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第13話 許されざる衝動


ゴゴゴゴゴゴ、ガラガラガラ



万雷の攻撃によって、

周囲の床と壁が吹き飛び土煙が立ち込めている。


「クソ…、万雷の奴無茶苦茶だな、

あいつら大丈夫だよな……」


2人の姿を探すため周囲を見渡すと、

土煙の奥から暁闇の姿が見えた。


しかし俺は絶句する。


暁闇がサイを庇うように覆い被さり倒れていた。


胸の奥が、嫌な音を立てて軋んだ。


「サイ!、暁闇!」


2人の元に焦って駆け寄った。


「おい!、大丈夫か!」


「うぅ…」


《くっ…、しくじった…》


血に濡れた暁闇の指先が、微かに震えている。

それだけで、頭が沸騰した。


そこに万雷が姿を現す。


《バカな野郎共だ、オレに喧嘩売った報いだ、

ざまぁみやがれ》


「おい」


声が、自分でも驚くほど冷え切っていた。


《なんだ?、てめぇは上手く躱したようだが、

てめぇもあいつ…》



ドオォォォン



言葉を遮るように、

万雷を殴り飛ばした。


《テメェ!殺さ…、!?》


拳に伝わる感触が、生々しく残る。

それでも、全然足りなかった。


耳が腐るような声、

ただ、視界から消えてくれればそれでよかった。


……いや、違う。

消すだけじゃ、足りない。


《(なんでこのオレが、

人間如きにビビってんだ?)》


「お前、俺の親友を傷つけたな」


言葉を絞り出す。


「覚悟は出来てるんだろうな」


竜化(弱)


バサッ


《あ?!、お、お前らが勝手に、

オレを呼び出して攻撃してきたんだろうが!》


「関係ねーな」


一歩、踏み出す。


「お前が俺の親友を傷つけた」


心臓の音が、やけにうるさい。


「だから……」


視界が、赤く滲んだ。


「殺す」


《……や、やれるもんならやって…》


シュンッ、メリメリメリィ


俺は一瞬で懐に入り、

クソ竜の腹に拳をめり込ませた。


《ぐふっ》


破壊音、苦しむ声、すべてが心地良い。


ズバ、ズババッ


腹を抑え悶えるトカゲ、

刀を抜き両足と両翼を切り捨てた。


《ぐあぁぁぁあ!!》


血飛沫が、やけに綺麗に見えた。


切った翼が痙攣している。


次はどこを落とそうか…、

そう考えている自分を、

どこかで冷静に眺めていた。


そんなことを考えていると、

マサキ、ジュン、水禍、瑞光が焦って合流した。


「お、おい!、ユウやめろ!!」


「こいつも俺たちの仲間だろ!、

落ち着けって!!」


2人は羽交い締めで止めようとしてきた。


「離せ」


力を込める。


「あいつはサイと暁闇を傷つけた、

ぜってぇ許さねぇ」


俺は2人を引きずりながら歩みを進める。


「くっそ、完全にブチ切れてやがる」


《ユウ君お願い!、落ち着いて!!》


《このままじゃ本当に、万雷が死んじゃうよぅ》


「だからなんだ」


言葉に、感情はもう乗っていなかった。



《《?!》》



俺が睨みつけると、

2匹のメストカゲは硬直して動けなくなった。


《(私たちが純粋な殺意だけで、

動けなくなるなんて、こんなのあり得ないわ)》


《(どうしよう…、助けてよぉ暁闇)》


《ハァハァ、オレが悪かった許してくれ》


「ほら万雷も謝ってるしやめろって」


周りが必死に止めているが、

音が遠い。


歩みを進める。


すると暁闇がゆっくり立ち上がった。


《ハァハァ…、ユウ落ち着けよ…、

俺らなら大丈夫だぜ……》


「「暁闇!!」」


「止めるなよ暁闇、

お前らを傷付けられて、

黙ってられる訳ねぇだろ」


《まあ落ち着け…、

俺らはこんな事じゃ…死なねぇよ……》


「死ぬ死なないじゃない」


声が、少しだけ震えた。


「俺の仲間を傷付ける奴は誰だろうと…」


《お前の事を…1番知ってるのは俺だ、

お前がどれだけ…親友を大事にしてるかも知ってる…》


「………」


《だから頼むユウ…、万雷を許してやってくれ、

あんな奴でも俺のダチなんだ》


「………」


《正直に言うとよ…》


暁闇が、一瞬だけ視線を逸らした。


《確証なんてねぇ、

でもな……》


《万雷を殺したら、

サイまで失う気がするんだ》


「!!」


《俺らは一心同体だ、体は一つしか無い、

まあ…自然な流れじゃないか?》


暁闇の話を聞いて、

血の気が引いた。


倒れてるサイと目が合う。


「大丈…夫……」


……俺は、何をしようとしていた。


「…………みんな…ごめん……、

オレ…周りが見えて無かった……」


俺の言葉を聞いて、

安堵したのかマサキとジュンは俺を放しその場に座り込んだ。


「はぁ、世話が焼けるぜ全く…」


「ふぅ、しかし助かったよ暁闇…、ありがとう」


《礼を言うのはこっちの方だ…、

お前らが時間稼ぎしてくれて無かったら、

取り返しがつかなかったかも知れないからな…》


俺は瑞光と水禍に歩み寄る。


「…すみません、

万雷達の回復お願い出来ませんか……」


《もちろん!、回復は私に任せなさい!、

水禍はサイ君を頼むわ、

私は暁闇と万雷を受け持つわ》


《了解よ、ユウ君も一応私が見ておくわ》


「…いや、オレは……」


《ダメよ!、万雷の攻撃がかすっただけで、

普通の人間だったら致命傷なんだから、

ちゃんと見せなさい!》


「はい…」


《でも見られたくないからって、

さっきみたいに睨まないでね?、

私だって女なんだから》


「…すいません……」


《まあでも、ユウ君が仲間想いなのは、

伝わったわ、あなたが仲間で良かった》


「………」


その言葉が、少しだけ救いだった。


ドンッ


暁闇が俺の横に座り込む。


《ユウ、そんなに落ち込むなって、

元話と言えば、オレが油断したのが悪いんだし》


《そうだよ、君がいなかったらみんなやられてかも知れない訳だし、

まぁちょっとやり過ぎだったけど〉


「………」


《おい瑞光、傷口えぐってどうする》


《そんなつもりは無かったんだけど…、

まあ私達が元通りに治すから、

大丈夫だから安心して》


俺が俯いてると

治療中の万雷が話かけてきた。


《…ユウって言ったか、悪かったな……》


《あんたもう話出来るの?!》


「…いや、オレの方こそ…、

ごめん…」


《こんなことになったけど、これから頼むな》


万雷が拳を突き出した。


俺はそれを見て少し気まずかったけど、

謝罪も込めて万雷と拳を合わせた。


《やっぱり似たもの同士じゃねーか》


さっきの感覚を思い出して、

指が僅かに震えた。


瑞光と水禍がみんなを回復してくれていると、

ナツ、春嵐、アキラ、燐火が合流した。

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