれるかもわからない……」
俺は篠原の肩に手を置いた。
「そのうえで聞く」
「篠原はどうしたい?」
「……」
篠原は俯きながら考える。
「私は……」
篠原はサイの顔を見て、
少し考えたあと、真剣な目で俺を見て来た。
「仲間にしてほしいです!」
「砕さんみたいに強くなりたい」
篠原は拳を握り、力を込める。
「守れる人になりたいんです」
「……漫画の主人公みたいなセリフだな」
俺は笑いながら答えた。
「俺たちは正義の味方じゃないし…」
「思うことも出てくるだろう…」
「でもこれだけは誓う」
俺は立ち上がり、篠原に手を差し出した。
「俺は、篠原 綾乃を絶対に裏切らない」
「打ち解けるのに時間はかかるかもしれないが…」
「これからよろしく頼む」
「はい……」
「お願い…します…」
篠原は涙を流しながら、俺の手を取った。
ペシッ…
「イタッ!」
サイに頭を叩かれた。
「わざわざ泣かすな…」
「素直に気持ち伝えただけだろうが!」
ドンッ…
アキラが後ろから肩に腕をかけてきた。
「ユウ……」
「ありがとな…」
「お前、また泣いてんのかよ」
「…うっさいわ!」
「…歳で涙腺緩んどんねん!!」
「……」
「気持ちは分かる……」
俺も思い当たる節しかない。
すると、サイがため息交じりに言った。
「お前ら32歳のおっさんだもんな」
「「お前もだろうが!!」」
「俺は早生まれだから31だし」
「「同じじゃ!!」」
「「「ぷっ、あははは」」」
「クスッ」
笑い出した俺たちにつられて、
篠原も笑った。
『ねぇレヴィ?』
『なに?』
『私達もユウ達の仲間になれてよかったね♡』
『……そうね♡』
俺たちは篠原を連れてオニキスに帰還した。
みんなは、すんなり篠原を受け入れた。
自己紹介で夜が更けていく。
ふと疑問を持ったナツが俺に質問してくる。
「そういえば、なんで箱館に行ったんだ?」
「えっ、えっと〜」
「お前…、何隠してやがる」
周りを見るが誰も目を合わせてくれない。
「お、俺寝るわ!」
俺は立ち上がり、自室に駆け出す。
「待てユウー!!」
その後、
ナツに詰められて、
結局全部バレてしまった……。
決戦まで……あと四日。




