第4セクター:特級仕様策定領域
初めての投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
では、参ります!!
第1章:仕様策定官の領域(ピンク・グリッドの迷宮)
「――システム・アナウンス。これより【第4セクター:特級仕様策定領域】へのインポートを開始します。本エリアの物理法則は、すべて四天王ルミエルの『承認ライセンス』によって制御されています」
渓谷の焼き鳥臭をようやく風の幻素で洗い流した僕たちの前に現れたのは、世界のグラフィックが根本から「バグっている」としか言いようのない、不気味な白磁の立方体構造体だった。
壁も、床も、天井も、すべてがパステル調の蛍光ピンクと白磁の格子模様。
しかも、そのグリッド線の上を、無数の「万年筆のペン先」のような形状をした自律防衛プログラムが、シャカシャカと虫のように這い回っている。
「うわぁ……何この悪趣味なカラーパレット。視覚メモリ(VRAM)にものすごい負荷がかかりそうなセクターね」
レイラが蒼海石の杖を構えながら、ピンク色に明滅する床を警戒するように一歩踏み出す。
すると、その足跡の形に合わせて、床のテクスチャが「仕様変更」「仕様変更」という文字の羅列へとパッと切り替わり、彼女の歩行速度がミリ単位で重くなる。
「気をつけろ、少年。ここはただのダンジョンではないぞ。奴の万年筆が引いたライン(仕様線)を踏むたびに、我々の肉体の構成データ(ステータス)がリアルタイムで書き換えられて(弱体化されて)いる」
ドラキュラがマントの端を消滅コードで削られながら、黄金の瞳を険しく光らせた。
「アハハ! でも、今のボクの買い物カゴは『容量30L(材料ありで10Lのブラックホール発生)』の最強無敵のバグ仕様だよ! ルミエルがどんなクソ仕様を策定してこようが、全員おもちゃのミニチュアか焼き鳥に変えてあげるんだから!」
私は背中にぴったりとフィットしている新仕様のカゴをポンと叩き、脳内の15コマの基本グリッドをシャキーンと同期させた。3日間のふて寝のおかげで、現在のフレームレートは15コマの完全固定。処理落ちは一切ない。
「油断しないで、マスター。上空のレイヤーから、ものすごい速度で『承認コード』が降ってくるわ。――くるわよ!」
ノワールが叫んだ瞬間、天井のピンクのグリッドがガラガラと崩れ落ち、あの白磁の仮面を被った道化師――四天王ルミエルが、巨大な万年筆型の魔導具をバトンのようにクルクルと回しながら、空中から優雅にフェードインしてきた。
「アハハハ! 待っていたよ、不要アセットのゴミクズ諸君! 3日間も物置小屋でふて寝をしていたなんて、ずいぶんと余裕のあるタイムシート(スケジュール)じゃないか! だけどね、私の新しい仕様書(バージョン2.05)では、君たちのそんな『おバカなバグ技』なんて、最初から想定の範囲内(バグフィックス済み)なんだよ!」
ルミエルが万年筆の先から、どす黒い蛍光ピンクのインク(魔力コード)を空間全体へと一斉にブチ撒けた。
『――特級仕様命令! 本セクター内における「カゴ」および「収納」と名のつくオブジェクトの物理引力を、強制的に【反転(斥力バグ)】に変更します!』
「……へ?」
私が驚いた瞬間、背中のカゴがキュイィィィィィンと不気味なエラー音を立てて逆回転を始めた。
さっきまで敵を吸い込んで「手のひらサイズのおもちゃ」に変えていたあの強力な10Lブラックホールの引力が、なんと今度は「中身を四方八方に猛烈にブチ撒ける大噴火ホワイトホール」へと完全改悪(仕様変更)されてしまったのだ!
「うわああああっ!? カゴが! ボクのカゴが勝手にリバース(逆流)を始めたァァァッッ!!!」
ポポポポポポポポポポンッッッ!!!!!
