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第73話 揺らぐ覚悟


オニキス ダイニング 昼(ユウ視点)


ベルフェゴールは大きく欠伸を一つした。


『……これが、俺の知ってる全てだ』


静寂。


誰一人として言葉を発さない。


創世神ノヴァ。


優しかった神。


そして。


今、世界を滅ぼそうとしている神。


話を聞けば聞くほど、

分からなくなる。


最初に口を開いたのはミツルだった。


「……ベルフェゴール」

「お前が嘘をつく理由はない」

「だからこそ信じるしかないんだけど……」


俺は頭を抱える。


「信じられねぇな……」


サイが腕を組む。


「でも、それほど優しい神だったなら……」

「この状況を作ったのは不自然だ」


ジュンも頷く。


「ベルフェゴールが会った時から」

「何かがあったってことかな……」


ナツが首を傾げる。


「何かって?」


ミツルは静かに答えた。


「人間に対して失望するような事件」

「それがあったと考えるのが自然だ」


レイナが小さく呟く。


「神の逆鱗に触れるような……」


再び沈黙。


誰も答えを持っていない。


俺はゆっくり口を開く。


「……正直」

「何があったのかは知らねぇ」

「もしかしたら」

「ノヴァは本当はいい奴なのかもしれない」


全員が俺を見る。


「でも」

「俺たちには関係ない」


自然と低い声になった。


「今のあいつは」

「俺たちの平穏を壊そうとしてる」

「戦う理由はそれだけで十分だ」


誰も否定しない。


俺はルシファーへ視線を向けた。


「ルシファー」


『……なんだ』


「降りるなら今だぞ」


ダイニングの空気が変わる。


「もし…」

「ノヴァを倒せる機会が来た時」

「お前は…、奴を殺れるか?」


ルシファーは迷わず答えた。


『出来るに決まっている!』

『何を今更?』


そう答えた。


だが……。


魔力は違った。


わずかに。


本当にわずかに。


揺らいでいる。


俺は静かに言う。


「……嘘つけ」


ルシファーの瞳が揺れた。


「お前」

「さっきから魔力が揺らいでるぞ」


沈黙。


ルシファーは何も言えない。


俺はため息を吐く。


「殺れなくてもいい」

「でも」

「邪魔だけはするな」

「それだけ約束しろ」


ルシファーは拳を握り締めた。


『……分かっている』


その瞬間だった。


『ユウ!!』


アモンが勢いよく立ち上がる。


『さっきから聞いていれば!!』

『ルシファーを疑うつもりか!!』


マモンも低い声を響かせる。


『共闘をなかったことにする気か?』


俺は二人を見る。


「違う」

「戦場で迷われたら困るって話だ」

「俺は確認しただけ…」


『確認だぁ!?』


アモンの魔力が膨れ上がる。


『ルシファーは魔王だ!!』

『そんなことくらい分かってる!!』


「だったら」


俺も立ち上がる。


「なんで迷ってるんだよ!!」


アモンが言葉を失う。


「俺はな!」

「仲間が死ぬ可能性を残したまま戦う気はねぇ!」

「情けを掛けるなら今だ!」

「戦場じゃ遅い!!」


静寂。


その言葉を否定出来る者はいなかった。


それでも。


アモンは俺を睨み続ける。


『……てめぇ』

『偉そうに上から言いやがって』


「事実だろ」


俺は睨み返す。


「自惚れるなよ」

「悪魔ごときが!」


マモンの目付きが変わる。


『……ほぉ』

『随分と大きく出たな』


「事実を言っただけだ」

「試してみるか?」


『上等だ!!』


アモンが叫ぶ。


『表へ出ろ!!』


「あぁ」

「ちょうどいい、魔王の力見せて見ろ」






オニキス 裏門


三人で外へ出る。


竜化(弱)。


俺はゆっくり空へ舞い上がった。


門の前では、

アモンとマモンが魔力を解放する。


ゴォォォ……


三つの魔力が空気を震わせた。


遅れてみんなも外へ出て来た。


ナツは頭を抱えてる。


「はぁ……」

「めんどくさいことになったなぁ」


レヴィアタンは慌てる。


『そんなこと言ってる場合!?』

『止めないと!!』


すると。


親友の六人が声を揃った。


「「「「「「無理!!」」」」」」


レイナは呆然とする。


「無理って……」


マサキが苦笑する。


「黒瀬さんだって知ってるでしょ?」

「ユウがああなったら止まらないって」


アキラも肩をすくめる。


「せや」

「今止めるより」

「消耗したところを止めた方が早いわ」


レヴィアタンは額を押さえた。


『はぁ……』

『ほんとに、男って……』


俺と二人の魔王が魔力をぶつけ合う。

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