継続して右目に治癒魔法
太陽が高くなると、スズがカミラに話しかけてきた。
(大豆を食べなさい)
『食べていいの?』
カミラは食べ物を食べていいのは朝と夜だと地下の強制労働で体で覚えていた。
地下にくる前は常にお腹が空いていて、いつもいつも食べられる草を探していた。
スズと一緒に。
(人は、朝、昼、晩、と食事をするのです)
『ばん、ってなに?』
(夜、のことです)
カミラは昼も食べ物を食べていいのだと学んだ。
ノアと道の横にある草むらに入って、水を飲むと体がすっきりとした。
それで、カミラの体は納得した。
『昼にも水とパンは必要』だと。
そう思ったカミラの思考に入り込んでくるスズ。
(昼は『大豆』を食べなさい)
カミラは「パンじゃないのか」と少し衝撃を受けたが、大豆も美味しいと納得して、倉庫にある大豆を出してノアと分け合って食べた。
もちろん『箱庭』の畑で大豆を生産して。
少しでもお腹いっぱい食べたいからね。
お昼に大豆を食べたら、またノアと手を繋いで歩き出した。
いつも食べない「昼」に大豆を食べたからかカミラのお腹が「ごろごろ」と音が鳴っていて不思議だ。
夕方になって夜に変わりそうな頃に、柔らかそうな草むらに座って、ノアとお互いに水を飲むと、お尻がムズムズして「何かでそう」と思ったら、スズが慌てて「トイレ! トイレ!」と言うので「といれってなに?」と聞くと「排泄!」と言われたので私が茂みの奥に行って排泄の体勢になると、ついでにノアも排泄した。
習慣になっている『連れション』だ。
そして、私のお尻から水では無い「ナニカ」がズルッと出た。
スズが頭の中で「拭くものっ! 拭くものっ!」と慌てているが、私は「私の中から出たもの」に興味があった。
するとスズが「絶対に触らないでっ!」と叫ぶので、私は黒く細いものを観察していると、答えはノアが持っていた。
「うんち」
ノアが一緒に私から出たものを眺めて「うんち」と言った。
「うんち?」
「うん。うんち」
よくわからないのでスズに尋ねてみると「大便だよ!」と言われて「だいべん?」と聞き返すと「お尻から出る汚いものだよ! 山にいた時も出たでしょ?」と教えてくれたので「あれは茶色の水」と言うと「同じものっ!」て言われた。
ちょっとだけ心に衝撃を受けたカミラだった。
いつも山で出ていたのは「茶色の水(お腹を壊している)」で「汚いから離れて」とスズに言われていたのだ。
とにかく「茶色の水」と同じなら「汚い」らしいので、離れなければ。
私は一緒に観察していたノアの手を握ると立ち上がり「うんち」から離れた。
もう少し離れた場所の草の上に座ると、パンを取り出してノアと一緒に食べた。
が、スズが頭の中でうるさい。
(拭かなくちゃ! 拭かなくちゃ! きちゃない!)
言っている意味がわからないので、こんな時のスズは放っておくと落ち着くと学んでいたので、私はパンの味を噛み締めた。
(次はトイレットペーパーが必要だ。『箱庭ゲーム』で出るかな?)
それは、カミラとスズの強い思い次第。
◇◇◇
(カミラ、右目に治癒魔法をかけて)
『箱庭』をしようとしたらスズに言われた。
『右目の治癒魔法は昨日もしたよ?』
(これから毎日、寝る前に右目に治癒魔法をかける事。約束して)
『うん』
カミラはスズとの約束が好きだ。
スズが「この草は食べたらダメ。約束」と言うと、お腹が痛くならないからだ。
今はお腹が痛く無いけれど、痛くなるのかもしれない。
だから『約束』は大事だ。
背中にはいつも夜にひっついているノアが寝ている。
カミラが右目に治癒魔法をかけると、目の奥がムズムズとした。
『ナニカ』が動いていて、不思議だ。
と、思ったところでカミラは気絶して横に倒れた。
多分、朝までおやすみだ。
◇◇◇
はっ!
っと、カミラが目を覚ますと、目の前にノアの顔があった。
スズもびっくりだ!
「おきた」
「おきたね」
ノアとカミラは確認して体を起こした。
太陽はもう上がっている。
カミラはぶくぶくボコボコの顔であくびをすると、古傷が引き攣って不快な感触がした。
カミラは自分の顔を触ると、相変わらずデコボコとしている。
口もボコボコで、よく食べれるなぁと不思議になる。
かろうじて左目だけが見えていた。
2人で排泄して、ジョウロを出して水を飲んでから手を洗う。
『箱庭』の倉庫からパンを出して2人でがっついて食べ始める。
2人共よく噛んで食べる習慣なのだが、子供なので少量のパンしか口に入らずにパンが大きいので、がっついて食べているように見える。
多分、見ている人がいたら「あのパンは、どれだけ美味しいのか?」と疑問に思っただろう。
実はスズが「ちょー面白い!」とハマっていたゲームアプリの有名な日本の会社が作った可愛い箱庭ゲームと、海外で大ヒットした箱庭ゲームが合体して、スズが「こうだったら良いのに」と希望のアレンジを加えた『箱庭ゲーム』が原型なので、パンが本場の味すぎて、めちゃくちゃ美味しいのである。
あ、もちろんのことスズは味わえないが、カミラの思いを受け取って「美味しい気持ち」にはなれる。
擬似体験というやつである。
スズもカミラもノアも、この世のパンを食べたことが無いので、後々のお楽しみである。