カゴの底に残っていた、さっきの戦闘のドロップアイテムである「押し骨せんべい」や「焼き鳥の食べ残した骨」、さらにはセピア大陸のゴミデータ(謎の空き缶)が、まるで機関銃のような凄まじい速度でカゴの口から連射され、僕たちの頭上へと降り注いだ。
「痛い痛い痛い! 何で私が味方のゴミデータでダメージを受けなきゃいけないのよォォォッ!」
レイラがハリセン(※さっきバグで変換されたやつ)で飛んでくる骨クズを必死に叩き落とす。
「アハハハ! 最高だね、これぞ『仕様のセルフデバッグ(自滅)』さ! さぁ、そのまま自分のゴミに埋もれて、データごと一括消去されちゃいなさい!」
空中を浮遊するルミエルが、私たちのマヌケな大パニックを見て狂ったように笑声を上げる。
第2章:偽りの仮面と、15コマの違和感
「マスター、落ち着いて! カゴのフタを閉めるのよ!」
ノワールが私の背中に飛びつき、カゴの開口部を力ずくでガバッと閉じた。
これにより、ゴミデータの無限射出は辛うじて停止したが、カゴの最大容量は『斥力ペナルティ』により、一時的に20リットルへとさらに減少してしまった。
「ハァ、ハァ……。危なかった。自分のカゴのゴミデータでゲームオーバー(全滅)になったら、大陸の歴史に末代まで恥を晒すところだったよ……」
私は鉄剣を構え直し、冷や汗を拭った。
しかし、その時、僕の脳内の15コマの調律師アイが、空中を舞うルミエルの「グラフィックの不自然なカクつき」を正確にキャッチした。
ルミエルは、高笑いしながら万年筆を振り回している。
一見すると、完璧にヴァルガの洗脳コード(バージョン2.0)に染まりきった敵の四天王そのものだ。
だが、彼が万年筆を右から左へ振る「中割りの3コマ目」と「4コマ目」の瞬間、彼の被っている『白磁の天秤の仮面』の隙間から、一瞬だけ――本当に15コマ分の1秒という極小のフレームの中で、ボロボロと溢れ出す「青い涙のドロップエフェクト(バグ)」がレンダリングされているのが見えた。
(……待って。ルミエル、君、本当に自分の意志でそのクソ仕様を策定しているの……?)
私は叫んだ。
「ルミエル! 君は3年前、ボクたちと一緒に、世界のすべての子供たちに面白い絵コンテ(紙芝居)を見せるために、寝る間も惜しんでアニメーションのコマを打っていた、あの優しい『光の小僧』のルミエルのはずだ! なんで、こんな誰の心もワクワクさせない、ただの嫌がらせパッチ(改悪)ばかり作っているんだよ!」
その言葉がルミエルの耳に入った瞬間、彼の空中での浮遊モーションが「ピクッ」と不自然にフリーズした。
仮面の奥の瞳が、激しいエラーコード(赤文字)と、本来の優しい光(青文字)の間で、交互に高速でチカチカと点滅を始める。
「く……あ、アハハ……何、を、言っているんだいイサナギ……。私は、ヴァルガ様に選ばれた、完璧な仕様策定官……。古いバージョン1.0の私なんて、とっくに『仕様書から削除』されたんだ……。だから……だから私は、君たちを……綺麗に消さなきゃ……いけない、んだ……っ!」
ルミエルが頭を抱え、苦しそうに空中をローリングする。
彼の背中の空間から、バリバリバリ!!!と凄まじい黒いノイズが噴き出し、彼を縛るヴァルガの「制御コード(吸魔ケーブル)」が、その首元に何十本もグチャグチャに絡みついているのがハッキリと可視化された。
「少年、やはりな。あの道化師も、前回のプロメテウスと同様、ヴァルガの『不正な上書きコード(吸魔パッチ)』によって、精神のルート権限を完全に奪われている。……魂のバックアップデータが、あの仮面の裏で今も泣き叫んでいるぞ」
ドラキュラが鉄剣の刃を青く輝かせながら、静かに私の隣へと並んだ。
「うん……。ルミエルは、自分の意志でボクたちを攻撃してなんかない。ヴァルガのクソ仕様に、心がハッキングされているだけなんだ! ――みんな、作戦変更だよ! ルミエルをデリート(打倒)するんじゃない。彼を縛るあの『天秤の仮面(不正パッチ)』を、ボクたちの連携で完全にブチ壊して(アンインストールして)、彼を元のフルカラーの世界へ連れ戻すんだ!」
「ええ! 私たちの『チーフ・プランナー』を、あんな悪趣味なピンクの迷宮にこれ以上置いておけないわ! ――インポート(突撃)開始よ、イサナギ!」
レイラが水の結界を全開にして叫び、僕たち5人のパーティ・アセットは、ルミエルの洗脳仮面をハッキングするための「最終デバッグ決戦」へと勢いよく地を蹴った!
