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スキル『箱庭』で、私は『人』になる  作者: 春爛漫


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カミラの頭部が異常だったよ!

 へい! へい! へい! へい!


 宿主が! ブラックアウトしたぜっ!


 へいっ!


 どーなったのさ!


 ちょっと教えてよっ!


 宿主さんよっ!


 暗闇で寂しいじゃないかYO!


 いや、慣れてるけどね?


 右目の治療で強制的に眠らせているけどね?


 私に悪気はなくてね?


 目が治ったら、少しでもたくさんの事が見えるとかね?


 思ってるよっ! この野郎!


 でもね?


 目が治ったらね?


 次は痛々しく骨が見えている手の治療とかをね?


 させようと思っていたんだよっ!


 カミラっ!


 早く起きて、私を安心させてくれよ。


 とっても! 貴女は、いい子でしょ?


 以上!


 スズがお送りしましたっ!


 ◇◇◇


 さて、現実世界ではーー。


 女児が水分不足で倒れたので、急遽、衛生兵の出番である。


 倒れた女児の顔色がボコボコな顔に邪魔されていてわからないので、教会が獲得しようと躍起になっている『治癒魔法師』が出動です。


「うーん、この子、生きてるのが奇跡じゃのう」


 ベッドには裸の女児が横になっていた。


 女児の体を見て変な気持ちになる大人は、ここにはいないよ!


「ほれ、見ぃ、この子の頭。変形しておるわい。脳に影響はないんかのぉ?」


 部屋の中には隊長と副官とアネッサと衛生兵の補佐官がいた。


「爺様、この娘の手はおかしすぎます。なぜこの手は生きているのでしょうか? 骨の変形と共に神経が圧迫されているいると思われるのですが。動くのですよね?」


 衛生兵の補佐官に見られた隊長は「アネッサ」と声をかけた。


 アネッサが答える。


「はい! 器用にスープを両手を使って食べていました!」


 補佐官はその返事に頷いた後に衛生兵の爺様を伺った。


「んー、わしの、治癒魔法でも完璧には治療できんな。絶対に脳に骨が触っているはずなんだがのう。息はできとるのぉ。この顔はつらいのぉ。治してやりたいが」


 マイペースな、いつ死んでもおかしくない衛生兵の爺様に隊長が聞く。

 死にそうだから、本来なら教会所属の治癒魔法師が兵の衛生兵についてくれているとも言う。

 教会は「いつ死ぬかわからないジジイ」は要らないのだ。


「それで、今の体調はいかがですか?」


「栄養失調で飢餓状態、若干の腹水が見られるのぉ。アバラがういてもうて、つらかったのぉ。おんや? 骨の位置がおかしいのぉ。

 あ、水分不足だで、吸い飲みに水と砂糖と塩を入れてくれ」


 爺様の指示を聞いて衛生兵補佐官がテキパキと動いて部屋から出ていった。


「さて」


 衛生兵の爺様の言葉に背筋が伸びたのは、隊長と副官と、アネッサは釣られて伸びた。

 実はこのジジイは若い頃は教会所属でとっても偉かったのだ。

 今は気まぐれでこの『大隊』に衛生兵として所属してくれているが。

 まぁ、いつ死ぬかわからないほどのご老体なので。


 衛生兵の爺様の加齢で垂れた瞼のしたから真剣な目が光る。


「この子が、ここにいるのは何日目かのぉ?」


「はっ! 2日目です」


 爺様はちょっと考えてから言う。


「2日目なら……仕方ないのぅ」


 隊長の肩から力が抜けた。


 その時、爺様の補佐官が帰ってきた。


「ジル。わしは今から寝込むでのぅ、後を頼んだぞい」


「はっ! ジルにお任せください」


 倒れた女児を診察している衛生兵が「今から寝込む」発言。

 「おかしい」と思うだろうが、爺様には普通のことだ。


 爺様はガシッと少女・カミラの頭を掴んで『治癒魔法を発動』した!


 爺様はカミラの『頭の骨が折れてくっついた』変形している頭部を中心に治療を開始した。


「ぬっ! ぬぬぬぬぬぬぬ」


 これでも爺様、かなり真剣である。


 見る見る間に、頭を丸坊主にしたおかげで頭部損傷している箇所がわかった部位が膨らんで正常位置に戻り、脳の再生が行われた。


 実はこの爺様、昔は教会で偉かっただけあって『凄腕治癒魔法師』なのである。


 脳の治療の余波でカミラの右目が急速に治癒され始めた。


 爺様は「体から抜け出し続ける魔力」に『おかしい』と額に汗を浮かべる。

 カミラの治癒に爺様の強大な魔力が吸い取られ続けて、カミラの顔のデコボコが少し綺麗に治ったあたりで、爺様がカミラの頭から手を離した。


 爺様の呼吸が粗く、困難な治療だったのがうかがえる。


「ジル、この子にたくさん水を飲ませておくれ。わし、少し寝る」


 ふらり、と爺様が椅子から立ち上がると副官と隊長が爺様を両側からガシッと倒れないように支えて、ヨロヨロと歩く爺様を補佐して部屋から出ていった。


 この衛生兵の爺様の存在は大隊の心の支えである。

 「もし怪我をしても『爺様が治療してくれる』」と。

 失う訳にはいかない兵の為の衛生兵だ。


 それほど『兵隊』に『治癒魔法師』が所属してくれるのは珍しいのだ。

 『治癒魔法』を獲得して「自由自在に使用する」ノウハウは教会は秘匿はしていないが、給金が良いので『治癒魔法を獲得した者』は自然と教会に集まり『治癒魔法の練度』を高めていく。


 そして命の生命線である『治癒魔法の獲得』の実験の検証、調査、研究はずっと教会で行われている。


 その内容がかなり問題があるのだけども。


 爺様に恩と尊敬が有る衛生兵の爺様の補佐官は、爺様の言いつけ通りに、爺様が座っていた椅子に座り、カミラが誤飲しないように唇を湿らせるようにしながら、かなりゆっくりと吸い飲みで水分を摂取させていく。


 気の長い看護だが、爺様の補佐官は爺様に言われた事は必ずやり遂げる。


 アネッサだけが少々忘れられているが。


 ノアはずっとベッドで寝ているカミラの横に座っているので。


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