第五ステージ、お菓子な世界の「鉄錆(サビ)の洗礼」
初めての投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
では、参ります!!
## 第12章:第五ステージ、お菓子な世界の「鉄錆の洗礼」
ピーーー……ガガガッ……システム・エラー。
「――システム・アナウンス。これより【第五ステージ:全編・超本格的アップルパイ建築ベーキングディストピア】への強制ロードを実行……し、し、し……シッ、システムに、未確認の『漆黒のセキュリティ・パッチ』が検出されました。ただいま、背景グラフィックのテクスチャを『甘いお菓子』から『冷酷な白磁と錆びた鉄』へと強制的に書き換え(上書き)して、ビルドしています……」
光のパッチ・ゲートをくぐり抜けた私たちが、次の大地に足を着いた瞬間、耳に飛び込んできたのは爽快なファンファーレではなかった。
ゴゴゴゴゴゴ……と、世界の底が鳴るような不気味な重低音。
そして、鼻腔を突いたのは、予告されていた「焼き立てのアップルパイの甘い匂い」などではなく、鼻の奥がツンとするような、冷たい「鉄錆と、焦げ付いたオイルの匂い」だった。
「……あれ? おかしいわね。事前のアナウンスだと、メルヘンチックなお菓子の家が並ぶ世界のはずじゃ……」
18歳のレイラが、周囲の景色を見渡して息を呑んだ。
レンダリングされてきた視界は、およそ「お菓子」とは程遠いものだった。
地平線の彼方まで広がっているのは、巨大な歯車と錆びついたクレーンが不気味に静止した、【廃棄された巨大機械城のスクラップ場】のようなディストピア。空を見上げれば、雲の代わりにどんよりとした鉛色の煙が立ち込め、これまで世界を彩っていた「15コマの明るい太陽」は、どこにも見当たらなかった。
「マスター、周辺の環境データをスキャン。……このエリアのオブジェクト強度は、前ステージまでの『ギャグ補正(お笑い演算)』が完全に遮断されています。世界の根本的な仕様が、極めてシリアスな『デスマッチ仕様』に固定されています」
ノワールが耳のデバイスをバタパタと動かそうとするが、その動きすら、どこか重苦しい。
「へへ、何だいこの不気味なグラフィックは! あたしのゼンマイ式加速パッチが、世界の冷たい空気のせいでカチカチに凍りつきそうだ。ジャンクパーツは山ほど転がってるけど、どれも生気が感じられないよ……」
チェルシーが背中の巨大スパナを抱きかかえ、身震いした。
「……みんな、警戒して。何かが、来る」
アカリが瞳の炎のテクスチャを険しく尖らせ、前方を見据える。
静寂に包まれたスクラップの山の向こうから、ガシャン……ガシャン……と、正確無比な120fpsの足音が響いてきた。
そこに現れたのは、これまでの「おバカな四天王」たちとは一線を画す、圧倒的な威圧感を放つアセットだった。
漆黒の甲冑に身を包み、手には世界のすべての光を吸い込むような「黒鉄の巨大大剣」を携えた騎士。その顔面は無機質なバイザーで覆われ、表情は一切読み取れない。ただ、その頭上には、赤黒いノイズに塗れた文字でこう描かれていた。
**【過激派・筆頭調律守護者:デリート・ゼロ】**
「――見つけたぞ、システムを乱す『おバカ調律師』のバグアセットども」
その声は、エコーのない冷徹なシステム音声そのものだった。
「我は天幻卿ヴァルガより、この世界の『最終防衛コード』を委託された者。これ以上のふざけたバグ技によるステージ突破を、我が絶対のセキュリティ(仕様)が断じて許さん」
「へっ、また過激派の神々の回し者かい! どんなに強そうなグラフィックをしてたって、ボクのこの『万能の買い物カゴ』で、その大剣ごと別のマヌケなデータに書き換えて――」
私はいつものように、背中から絶対の信頼を置く「緑色の買い物カゴ(30L)」をガバッと外して、デリート・ゼロに向けて突き出した。
カゴのフタを開け、相手の攻撃データを吸い込もうとした、その瞬間だった。
**「――無駄だ(システム・パージ)」**
デリート・ゼロが、視認できないほどの超高速フレームで黒鉄の大剣を静かに一閃した。
魔法でも、炎でもない。ただの「純粋な、圧倒的な物理の速度と質量」が、空間の座標を真っ二つに切り裂いた。
パギィィィィィィィィィィン!!!!!!