第3章:四天王の猛攻と、おバカなカウンター・コンポジション
『――自動防衛システム最大稼働! 侵入者をセクターから『強制排除』しなさいッ!!』
洗脳コードに完全に意識を乗っ取られたルミエルが、虚空へ向けて万年筆の先から、今度は巨大な「消しゴム型」のホーミング・ミサイル(物理消去オブジェクト)を、何百発も一斉に射出してきた。
「うわっ、あの消しゴムに触れたら、防具のテクスチャが消されて全裸(初期グラフィック)にされちゃうわよォォォッ!」
ノワールが恥ずかしそうに叫ぶ。
「アハハハ! 我の風の速度を、そんな文房具(雑魚アセット)で止められると思うなよ! ――ソニック・アクセル(超音速風陣)!!」
シルフィアが私の身体を抱え、15コマの中割りをすべて超音速の風の粒子で埋め尽くしながら、消しゴムミサイルの嵐をジグザグに完全回避していく。
「ドラキュラさん、ルミエルの周囲の物理演算を、重力で極限までラグらせて!」
「クク……ハッハッハ! 任せよ! ――ルナ・タイム・ラグ(月重力時間遅延)!!」
ドラキュラが両手を天に掲げると、ルミエルの周囲のパステルピンクの空間の重力質量が1万倍へと跳ね上がった。万年筆を振り回そうとしていたルミエルの動きが、まるで粘土の中に埋まったかのように「グググ……」と、超・スローモーション(フレームレート低下)へと突入する。
「レイラ、ボクの鉄剣に、洗脳解除の『正規ライセンスマナ』を最大エンチャント!!!」
「ええ! ――アクア・パッチ・コード(聖水の洗脳解除付与)!!」
レイラが蒼海石の杖から、濁りのない清らかな水の波動を僕の鉄剣へと一括マージ(統合)する。鉄剣のブレードが美しい青碧の光を放ち、ヴァルガのどんな不正コードをも拒絶する「最強のデバッグ・ソード」へとレンダリングされた。
「これで終わりだ……ルミエル! 君の仮面を、僕の15コマでブチ壊す!!」
私はシルフィアの腕から飛び出し、重力で動けないルミエルの仮面のド真ん中目がけて、蒼氷の鉄剣を渾身の力で突き立てた――。
はずだった。
ガギィィィィィィィィィィィンッッッッッ!!!!!
「……っ!? 弾かれた!?」
私の鉄剣の先が、ルミエルの仮面の直前で、目に見えない「白磁の絶対防御バリア(承認エラーの壁)」に衝突し、激しい火花を散らして弾き返されてしまった。
「ア、アハハハ……無駄、無駄だよイサナギ……! 私のこの仮面は、ヴァルガ様が直接コードを書いた『プロテクト・アセット(コピーガード仕様)』なんだ……! バージョン1.0の生ぬるい剣なんかじゃ、傷一つ……つけることはできないのさ……っ!」
ルミエルが仮面の奥から、赤く染まった瞳で嘲笑する。バリアの表面には『アクセス拒否:閲覧権限がありません』という無情なエラーメッセージがビッシリと浮かび上がっていた。
(クソッ……! ヴァルガのプロテクト(暗号化)が強すぎて、正規のエンチャント剣じゃ中身に干渉できない! どうすればいい、どうすればあの仮面を内側からブチ壊せるんだ!?)
私が空中で静止し、絶望の1コマに脳内を支配されそうになった、その刹那。
僕の背中で、3日間のペナルティから目覚めたばかりの、あの「容量20L(斥力バグ版)」の買い物カゴが、ミリミリと不気味な振動(異音)を立てて私に訴えかけてきた。
(……待てよ。ルミエルはさっき、このカゴの物理引力を【反転(斥力バグ)】に変えた。……中身のアイテムを『猛烈なスピードで外にブチ撒けるクソ仕様』に書き換えたんだ。
……じゃあさ、『そのカゴの底に、世界で一番硬くて、一番マヌケな、あの「ギャグアセット」を投入して、ルミエルの仮面に向けてゼロ距離で大噴火させたら』、一体どうなると思う?)
私は、不敵な笑みを浮かべた。
運営や四天王がどんなに完璧な暗号を組もうが、世界の物理演算そのものをギャグで上書きする「おバカな調律師のディレクション」の前には、ただの不具合に過ぎないのだ!
「起動――【工作レベル4:アセット・コンポーズ】、および【錬金術レベル3(バグ仕様B:材料あり)】……マルチ・ブーストォォォッ!!!」
私はカゴの内部メモリに、物置小屋で雑魚キャラをペチャンコにした際に回収しておいた、あの最大純度の硬度を誇るギャグの遺物――【グラボ・ボアの押し骨せんべい(圧縮率100%)】を、全アセット丸ごと、カゴの底(射出コア)へとダイレクトにインポート(挿入)した!
