↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国騎士団副団長の憂鬱  作者: まつり
侯爵令嬢が婚約破棄された、らしい
PR
15/17

方向性を見失っている、らしい

出番の終わったインテリを労う。

いい声だった。

読み方も上手だった。

感動した!なんてね。


心境はそんなことしてる場合じゃねーんだけど。


ドッキドキ。

令嬢がやらかしてないか、不安で不安で仕方がない。


よし、聞くか。

聞きたくねーけど、聞かないと話が進まない。

経験上後回しにすれば状況は悪化するし…。


あー、ところで令嬢は?


その一言を言う心の準備を決めるのに時間が必要過ぎて、我ながら必要以上にインテリを褒めた自覚はあるよ。


「あぁ、支配人ですか?

今は建設途中の宿舎の方へ視察へ行っていますよ。


…ん?えぇ、もしかして…無許可でした?」


無許可も何も今初めて聞いた単語よ。

宿舎、それと総支配人。

…支配人!?なにそれ!誰それ!


「てっきり方針その3、ついでだから孤児も助けよう的な指示があったものかと…。」


知らねー!

方針その3は他国で使ったっての。


おい、早く本題を話せよ。

でないと今日という日が終わらないだろ。


早く帰って眠りたくなって来たのに。

いいウイスキーを買って、しこたま飲んで、早く思い出にしたいのに。


「つまり…。」


うんうん、つまりね。


この奇跡的なイケメンパラダイスとなったカフェの成功に手応えを掴んだ令嬢が、たった2ヶ月の利益をもって独立を果たしたと。


一応建前ではオーナーになっている喫茶のマスターは王城やら騎士団から事情を聞いていたのでそういうもんかと疑うこともなくすぐに了承。


更に王城から借金をする事にも成功。

例の事業に必要なのね、と文官も使い道をろくに調べず大金を渡したと、はいはい。


んで、不動産屋を文官に紹介してもらい、彼らも例の件ねと格安で土地をご用意。


そんで、支配人となったとね、それは分かった、了解。


は?やっぱ分かんない。

動き早過ぎない?

そっかー、優秀ってのは怖いや。

俺なんて筋肉の中では多少マシくらいの知力だもの。


荷が重かったなぁ。


…もう帰ろうかな。

宿舎については聞きたくない。

現時点の情報だけでも俺の頭の中の枠から飛び出しているっつーの。


操縦不可能。

インポッシブル。

暴れ馬。


「それでですね、この優秀な男たちがいつまでも居てくれると、そんな甘い考えは起こさなかった様で…。」


令嬢は孤児に目をつけたと。

巷に溢れる孤児。

そりゃ可哀想さ。

俺だってなんとかしたいとは思うよ。

なんせ騎士団だからね、俺。

親が逮捕されたり戦争でいなくなったり、あいつらが孤児になった原因を作ったのは俺かもしれないから。


それが減るならありがたいよ。


ありがたいのだけれども、俺がフォローしなきゃいけないタイミングでやって欲しくはなかったのが本音かなー。


「宿舎を視察しますか?

案内を付けましょう。


支配人からは、もし副団長が来たらお話があると言付けされておりましたので歓迎されるでしょう。


君、副団長様の案内を頼む。

宿舎におられる支配人の所にだ、失礼のない様にね。」


「はい!」


パタパタと働いている俺が選定したスタッフ以外の人材の中でも、一番若い、というかもはや幼い男の子が控室からトテトテと出て来た。


ははぁ、この綺麗な顔の男の子も孤児って訳ね。


その子は俺と目が合うと、ペッとお辞儀をして歩き出したので、大人しくついていくとしようか。


んー、俺は割とデカいし、騎士として鍛えてもいるから、割と子供から怖がられる方なんだけども、なんつーか、そんな感じじゃない。


あー、多分あれだ。


俺を、この子らのことを助けた正義の一味と勘違いしてんだな。

どんなに今の生活が前よりも過ごしやすいかなんて話を大袈裟に語ってくれる。


「明日の食事と安全な寝床の心配をしなくてよくなったので、僕よりチビ達はホント、明るくなったんですよ。


あ、あそこの劇場は来年建て替えるらしいですね。

創立60年もあるそうですよ。

より歌にフォーカスした建物になるんですって。


あ、建て替え中は劇が減るじゃないですか。

なので同じエリアで見せ物を売りにするウチの店にもチャンスが巡って来るかもしれないので、僕らも今頑張っているんです。」


はえー…君、道案内上手いな。


何そのプチ観光情報に絡めたら自分たちの解説。

すごいなこの子。


たった3ヶ月で…何をどうしたら孤児をここまで教育出来るんだよ。


おっそろし。


「…僕は、あいつらをまとめてたんですけど、行き詰まりを感じていたんです。

こうやって未来の事で頑張れるっていうのは、たのしいです。


助けて頂いて、ありがとうございます。」



そっかそっか。


この子は孤児のまとめ役、元からある程度優秀だったのかね。

だから先んじて教育から実践に移ったってことかな。


ちょっと腑に落ちた。


いやちょっと待てその子の目は納得してないぞ?

何その目。

遠くを見る様な目で俺を見てる…。

黒目が、なんつーかな。

深いって言ったらいいのかな。


あ、むかーしむかしに任務で滅ぼした、邪教の狂信者とおんなじだ。

ギャンギャンの瞳。


マジでそれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。