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第35話 暴走する雷竜


西京都上空


崩壊した街。


サイが咆哮を上げた。


『グォォォォォォォォォ!!』


次の瞬間。


ドォォォン!!


雷が街へ落ちる。


ビルの屋上が爆ぜた。


サイはそのまま下降する。


巨大な雷竜の影が、街を覆った。


ズドォン!!


尻尾が振り抜かれ、

残っていたビルが、

まるで積み木のように吹き飛んだ。


瓦礫が空を舞う。


ドォン!!


車が押し潰され、

爆発が起きる。


「きゃあああ!!」


遠くから悲鳴が響いた。


ナツが歯を食いしばる。


「……やべぇぞ」


マサキが呟く。


「完全に理性がなくなってる…」


雷がまた落ちた。


ドォォォォン!!


街の破壊が加速していく。


俺はそれを見ていた。


サイの手で街が壊されるその様を。


「……サイ」


あいつは仲間だ。


親友だ。


それなのに。


俺は。


止められていない。


ナツが叫ぶ。


「ユウ!」


俺は目を閉じた。


そして。


静かに呟く。


「……暁闇」


《ようやく決めたか》


闇が渦を巻いた。


黒い魔力が空へ広がる。


空気が震えた。


竜化(強)。


身体が黒い球体に包まれる。


球体は、脈打つように膨張し。


ビシビシ、ビシッ


球体にヒビが走り、

内側から闇が溢れ出した。


バリンッ、パラパラパラ


闇が砕け散る。


サイを見据える。


『……行くぞ』


俺は闇竜翼を広げた。


ドンッ!!


空を蹴る。


一瞬で距離を詰める。


俺の動きを察知したサイが振り向く。


ガッ!


俺はサイの後ろを取り羽交い絞めにした。


『しっかりしろってんだよ!!』


俺はそのままサイを連れて空へ。


雲を突き破るとサイが魔力を集め始めた。


『グォォォォォ!!』


『チッ…』


俺はサイを離し距離を取る。


次の瞬間。


無数の雷が落ちた。


バリバリバリ!!


空を裂き、

雷が俺を襲う。


俺は身体を捻り、

雷を躱す。


だが。


バチィ!!


雷が竜鱗を焼いた。


『痛っ…』


攻撃が止むことはない。


『サイ!!』


俺は突っ込む。


そして。


ガシッ!!


サイに組み付いた。


空中で二体の竜が絡み合う。


『グォォォ!!』


サイが暴れ、

雷が暴発するが、

俺は叫んだ。


『目ぇ覚ませ!!』


反応はない。


『サイ!!』


俺は拳を握る。


そして。


ドォン!!


俺の拳をサイの顔面に叩き込んだ。


だが…。


サイの瞳は濁ったままだった。


『……くそ』


その時。


後ろから声。


「ユウ!」


振り向くと、

ナツたちだった。


全員が空へ上がってきた。


ナツが叫ぶ。


「サイ!!」


だが。


反応はない。


雷竜の体から、

雷が溢れる。


ジュンが言う。


「駄目だ……聞こえてない」


その時。


バリバリバリ!!


雷が広がった。


広範囲の雷撃。


『離れろ!!』


全員が散開する。


雷が空を埋めた。


ドォォォォン!!


ミツルが俺を見る。


「……どうする」


俺は。


何も言えなかった。


ただ。


サイを見ていた。


涙が…、

俺の頬を伝っていた。


ナツが目を見開く。


「……ユウ?」


俺は呟いた。


『……なんでだよ』


声が震える。


『なんで戻らねぇんだよ……』


沈黙。


その時。


ミツルが言った。


「おい!」


ジュンが続く。


「ユウ!」


ナツが睨む。


「お前が折れてどうすんだよ!!」


俺は顔を上げた。


ナツが言う。


「サイは俺らの仲間だろ!!」

「ぜってぇ諦めねぇからな!!」


マサキが頷く。


「そうだ」


アキラが笑う。


「まだ終わっとらんで!!」


ミツルが言う。


「方法考えろ」


ジュンが言った。


「諦めるな」


胸の奥が熱くなる。


俺は拳を握った。


『……あぁ』


涙を拭う。


そして。


『サイは…』


サイを見る。


『俺が止める』


全員が俺を見る。


『だから…』

『お前らは精神世界に行け』


ナツが目を細める。


「……なるほどな」


マサキが頷く。


「直接心に触れるか」


アキラが笑う。


「そっちの方が早いわな」


ミツルが言う。


「任せろ」


ジュンが静かに言った。


「必ず連れ戻す」


ナツが言う。


「サイは俺らが叩き起こす」


そう言うと。


シュゥゥゥ、ブンッ……


精神世界へ消えて行った。


俺は闇竜翼を広げ、

サイへ突っ込む。


『グォォォォ!!』


雷が落ちるが、

それを受け止めながら、

俺は叫んだ。


『サイ!!』

『絶対助けてやるからな!!』


ドオォォン!!


闇竜と雷竜。


二体の竜が空で激突した。


衝撃波が雲を吹き飛ばす。


西京都の空は闇と雷に分かたれた。


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