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第30話 竜種の決断


北幌駅 地下政府施設


部屋にモニターの爆音だけが響く。


モニターには、

炎に包まれた街が映っていた。


「わからねぇ……」


俺の言葉でみんなが静まり返る。


「……嘘だろ…」


ナツが呟く。


「ユウでも止められんかもしれんのか……」


アキラが腕を組みながら俺を見つめた。


部屋の空気は重い。


その沈黙を破ったのは、俺だった。


「……だが、助けないって選択肢もある」


また沈黙…。


ナツが勢いよく振り返る。


「は?」


だが俺はそれ以上何も言わない。

ただ椅子に座り、皆を見る。


俺は親友たちの意見が聞きたかった。


最初に口を開いたのはアキラだった。


「いや、でもやろ」


頭を掻きながら言う。


「助けに行こか?」


「首都やで?」

「あんなん放っといたら日輪終わるやろ」


その言葉にナツが強く頷く。


「そうだよ!」

「助けられるかもしれないなら助けるだろ!」


その時。


サイが鼻で笑った。


「感情で動くなバカが…」


ナツの顔が歪む。


「なんだと……」


だがサイはナツを見ようともしない。


ただモニターの恐竜を眺めながら言った。


「助ける理由が一つもない」

「むしろ都合がいい」


部屋が静まる。


ミツルが、ゆっくり口を開いた。


「倫理は一回置くぞ」


その声は軽い。

だが言葉は冷たい。


「西京都ってのは日輪の中枢だ」

「政治家、官僚、大企業、移民、全部集まってる」


ミツルは指を折る。


「つまりだ」

「今、日輪を動かしてる連中、

俺たちの敵になる可能性がある奴らが、

まとめて被害受ける可能性が高い」


ナツが眉をひそめる。


ミツルは続けた。


「俺たちを潰そうとしてる政府もいるだろう」

「その中枢が今、恐竜一匹で崩れかけてる」

「敵が勝手にいなくなるんだ」


言葉が落ちる。


ジュンが静かに言った。


「……それでも、見捨てるなんて…」


ミツルは肩をすくめた。


「見捨てるって言い方が違うな」

「関わらないだけ」


その時、サイが口を挟む。


「好都合だろ?」


ナツが睨む。


サイは淡々と言った。


「老害が減る」

「無能な政治家を当選させるバカも減る」

「売国奴の政治家はどうすると思う?」

「自分の国に逃げる可能性すらある」


誰も言葉を返さない。


冷たい現実だった。


アキラが腕を組む。


「……なるほどな」

「そういうやり方も、ありかもしれんな」


ナツが驚いた顔でアキラを見る。


「アキラまで!?」


だがアキラは真剣だった。


「いや、俺も最初は助ける思っとったで?」

「でも三人の言うことも筋通っとる」


しかしナツも真剣。


「それでも…!」

「助けられるかもしれないのに見捨てるのかよ!」


ジュンが前に出る。


「でも……」

「もし闇竜が動かなかったら?」

「日輪中からどう見られると思う」


ミツルが笑う。


「英雄ごっこしたいのか?」


マサキが静かに言う。


「違う」


その声は落ち着いていた。


「力を持つ者には責任がある」


ミツルの目が細くなる。


「責任?」


マサキはモニターを見る。


燃える西京都。


逃げ惑う人々。


「助けられる可能性があるなら、助ける」

「それだけだ」


ナツが小さく呟く。


「……そうだよ」


でも声に力はない。


ミツルが一言だけ言った。


「ナツ」


ナツが顔を上げる。


「お前が助けたいのは〝人〟か?」

「それとも〝日輪政府〟か?」


言葉が詰まる。


何も言えない。


ナツは拳を握る。


その時。


黙っていた俺が、

ゆっくり立ち上がり、

俺はモニターを見た。


燃える西京都。


そして静かに言った。


「……決めた」


全員の視線が集まる。


「まず先に言っておく」

「マサキが言ってた責任だが…」

「残念ながら俺はそんなもの持ち合わせてない」


マサキは俯いた。


「正直、他人が死のうと俺はどうでもいい」

「刑務所の件だって、

世話になった人たちが北の大地にいただけ」

「お前らを守れればそれだけで……俺は…」


ナツとジュンも俯く。


「それを踏まえて、決めた…」

「……助けには行く」


ナツが顔を上げる。


でも俺は続ける。


「ただし、今すぐじゃない」


部屋が静まる。


ミツルが笑う。


「なるほど」


俺はモニターを見る。


燃える西京都。


「自衛隊がどこまでやれるか見る」

「それでも止められないなら…」

「その時は俺たちが行く」


ナツが言う。


「でもそれじゃ遅くなるかもしれない!」


俺はナツを見る。


「ナツ」

「俺たちはヒーローじゃない」


静かな声が響いた。


「仲間を守るために戦ってるだけだ」

「まず日輪が自分で何とかするべきだ」


ジュンが小さく頷く。


マサキは少し考えたあと言う。


「……合理的だな…」

「日輪の弱体化も狙っての決定か…」


サイが鼻で笑う。


「甘いな」


ミツルは肩をすくめる。


「でも悪くない落とし所だ」


アキラが笑う。


「ほな決まりやな」

「日輪の底力、見せてもらおか?」

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