「……え?」
私の手の中で、何か信じられない音が響いた。
いつもなら、どんな大盛りチャーハンも、地球1個分の質量すらも「ポンッ」とマヌケな音で吸い込んで圧縮してくれた、あの絶対の緑色のカゴ。
そのカゴのプラスチックのボディに――ありえないほどの、深々と引き裂かれた「亀裂」が走り、内部のゼンマイやプログラムコードが、火花を散らしながらポロポロと地面にこぼれ落ちていく。
「カゴが……切り裂かれた……!? 吸収が、間に合わなかった……!?」
私の脳内CPUが、恐怖で一瞬にしてフリーズした。
「マスター、危険です! 最大出力で退避を!」
ノワールが叫び、クレーンアームを展開して私を後ろへと引きはがしたが、デリート・ゼロは追撃することなく、ただ冷酷に大剣を引いた。
地面に転がった緑色の買い物カゴは、カチカチ……と虚しいブリキの音を立て、フタのプラスチックが完全にパージされ、二度と起動の光を宿すことはなかった。
これまで私たちを幾度となく救ってきた「万能のギャグ盾」が、今、完全に【修復不可能な状態】へと大破させられたのだ。
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## 第13章:ギャグの通用しない世界
「嘘……、イサナギの買い物カゴが、一撃でバラバラにされるなんて……!」
レイラが蒼海石の杖を握る手を震わせ、絶望の表情を浮かべた。
「クク……、お笑い草だな。我が真祖の霧化を使おうにも、このエリア全体が『ギャグお断り(シリアス・フィールド)』のコードで満ちておる。ギャグによる無敵判定が、一切機能せんわい!」
ドラキュラが、マントを鋭く尖らせてデリート・ゼロを睨みつけるが、その額からは冷や汗のドット絵が流れていた。
「ふははは! 脆弱なバグデータどもめ、理解したか」
デリート・ゼロが黒鉄の大剣をゆっくりと天に掲げると、周囲の錆びついた機械の山が、彼の放つ漆黒の魔力に共鳴して、ガタガタと駆動を始めた。
「これまでの四天王どもは、お前たちのマヌケな『お笑い演出』にノリを合わせて自滅した無能なアセットに過ぎん。だが、我にその手の『おバカな妥協』は一切通用しない。我はただ、ヴァルガ様の仕様書通りに、お前たちの存在データを根こそぎデリート(消去)するのみだ」
「くそっ、カゴが使えないなら……ボクの鉄剣と、みんなの連携で戦うしかない! 15コマのステップで、相手のヒットボックスの隙間を突くんだ!」
私はバラバラになったカゴの残骸を急いで拾い、背中のリュックに詰め込んで、腰の鉄剣をシャキーンと引き抜いた。
「レイラ、後方から魔導サポーターを! ゴルドンおじさん、チェルシー、ノワール、前衛でボスの大剣を受け止めるよ!」
「おうよ! カゴが壊れたくらいで、ドワーフの根性がへたれてたまるかァァァッッ!!!」
ゴルドンおじさんが黄金ハンマーを両手で構え、地面を蹴った。
「喰らいな、錆びたブリキ野郎! 【ドワーフ秘伝・岩盤叩き割りの一撃】だァァァッッ!!!」
おじさんのハンマーが、時速200キロの猛烈なフレームでデリート・ゼロの脳面に炸裂しようとする。
しかし――デリート・ゼロは微動だにせず、ただ左手の甲冑で、その黄金ハンマーを「パシィン」と、ハエでも払うかのように軽く受け止めた。
「何っ!?」
「――フレーム数が足りん。モーションの発生(出がかり)が遅すぎるのだ」
デリート・ゼロの冷徹な声と共に、彼の足元から黒い衝撃波が放たれ、ゴルドンおじさんの巨体が「ドガァァァン!」とスクラップの山まで吹き飛ばされた。
おじさんのHPゲージが一瞬で「半分」まで削り取られる。
「ゴルドンおじさん!」
レイラが叫び、杖を天に掲げる。
「させないわ! **【蒼海石の激流魔法】**!!!」
スタジアムの床を突き破るような大水流がデリート・ゼロを飲み込もうとしたが、彼は大剣をただ一振り、空間を「薙ぐ」ように振るっただけで、レイラの放った最高解像度の魔法データを、文字通り【空間ごと消去(バグ消し)】して完全に霧散させてしまった。
「魔法のデータが……消された!? 抵抗じゃなくて、存在そのものを無効化されたわ……!」
「アハハハ! じゃあ、あたしのこの『超加速・ジャンクスパナ・トルネード』ならどうだい!?」
チェルシーがゼンマイをギチギチに巻き上げ、コマ送りを超えた超高速回転でデリート・ゼロの死角(背後)から突撃した。アカリも同時に、瞳の炎を最大出力にして「熱血キック」を叩き込もうとする。
だが、デリート・ゼロのバイザーが妖しく光った。
「――無駄だと言っている」
彼は振り返ることすらなく、背後に「漆黒のデータ防壁」を展開。チェルシーのスパナも、アカリの熱血キックも、その黒い壁に接触した瞬間、
『システム拒否:許可されていない攻撃オブジェクトです』
