↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国騎士団副団長の憂鬱  作者: まつり
お姫様がさらわれて勇者が旅立った、らしい
PR
5/17

勇者の評価は星3.5、らしい

「正義の剣をくらえ!」


はい!喜んで!


くらいますよぉ、それが今回の目的なんで。

お?よく見ると勇者の装備が少しだけ良いものになっているなぁ。


ウチの王様が渡した剣は、もし彼らがマジの狂人で、頭のスイッチが意味不明なタイミングでオンになっちゃったりして、王様に襲いかかっても斬られたりしない様に、なまくらの銅製だったと聞いてたんだけども…どっかで買い換えたんかね。


一応鉄の剣になっちゃいるが…ありゃあなまくらっぽいなぁ。


ちゃんと選んだか?いい鍛冶屋を。

いい店を探すコツはな、口が悪いおっさんが店主がやってる所へ行くことだぜ。

あ、いや、マジで。

接客態度クソで商品クソだったら、さびれて潰れてるか、粗悪品掴まされた冒険者とかに斬り殺されてその店は無くなってっから。


おっと、剣を打ち合わせてみたら改めて、ひっでぇ剣じゃん。


部下の装備がアレだったら説教するもん。

命を懸ける武器にそんな粗末なもんを使うな!って。


めっ!ですよ!


さて、腕前の方はどうかな。

勇者様はこっちが誘うまま、振ってて欲しいところに目掛けて気持ちよさそうに攻撃をしてくれる。


カキンカキンと数度打ち合ったら、まぁ、分かっちゃうよね。

ほら、俺、兵士のエリートだし。

副団長様だし。

つえーから。

俺、つえーから。


勇者の剣術はどうなんって?


んー…まぁ、んーって感じかな。


まだ若いし伸び代はあるよ。

筋も悪くないね。


…ただなぁ、こっちは十何年もアホみたいに対人戦ばっかりやって来たんよ。

旅に出たてのさ、村では力自慢でした程度の奴らには負ける気がしないやね。

たとえ神様の加護がマジで存在したとしてもよ。


そういや昔飲み屋で拳闘士のチャンピオンと話した時に、そんな話題になったことあったなぁ。


なんかさー、何故か格闘技だけは素人が自分でも勝てると思い込んでいることが多くね?って。

何故か格闘技だけ喧嘩の延長線上にあると思われるよなって話。


マジでそんなことないから。


体格っつーアドバンテージが存在するのは認めるけどさ、やっぱ専門的にトレーニングした奴らにゃ敵わないのよ。

才能云々はトレーニング後に差が出るものだしね。


他のスポーツはあんまりそんな事ないのにさー。


チャンピオンなんてなるような奴らなんてとくにさ、格闘技だろうがスポーツだろうが、どっちもちっちゃな頃から専門的な教育を受けてんのな。

そんでプロになった後は周りにもそんな奴ばっかり。

そんな中、更に勝ちに勝ち抜いて来た奴をチャンピオンって呼ぶのよ?


素人には無理ってのはそういう話ね?

場数も全然違うし。


殴り合いでもそういえるんだから、剣術勝負の兵士にも言えることだよ。


素人に毛が生えた新兵ならまだしもね、俺達みたいにある程度にまでのし上がる様な奴にはちょっとやそっとの才能じゃあ勝てる訳がありません。


もしも世界一の才能が勇者にあったとしても、先人達の知恵と経験を利用させてもらってブラッシュアップしてきた最先端の戦闘技術には勝てないよ。


あ?俺?

3年連続王国剣術大会のチャンピオン様だよ馬鹿野郎。

それが出世の一因だもん。


まー、剣術大会ってさ、実績が欲しいとか、出世の足掛かりにとかさ、クソ姫に急に出ろ出ろって勝手に出場登録されでもしなけりゃあ、ガチな奴はあんま出ないからね。


ほら、技を見せるのもリスクがあるし。


俺なんか足元にも及ばねぇすんげぇ剣豪は沢山いるよ。


…おっと、余裕がありすぎてよく分からん考え事しちゃってた。

ごめんな、真剣に戦ってんのに。

でもやっぱこの実力で盗賊団討伐はキツかったな。

先に掃討しといて良かったわ。


まぁ、分かるよ。

剣を握れば強くなった気がしちゃうよな。

それは分かる、俺だって男の子だしよ。


ガキの頃初めて木の枝を拾った時は、俺もそんな気分になったもん。


いくらでも捌けるし、いつでも勝てはするんだけども、今回は俺が勝つ訳にゃいかねーのよ。


スネたりはしなさそうだけども、怪我をされたりしても困っちゃう。

一番困るのは修行パートに入ることだけど。

パッと行って貰わなきゃさ…いつまでも付き合ってらんないから。


さてさて、丁度良いタイミングで逃げ出さなくてはならない。


あんま続けると疲労で勝手に怪我されそうだしってことで、俺らは勇者パーティの体力が尽きたタイミングで走って逃げる。


勇者様は追って来ねーよ。


というか追えやしないってな。

打ち合った後に走るだなんて相応の訓練をしてないとできないんだから。

それこそ兵隊訓練でやるような、あの思い出したくもないヤバい基礎トレーニングとかさ。

そんなんやんないと。


一応ね、離脱してから確認したけど、こっちもあっちも怪我をしていないみたいで一安心。


部下が怪我してたら一人一発ぶん殴ろうかと思ってたわ。

これはパワハラじゃないよ?

だらけたら死ぬのはその部下なんだから、愛よ、愛。


俺のラブ。


部隊のトレーニングも5倍にしていたかもな。

あ、これもラブよ。


んで、お前ら、勇者達はどうだった?


「…新兵で入って来たら、3年後には使い物になるだろうと期待する、くらいの実力でしたね。」


長年俺のラブを受け、屈強となった部下たち。

彼らの勇者パーティ評価がコレだった。


うむ、これは中々の高評価だよ、キミ。

星3.5ってところかな。


連れてった奴らは我が隊の腕自慢達。

まー俺と同じく物心つくより前から親にしごかれていたクチの同士よ。

朝から晩まで親父にバシバシと打ち込まれ、学校に通っても友達なんて作る暇もなく剣を振ってきたような奴ら。


兵士学校へ入学すれば、敷地の外から親父が見張っていて帰宅後に問題点なんかをまとめられていて、訓練でヘロヘロになった後に更に扱かれてきた人生。


お前は王国騎士の星を目指せってね。


そんな彼らから見て、たった3年でなんとか戦える様になるだろうというのは、素晴らしい評価よ。

剣にお世辞とか言わねーもん。

それを間に受けて死なれちゃ困るしね。


まぁ腕っぷしだけの話で、捜査や治安維持、戦術や戦略なんかも身につけなければならないので、騎士としてはお世辞の部類なんだけども。


村にいたら助長するくらいの才能と実力はあったって感じね。

あ、そういやーね、マジで一つだけ素晴らしい所があったな、そういえば。


本当に顔が良かった。

近くで見たらホント、役者やった方がいいだろう君はって感じだったわ。


あれなら姫もチェンジとは言わないんじゃないかな。


連れて行ってから、コレじゃないって言われるのが今の所一番怖いもん。


泣くね。

泣くよ。

ゴネ…たいけど、無駄なのは分かってるから、さめざめと泣くことしか出来ないわ。


そうは言われましても、当店ではコレが勇者なんでございますって言って納得する様な真っ当な女を姫と呼んでいるのなら、俺ももっと早くに帰路についているって話よ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。