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第17話 黒ギャルお嬢と白銀ヒロイン


北の大地 上空


景色を見ながらナツが口を開く。


「久しぶりに見ると、

やっぱ北の大地は広いなぁ」


「飛ぶと余計に感じるな」


そんな軽口を叩きながら、

俺達は北幌の街、薄野を目指していた。


「でも本当に良かったのか?、

あいつら置いてきて」


「本当はお前にも、

修行してもらいたかったけど」

「ちょっと頼みたいことがあったしな」


「なんだよ、頼みたいことって?」


「まあ、ついてからでも……?!」

「おい、あれ見ろ!」


俺は指を指し、ナツに見るように促す。


地平線の向こうに、異変が見えた。


「……煙?」


「薄野の方だな、行くぞ」


速度を上げ、

煙の発生源へ向かう。




やがて見えてきたのは、

巨大なカマキリの魔物と、

それに応戦する数人の男たちだった。


「ガラ悪っ」


「やっぱり、避難してなかったか…」


男たちの服装はナツの言う通り、

威圧感を感じる格好をし、

服の隙間から刺青が見えていた。


「ユウ?、……お知り合い?」


「あぁ、昔世話になったんだ」


「……」


「俺はヤクザじゃねーぞ?!」


バンッ、ババンッ


俺達の会話を遮るように銃声が響いた。


一人の男が上着を脱ぎ捨てた。

すると背中の入れ墨が露わになった。


「うおぉぉらあぁぁあ」


男が魔物に殴りかかろうとした…その時。


グググッ


男の腕が、青い熊の手?に変異した。


「おいおい、マジか!」


ドォン


俺の動揺を他所に、

男の攻撃は魔物を吹き飛ばした。


土煙が立ち上る。


「…やったか?」


ナツの疑問は虚しくも潰える。


ギシャァァア


雄叫びと共に、

魔物は土煙の中から大鎌を振り上げ、

男に突っ込む。


「くそったれ…」


そう呟くと、俺は一瞬で加速した。


シュン、ズバッ


魔物の正面に割り込み、剣を振り抜く。


ドォン


大鎌が砕け、

魔物の胴体は宙を舞い、地面に叩きつけられた。


「助かった……、ん?」


男が前に出てくる。

鋭い目つきで俺の顔を睨みつけた。


「お前……ユウ坊か?」


「……お久しぶりです、橋本さん」


「カシラ!、大丈夫ですか!」


橋本さんの周りに取り巻きが集まる。

すると一人の若い衆が声を荒げた。


「?!、おいおめぇ!、

動画で出てた黒竜か?、なんで…」


ゴッ


若い衆の言葉を遮るように、

橋本さんが頭を小突いた。


「口の聞き方に気をつけろ、

お嬢の客だ」


「し、失礼しやした」


「……ユウさん?、この人たちは…?」


ナツが不安そうに訪ねて来た。


「なんでさん付けなんだよ……、

この人たちは米澤組の皆さん」


橋本さんが前に出てきた。


「この方が若頭の橋本さんだ」


「久しぶりじゃねーかユウ坊、

動画で見たぞ…、どうしたんだ?、

こんなところまで来て?」


「まあ色々説明したいこともあるんですけど、

米澤さんはいらっしゃいますか?」


「今は事務所に居られるはずだ、

お嬢もそこに」


グイッ


ナツがへっぴり腰で俺の服を引っ張った。


「お嬢って?」


「……見れば分かる」


「…もう帰りたい……」


俺達は竜化を解き、

事務所に向かって歩き始めた。






米澤組事務所前(ナツ視点)


ガラガラガラ


「組長、お嬢、お客様です!」


若い衆の人が門前で整列したかと思うと、

扉を開け、組長とお嬢って人を呼びに行った。


すると、すごい威圧感を放つ中年の男性出てきた。


「おうユウ坊、遠くまでご苦労だったな、

隣の方はどちらさんだい?」


「は、はじめまして、ユ、ユウの友達の

五十嵐 那津といいます……」


俺は視線を向けられた瞬間、

心臓が飛び出るかと思った。

…ちょっとちびったかも……?


「五十嵐くんか、そんなに緊張しないでくれ」


「は、はい!」


(緊張するなとか無理やろおぉぉお!!)


「お嬢!どうぞこちらです」


「はいはい…」


俺が動揺しまくっていると……。


露出の多い黒ギャルが玄関から出てきた。

ミニスカートの裾から伸びる健康的な焼けた肌、

黒いパーカーは片方の肩からずり落ちタンクトップが見えている。


「……黒瀬…さん?」


そこにいたのは、高校の同級生…、黒瀬 麗奈。


「ナツ?、久しぶり〜」


「黒瀬さんなんで……、お嬢…?」


「あーね、あーしオヤジの娘何だよね〜」


…俺は考えるのをやめた…。


「レイナ元気だったかー?」


ユウが黒瀬さんに手を上げながら近づく。


「ユウもひさしぶり〜」


パンッ


二人はハイタッチを交わした。

子供の頃からの幼馴染の二人は、

高校の時もこんな感じだった。


「ユウ全然帰って来ないじゃん、

幼馴染に会いたくないわけ〜」


「会いたくないとかじゃなくて、

普通に忙しかったんだって」


距離感ゼロの二人を見ていると。


「お父様、お客様ですか?」


その場の空気が、ふっと静まった。


玄関から発せられたその声は、

驚くほど小さく、澄んでいた。

風に溶けて消えそうなのに、

不思議と耳に残る。


その容姿は現実ではあり得ないほど美しかった。

髪は雪のような白銀、

整い過ぎた顔立ち、

小柄で肌は病的なほど白く、

ルビーのような赤い瞳。


「おうカナ、こちら五十嵐くんだ」


「はじめまして五十嵐さん、

仲音 佳奈と言います…」


「ナツです!」


「?、ナツさん?」


カナはほんのわずかに首を傾げた。

この生き物はなんだ、

彼女を見ていると、

息をするのも忘れてしまう。


「ナツって呼んでほしいです…」


「ナツ…さん」


彼女は無表情のまま名前を呼んでくれた。

感情は読めない。


沈黙の間、俺達は見つめ合う。


「……可愛い…」


「……」


カナは無表情のまま、

ほんのわずかに頬を赤らめた。




(ユウ視点)


見つめ合う二人。


顔を赤らめる二人。


あ、これ一目惚れだわ…。

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