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王国騎士団副団長の憂鬱  作者: まつり
侯爵令嬢が婚約破棄された、らしい
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12/17

新店舗がオープンする、らしい

令嬢は匿えた。

職も提供できた。

とりあえず頑張って働いてもらってる裏では俺が描いた絵図通りに建設は進み、たった一月半で令嬢用に建てられた店舗はオープン可能な状態になった。


詰所も近いし、俺らしか知らない裏口も配備されているし、分かりにくく防犯を意識した作りになっていて実に守りやすい。


そつち方面は流石に俺らはプロよ。

設計を担当した奴が、城壁を堅牢にする為に学んだ技術を一番はじめに使うのが、ファンシーな飲食店だとは思わなかったって言ってたけど。


あとは皇子を筆頭に、腕の立つ良い男を店員として送り込むだけだ。


真面目でカッコいい、実は皇子な兵士君。


幼さが残る顔立ちで、実家は大商会の奴。


前回の兵士達での剣術大会で準優勝した爽やかな奴。

あ、優勝は俺ね。


兵士とは思えない程のインテリで、学位も持っている奴と優しく話しやすいと評判の奴。

こいつらは兵士じゃないけどね。

コンサルタントと経営のプロ。


令嬢が運営する店のフォローの為に送りつつ、あわよくばいい感じになってくれたら枠だ。


各々結婚相手が居ない騎士や文官の中では有望株。

何らかの功績があって、令嬢と結ばれる際に壁となる身分の差も、王様の一声で無理やり家柄を付ける言い訳も立つ。

そんな選ばれ者達なんよ。


俺が女ならほっとかないね。


ちなみに令嬢の新店舗就任まで、店に通って見張る役は忙しく働いている筈の俺。

そりゃそうだよね、だってバレちゃったもん。

バッタリと出くわしたもん。


よく分からなくなって混乱したマスターが、俺に毎日来る常連だって属性を付けちゃったから、今更店も変えられないし。


まぁ、いいよ。

本当に結構な頻度で通っていたんだから。

顔見知りだし、向こうは完全に俺のこと覚えてたし、元々今回暗躍するのには向いてない人材の自覚はあるから、堂々と見張ってやるよ。


今更ね、俺以外が通う様になったら勘づかれちゃうもの。

勇者と違ってそういうの察するだろうからね。

こういう計画があるってバレたらマズイのかって話なんだけどさ、傷ついた令嬢にまた誰かが無理矢理男を当てがっているってのは、なんかね、あんまり良くないよね。


傷つけちゃうかもしんないし。

だから計画を隠すと決めたのは俺のわがままに近いかな。


正直言って本人に護衛している事がバレるのは構わないんだけどね。

実家から降り注ぐ身の危険は本人が一番警戒してるだろうし。

けどね、知らんぷりするのが男の甲斐性ってもんだろ?


年若い娘さんに負い目になりそうな荷物を背負わせる訳にはいかないよ。

ただでさえ本人のせいじゃない不運に巻き込まれちゃっているんだから。


今後の人生もあるわけだし、借りを感じたりされてもね。

だから知らない方がいいと思うのよ。


俺は。


計画は上手く進み、店も出来て人選も終わった。

じゃあ何が起こるのかって?いよいよ令嬢が活躍し始めるターンよ。


「今度、新店舗を任せられる事になったんですよ。

おかしくないですか?まだここに入って2ヶ月程度なのに。」


確かにおかしいね、だけど計算も経営も運営も専門的に学んだ平民なんて砂浜で砂金を探す様なもんだからさ。

人柄が良ければそうなる事なんてあるって。


…そうは言っても無理があるか。

いや、実際そういうところはあるけどね。


先見がある人がマスターをやっていたらそうする事もあるだろうさ。

とんでもねー人材が手に入ったぜ、商売を広げたろって。

あそこでアワアワしている人の良さそうなお髭のおじさんはそんな事考えもしないだろうけど。


「…そうですね、教育…ですか。

それだけは父に感謝しなければなりませんね。」


慰謝料代わりにもならないだろうけど、残るもんがあって良かったね。


こっちはとりあえずひと段落しそうだな。

後はイケメンファイブにフォローを頼みつつ、部下どもを平服で店に通わせたらいい。

店の運営は先に店に入ってるイケメンファイブがある程度確立してるし、仕入れ先なんかも王命で確保してあるし、そこまでお膳立てされてゃあこの娘なら上手くやれるだろうさ。


新店舗のオープニングには、俺も何故かマスターの店の常連として参加させられた。

マジで理由が分からん。

多分お転婆姫が令嬢の様子を知る為に、俺をスパイとして送り込んだんだと推測してる。


その後記念のささやかなパーティにもお呼ばれした。

ここがチャンスと先程の選ばれファイブを連れて行ったので、面通しも済んだし、これでしばらくは問題ねーんじゃねーの?


さてと。


あっちの方も手をつけなきゃな。

あのアホ王子と、それを拐かした聖女様。


他国のことだからなぁ、無理やりどうこうなんてし難いけど、あんなアホが隣の国の責任者になられたら将来が心配だ。


手始めに、聖女とやらの素性を調べようか。

もし成り上がろうとして今回の件を起こしたなら、釘を刺しておかねーと。


王子には…別にいいか。

今回の件、我が国はとっても怒っていますよ、王様もぷんぷんですって向こうの王に伝えたら、王子は王子じゃなくなるだろうし。


もしウチを舐めてかかって、息子を守るようなボンクラ王なら…。

国ごとなくなってもらうだけさ。


おっと、黒副団長またでちゃった。


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