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第51話 日常の裏側


竜種の精神世界(ナツ視点)


《「はああああ?!!!!」》✕6


「おいおいどんなクソゲーだよ!!」


《そんなことオレに言われてもなぁ》


俺の言葉に、暁闇は頭を掻きながら答えた。


暁闇の態度を見て、春蘭が頭を抱える。


《そうかも知れないですけど…》

《なんでそんなに冷静なんですか、あなたは?》


《まあ、予想はしてたしな》


《……ちなみに誰が来たんですか?》


《魔力の感じからして、

ミカエルとルシファーだろうな》


アキラが目を輝かせて言う。


「有名どころやないか!」

「強いんか?」


燐火は呆れたように口を開く。


《1対1なら私たちが勝つわ…》

《……でも問題は、…その数よ……》


「数?」

「七体ちゃうんか?」


《…下級天使と下級悪魔の眷属がいるのよ……》


「…なるほどな……」


ミツルは話を聞きながら考える。


「物量の差か……」

「…なにか対策あるのか?」


暁闇が口を開いた。


《……お前らにも浮遊城を呼んでもらって、

守りを固めようかと思ってる》


俺は驚きながらも聞いた。


「俺等も浮遊城呼べるの?!」


《あぁ、出来るはずだ》

《竜化を強めるということは、

竜と人のリンクが強くなるってことだからな》


「…リンク…か……」


俺はなにかヒントを貰った気がした。


「…というか、こういう相談はユウもいる時に話したほうがいいんじゃないのか?」


《そう思ったんだがな……》

《今は何も考えず頭を空っぽにさせたかったんだ》


話を聞いて、ジュンが思ったことを語る。


「……暁闇、それ多分、逆効果だと思うよ?」


《ん?、そうか?》

《麗奈も修行に行ったし、

ひとりぼっちなら暇で寝るかなと思ったんだが…》


「何なら集中してこれからのことを、

いつまでも考え続けると思うぞ?」

「ユウの思考を止めたいなら、

考えるのを邪魔しないと……」


アキラが笑顔で腕を組む。


「暁闇もまだまだやなぁ」

「ユウとの付き合いは、わいらより長いのに」


マサキがアキラの肩に手を載せた。


「まあそういってやるな」

「異世界のユウだぞ?」

「自分のこと見えてるわけないだろ?」


「確かに」

「それ言われたら納得や」


二人の会話を聞いていた俺たちは、

頭を縦に振った。


ジュンがニヤつきながら暁闇に話かける。


「なっ?」

「これからのこと思考するのやめたしょ?」


《……確かに…》


「まあ俺たちは結局、

つるんでないとダメだってことさ」


すると、

アキラが俺とサイを引き寄せ、

肩を組んできた。


「ちゅーことで、わいら三人は残って、

ナツの修行を続けるから、

お前らは帰ってええで?」


ミツルは頭を傾げる。


「アキラいらなくね?」


「バカ、ナツの精神的におった方がええやろ」

「サイだけだと心折ってまうやろ?」


「あーね」


そう言ってアキラとミツルが笑いあってると、

サイが不満そうな顔をしていた。


この光景を見た暁闇が頭を掻く。


《……頼めるか?》


ジュンが答える。


「もちろん!」

「瑞光、後で浮遊城の呼び方教えてね?」


《了解だよ〜、ユウくんことお願いね〜》


「「「あいよ〜」」」


シュゥゥゥ、ブンッ……


三人は現実世界に帰っていった。


「さて、わいらもやろか?」

「さっき暁闇の言葉で、

なんか掴んだ顔しとったから余裕やろ?」


アキラがニヤつきながら覗き込んでくる。


「まあな…」

「にしても、お前もよく見てるよな?」


「ん?」

「たまたまやで?」


「嘘つけ!」


俺は思った。


やっぱり、こいつらがいてくれたら、

何があってもどうにかなると……。






オニキス ユウの部屋(ユウ視点)


「はぁ…暇だなぁ…」

「街に行ってみようかなぁ……」


ドタドタドタ……、ガチャッ…


「ユウ、な〜に余計なこと考えてんだ〜」


ミツルたちがニヤニヤしながら、

部屋に入ってきた。


「は?!」

「なんだいきなり?!」


「どうせ暇だから、

街に降りてみようとか考えてたんだろ?」


「へ?!」

「聞いてたのか?」


「いや?」

「勘だが?」


「お前はエスパーか!!」


俺が驚いてると、

マサキがベッドに勢いよく座ってきた。


「お前の考えてることなんてバレバレだよ」

「こういう時にお前を一人にすると、

ろくな事ないからな」


ジュンが続く。


「今、街に行ったらユウが切れて日輪を壊滅させて魔王になりそうだもんね」


「……否めない…」


ミツルもベッドに座ってきて、

俺の逃げ道を塞いできた。


「ということでユウ、黒瀬とのこと聞かせろよ」


「は!?」

「な、なんでそういう事になるんだよ!?」


マサキがミツルと俺を挟むように、

距離を詰めてくる。


「あっ、それ俺も気になってたんだよ」

「朝の雰囲気的にもう付き合ったんだろ?」


「べ、別に…」


ジュンが最後の逃げ道を塞いできた。


「みんな気になってるんだよね〜」

「詳しく聞かせて貰おうかなぁ?」


「「「二人の出会いから、全てな」」」


「……お、お手柔らかに……」






龍華共和国 中央会議室


長机を囲むように並ぶ幹部たちの視線が、

一人の男に集まっていた。


報告官が淡々と端末を操作する。


「昇龍京におけるスピノサウルス討伐は完了」

「人的資源の消費は想定内」

「四聖獣兵器の稼働率、

及び戦果ともに基準値を上回っています」


空気は静かだった。


ただ結果だけが並べられる。


「魔物討伐に関しても同様に順調です」

「現在の資源残量で、

次段階の作戦移行に支障はありません」


そして報告官は締めくくる。


「……以上です」


沈黙。


やがて、一人の男が口を開いた。


「では予定通りに……」


その言葉を、


低い声が遮る。


「……待て」


全員の視線が集まる。


席の最奥。


龍華共和国大統領。


その瞳は、わずかに細められていた。


「極東連邦にて、

異常な魔力反応が観測された」


室内にわずかなざわめきが走る。


「規模は?」


幹部の一人が報告官に問う。


「……不明です、

少なくとも現行の魔物災害とは別種のようです」


空気が変わる。


「当初の計画では、

竜種の捕獲及び運用を優先する予定だった」


大統領は淡々と続ける。


「だが……」


一拍。


「竜に接触している最中に、

外部からの襲撃を受ければ、

すべてが無に帰す」


誰も反論しない。


合理的すぎる判断だった。


「よって…」

「先に極東連邦を制圧する」


だが誰も驚かない。


ここにいる者たちは、

その意味を理解しているからだ。


「……侵攻作戦を開始せよ」


幹部たちが一斉に立ち上がる。


「はっ!」


人を資源とする国は、

次に“国そのもの”を喰らおうとしていた。

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