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第37話 雷鳴のあと


西京都上空(サイ視点)


頭がぼーっとする……。


俺は何をしていた……。


感情のまま暴れて……。


身体の自由が効かなくなって……。


みんなに助けられた…。


ここは…。


俺はゆっくり目を開けた…。


目の前には親友たちがいた。


アキラが近づいて来て俺の胸を小突いた。


「……おかえり…」


「…ただいま……」


俺は視線を落として街を見下ろした。


瓦礫の街に風が吹き、

焦げた匂いが残っている。


西京都の空は、もう静かだった。


俺は空中に浮いたまま、

街の光景を見て自覚した。


……俺がやった。


焦げた匂いが鼻に残る。

雷で焼けたアスファルト。

崩れたビル。


……全部、俺の雷だ。


暴走していたとはいえ、関係ない。


壊したのは俺だ。


「……とりあえず下りるか」


ユウの声が聞こえた。


俺は何も言わず、ただ頷く。


全員がゆっくり地上へ降りていく。


瓦礫の上に足が触れた瞬間、

みんな竜化を解いた。


そりゃそうだ…。


俺のせいでみんな疲れてる……。


……顔を上げられない。


みんなの方を見る気になれなかった。


俺は黙ったまま、瓦礫を見つめていた。


遠くから人の声が聞こえてくる。


避難していた住民たちだ。


最初は、戸惑った声だった。


「……終わったのか?」


「怪物は?」


「倒したのか?」


ざわめきが広がる。


誰かがユウたちを見る。


「助かった……」


そんな声も聞こえた。


けれど、それは長く続かなかった。


誰かが言った。


「……でもよ」


空気が変わる。


「街壊したの、あいつだろ」


……俺だ。


分かってる。


視線が集まる。


「街めちゃくちゃじゃねぇか!」


「最初からお前らが来なきゃ、

こんなことになってねぇ!」


言葉が飛んでくる。


俺は何も言わない。


言い返す資格もない。


その時だった。


「……は?」


ナツが住民の言葉に反応した。


するとアキラも口を開く。


「なんやコイツら」


住民が怒るのは当然だ…。


みんなには関係ないこれは俺が……。


「化け物は出てけ!!」


「……あ?」


低い声。


空気が凍る。


顔を上げると、

ユウが前に出ていた。


ナツが慌てて言う。


「待てユウ!」


マサキも言う。


「落ち着け!」


けれど、ユウは止まらない。


住民を睨んでいる。


純粋な怒りだった。


拳を握っている。


今にも殴りかかりそうな顔だ。


ミツルが小さく言った。


「……やべぇ」


アキラも苦笑する。


「マジでキレとるな…」


ユウが一歩前に出る。


瓦礫が軋んだ。


ジュンが駆け出し叫ぶ。


「ちょっ、止めろ!!」


五人掛かりで止めようとする。


すると住民の一人が言う。


「なんだよその顔」


その瞬間。


ユウの声が響いた。


「……俺の」


一瞬の沈黙。


ユウは俺を指差した。


「俺の親友に…」

「なんか文句あんのか!!」


「街をこんなに…」


ユウが住民の言葉を遮る。


「なにもせず、

ただ逃げてた、

てめぇらがなんの文句があるんだ?」

「文句があるなら命賭けて、

戦ってから言えや!!」


誰も何も言えなかった。


さっきまで騒いでいた住民たちが黙る。


ユウの怒りは、それくらい強かった。


……なんでだ。


俺は街を壊した。

暴れた。

迷惑もかけた。


それなのに。


なんでこいつは怒る。


……俺のために。


胸の奥が少しだけ熱くなる。


俺は思わず呟いた。


「……ユウ」


「離せや!!」

「一発殴らせろ!!」


「あかん!」

「死んでまうわ!!」


その時だった。


プルプルプル……


携帯の着信音。


ナツがユウの意識を携帯に向けさせる。


「ほらユウ、電話!!」


「チッ…なんだよ…」


ユウは少し冷静になり、

俺達から離れ、電話しに行った。


ユウが離れた瞬間、

五人はようやく力が抜けた。


「はぁ…、マジで心臓に悪ぃわ…」


ナツが静かに言った。




(ユウ視点)


俺が携帯を取り出し、

画面を見る。


「……鷹宮?」


通話ボタンを押す。


「どうした」


沈黙。


少しして、声が聞こえた。


〔……悠さん〕


様子がおかしい。


「鷹宮?」


電話の向こうの声は震えていた。


〔すみません……〕

〔まさか……〕

〔日輪が……ここまで腐っているとは……〕


俺は嫌な予感がした。


「どうした!」

「何があった!!」


短い沈黙。


そして。


鷹宮は言った。


〔米澤組が……〕

〔襲撃されました…〕


鷹宮の言葉を聞いた瞬間、

一瞬、時が止まった。


「……は?」


胸の奥が、ざわついた。


レイナのいる場所に襲撃…。


瓦礫の街に、冷たい風が吹いた。


西京都の空は、静まり返っていた。


竜化(中)


俺は衝動的に竜化した。


「な、なんだあれ?!」


周りの連中が俺の異形に動揺してるが、

それどころじゃない。


俺は携帯を繋いだまま、

ナツに近づき腕を掴む。


「お、おいユウ!?」

「なんだよいきなり!?」


「いいから!!」

「お前も竜化しろ!!」


俺は残りの親友たちを見る。


「お前達は急いでオニキスに帰れ!!」


「は?」

「それはどういう…」


バサアァァア


ミツルが質問してくるが、

頭にレイナの顔が浮かぶ…。


俺はミツルを無視して全力で飛翔した。

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