「新仕様ペナルティ発動!! 材料ありだから、カゴの最大容量が強制的に【10リットル(ハンドバッグサイズ)】へと超絶縮小される!!」
ドクン!!!
カゴの容積が10Lへと一瞬でクラッシュしたことで、ただでさえルミエルの斥力バグで荒れ狂っていたカゴの内部の「リバース圧力(噴火エネルギー)」が、さらに1万倍へと限界突破した。10リットルの超極小空間の中で、圧縮されたボアの骨クズデータが、核爆発(グラフィック崩壊)寸前の超高圧で超伝導を起こし始める。
「書き出し(エクスポート)ターゲット座標――ルミエルの洗脳仮面の、承認バリアの内側(ゼロ距離)!!! ――ボクのカゴの全てのゴミデータ(怒り)を、その仮面にブチ撒けろォォォォォォッッッッッ!!!!!」
第4章:プロテクト解除(バナナの皮の奇跡)
パァァァァァァァァァァァンッッッッッッッッッッッ!!!!!
私がカゴのフタをルミエルの顔面に向けて全力で開放した瞬間、10Lの超圧縮空間から解き放たれたのは、光線でも、魔法でもない。
時速5000キロを超える音速のスピードでカゴの口から逆噴射(大噴火)された、大量の「ペラペラな骨クズせんべい」と、セピア大陸名物の「謎のバナナの皮(質量100倍版)」のハイパー・ギャグ・ストリームだった。
『オブジェクト衝突エラー(クリッピング・バグ):暗号化バリアの内部座標に、未特定のおバカなアセット(バナナの皮)が無理やり直接レンダリングされました』
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!!!!
「ギ、ギャァァァァァァァァァッッッ!?(顔面がバナナまみれにィィィッッ!?)」
ルミエルが悲鳴を上げる。
ヴァルガが施した完璧な閲覧権限のバリアは、まさか「カゴの斥力バグを利用して、ゼロ距離でバナナの皮と骨クズを体内に逆噴射される」という、仕様書の1コマにも載っていない最低最悪の不正インジェクションを想定していなかった。
プロテクトの文字盤が「バナナの皮の油分」によってツルンと滑るようにグラフィック崩壊(描画エラー)を起こし、バリバリバリ!!!と音を立てて木っ端微塵に爆発四散した。
そして、むき出しになったルミエルの白磁の仮面のド真ん中に、時速5000キロの「グラボ・ボアの押し骨せんべい」が、カンーン!!!と、この世で一番硬いマヌケな金属音を立てて直撃したのだ。
パキィィィィィィィィィィン……ッ。
「あ……あ、あ……」
ルミエルの顔面を覆っていた白磁の仮面に、一筋の、美しい青い亀裂が走る。
そこから噴き出したのは、ヴァルガの黒いノイズではない。かつて僕たちが3年前に一緒に紡いだ、あのどこまでも澄み渡る、本物の『光の幻素(フルカラーの記憶)』の輝きだった。
「今だ、イサナギ! 奴を縛る吸魔ケーブルの根本を、その剣でデバッグ(切断)して!」
ノワールが叫ぶ。
「うん! これが僕たちの、本当のリテイク(上書き修正)だァァァッ!!! ――【剣スキル2:中割りの極意】……強制書き出しィィィィィッッッッッ!!!!!」
私は蒼氷の鉄剣を真上から振り下ろし、ルミエルの首元に群がっていたヴァルガの「白磁の制御コード(吸魔ケーブル)」を、15コマの中割りの1コマの狂いもなく、一刀両断に完全に切り裂いた(パージした)。
パァァァァァァァァァァァァンッッッッ精ッッッ!!!!!
セクター全体を満たしていた悪趣味なパステルピンクのグリッドが、ガラスのようにバリバリと音を立てて割れ、それらが光の破片となって一斉に消滅していく。
代わりにフェードインしてきたのは、ドワーフの古い歴史が刻まれた、温かみのある茶色い木目と石造りの本来の迷宮グラフィック(バージョン1.0の質感)。
ルミエルの顔から白磁の仮面がハラハラと剥がれ落ち、その下から、あの3年前と全く変わらない、悪戯っぽくて、ちょっと気弱な、僕たちの本物のチーフ・プランナーの「フルカラーの笑顔」が、静かにレンダリングされて戻ってきた――。
「……イサナギ。……遅いよ……。3日もふて寝なんてしているから……僕の構成データが、完全にバグっちゃうところだったじゃないか……っ」
光の小僧、ルミエル。
私たちの最高のクリエイターの魂が、3年の空白を超えて、今、完全にそのタイムラインをリブート(解放)させたのだ!