という無機質なエラーログを吐き出し、二人の肉体アセットを弾き飛ばした。
「痛たたたっ……! 何だよあの壁、あたしたちの攻撃を『最初から存在しなかったこと』にしやがる……っ!」
チェルシーが地面に尻餅をつき、悔しそうに歯噛みする。
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## 第14章:絶対絶命の調律パーティ
前ステージまでの「どんな攻撃もお笑いに変える」というおバカな無敵感は、ここには一切存在しなかった。
私たちの放つ全ての攻撃が、デリート・ゼロの圧倒的な「シリアスな戦闘スペック」と「絶対の防壁(仕様)」の前に、ラグもなく冷酷に処理(却下)されていく。
「はぁ……はぁ……。なんて強さだ。これが、過激派の神々の本気のセキュリティ(守護者)なのか……!」
私は鉄剣を構え直すが、腕の震えが止まらない。背中のカゴがないという事実が、これほどまでに心細いものだとは思いもしなかった。
「マスター、これ以上の正面戦闘は推奨されません。パーティの全滅(データ消去)確率、現在98.7%に上昇」
ノワールが私の前に立ち、その無表情な顔に、かつてないほどの深刻な警告ログを表示させる。
デリート・ゼロはゆっくりと大剣を構え、私たちをジリジリと追いつめていく。
彼の背後では、錆びついた巨大機械城の歯車が、まるで私たちの終焉を刻むように、ギギギ……と不気味に、ゆっくりと回り始めていた。
「お前たちの『おバカな旅(バグの歴史)』も、この第五ステージで完全に終了だ。バグは修正され、世界はヴァルガ様の望む、完璧な無無(白磁)へとフォーマットされる」
漆黒の大剣に、世界を終わらせるほどのどす黒い魔力(消去プログラム)が集束していく。その一撃が放たれれば、今度こそ私たちの命は完全にサーバーから消滅してしまうだろう。
「くそっ……、ボクたちの15コマの旅は、ここで終わっちゃうのか……!?」
私が歯を食いしばり、壊れたカゴの入ったリュックを強く握りしめた、その時。
「――全員、あたしの後ろに隠れなさいッッッ!!!!!」
スタジアムの瓦礫の陰から、ボロボロになりながらも瞳の炎をかつてないほど「青く」燃え上がらせた新キャラクターの少女――【アカリ】が、私たちの前に猛ダッシュで立ちはだかった!
彼女は手首の全てのリストバンドをパチパチと引きちぎり、胸の奥にある「古い大運動会のバックアップデータ」の残りのエネルギーを、自身の両腕に限界を超えてコンパイル(集中)させ始めた。
「プロエティンから引き継いだ、私の最後の演出プログラム……【熱血絶対防壁:青春の延長戦】ォォォォォッッッッッ!!!!!」
アカリの両腕から、スタジアム全体を包み込むほどの、眩しい「オレンジ色の夕日のグラフィック」が巨大なシールドとなって大展開された。
デリート・ゼロの黒鉄の大剣から放たれた消去の一撃が、その夕日のシールドと真っ向から衝突し、バリバリバリ!!!と凄まじいシステムエラーの火花を散らす。
「チッ……、消去コードを『青春の根性』という未確定データで相殺しているか……。だが、そんな不完全な防壁、数秒しか維持できまい」
デリート・ゼロが大剣にさらに力を込める。アカリの夕日シールドに、めきめきとひび割れが広がっていく。
「イサナギ……みんな……、ここは私が食い止めるわ……!」
アカリが口元からドット絵の血のパーティクルを流しながら、必死の形相で振り返った。
「この街の地下に、古いバージョン1.0の『お菓子建築の廃棄セクター(地下迷宮)』がまだ残っているはずよ……! カゴを直す方法も、デリート・ゼロを破るヒントも、きっとそこにある! 早く……早く逃げてぇぇぇぇぇッッッッッ!!!!!」
「アカリちゃん!? でも、君を置いてなんて――」
「マスター(イサナギ)、アカリの意図を汲み取ります。……全員、地下のスクラップハッチへ退避を開始!」
ノワールが私の襟首をガシッと掴み、チェルシーとレイラ、そしてボロボロのゴルドンおじさんを抱えて、地面の錆びついたハッチの座標へと全力で飛び込んだ。
「アカリちゃんーーーーーッッッッッ!!!!!」
私の叫びが響く中、アカリの夕日シールドが、デリート・ゼロの大剣によって完全に粉砕されるグラフィックが視界の端に映った。
直後、私たちは真っ暗な地下迷宮のロード画面(暗黒)へと、真っ逆さまに落ちていくのだった――。
(――おバカ調律師、絶体絶命の前半戦、終了。壊れたカゴと、シリアスな強敵デリート・ゼロを前に、ボクたちはどう立ち向かうのか……!? 後半へ続く!)
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。頑張って新しいアイデアを入れ込んでいきますので、よろしくお願いします。