第5章:フルカラーの再会と、次なるコンテへの跳躍
シュゥゥゥゥゥ……。
大爆発の残光が、静かに迷宮の通路全体へとフェードアウトしていく。
空中に浮かんでいたルミエルの身体がフワリと地上へ降り立ち、私は彼の元へ全速力で駆け寄って、その細い肩を強く抱きしめた。
「ルミエル! おかえり、ルミエル!!!」
「うわっ、ちょっと待ってイサナギ、苦しいよ! それに君の服、さっきカゴから逆噴射した焼き鳥のタレの匂いが凄く染み付いてるんだけど!?」
ルミエルが涙目を拭いながらも、いつもの調子で呆れたように笑う。その姿を見て、レイラもノワールも、張り詰めていた糸が切れたようにドサリと床に座り込んで笑い出した。
「ハァ、ハァ……。もう、本当に人騒がせなプランナーね。でも……よかった。これでプロメテウスに続いて、ルミエルも完全に元の仕様に戻ったわね!」
レイラが蒼海石の杖を天に掲げ、澄み渡る大地のマナの光を眩しく放つ。
「クク……フハハハ! 完璧なプロテクトをバナナの皮と骨クズで突破するとはな。天幻卿ヴァルガも、今頃コントロールルームで『想定外の例外処理(致命的な例外)』を検知して、顔面を真っ青にバグらせていることだろうよ」
ドラキュラが漆黒のマントを優しく揺らし、満足げに黄金の瞳を細めた。
「アハハ! これで四天王も残るはあと2人だね! ルミエル、君が戻ってきたなら百人力だよ! さぁ、この廃棄迷宮の最深部に囚われている、ドワーフのゴルドンおじさんを今すぐ救い出しにいこう!」
シルフィアがルミエルの周りを嬉しそうに飛び回る。
ルミエルは、私の背中の、今や10Lサイズ(ハンドバッグサイズ)まで限界突破で縮こまっている買い物カゴを心配そうに見つめ、それから自身の万年筆をサラサラと動かして、私のステータス画面(仕様書)をチェックした。
「イサナギ、僕を助けるために、君のカゴの容量がかなり無茶なバグロック状態(残り10L制限)になっちゃっているね。……でも、大丈夫さ。僕が元の『チーフ・プランナー』の権限(ルート権限)に戻ったんだから、これからの道中、君のカゴの容量を一時的に拡張する『臨時の拡張メモリ(バッファ仕様)』のコードを、いつでも僕の万年筆で書き足してあげるよ!」
「本当!? さすがルミエル、最高のプランナーだよ!」
私は小さくなったカゴをポンと叩き、それから迷宮のさらに地底深く、あのゴルドンおじさんが囚われているという【最深部・レガシーコア】へと続く、重厚な黒鉄の爆風扉を見つめた。
「ヴァルガの四天王は、あと2人。……そして、そこを抜ければ、この大陸のすべての住民の本来の姿である『バージョン1.0のバックアップ・ファイル』が封印されている。……みんな、マナを少しだけリフレッシュさせたら、次はいよいよ、この世界の時間を3年前のあの最高のフルカラーへと『一括復元』しにいくよ!」
「ええ! 私たちの本当のセカンド・シーズン、ここからが本当のディレクション(大逆転)の始まりね、イサナギ!」
レイラが力強く頷き、僕の手を握りしめる。
13歳の春、世界バージョン2.0、ルミエル解放・完全完了。
カゴの容量は10Lという最大のピンチ(縛りプレイ継続中)。だけど、僕たちの胸の奥で燃え盛る調律師の闘志と、再び一本のタイムシートにマージされた「最強のクリエイターたち」の絆の解像度は、今やヴァルガのどんな最新パッチをも一瞬でハッキングするほどに進化している。
「みんな、いこう! 次はゴルドンおじさんをインポートしにいくんだ! 3年分の遅れなんて、僕たちの最高の『編集力』で、一瞬で書き換えて(取り戻して)みせるからね!」
フルカラーの鼓動を取り戻した僕たち6人は、ルミエルの万年筆の光に導かれながら、黒鉄の扉の向こうへと迷わず突き進み、次なる大逆転の第1コマへと向かって、最高に熱いフレームレートで、力強く突き進むのだった!
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。




