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スキル『箱庭』で、私は『人』になる  作者: 春爛漫


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13/21

知らない部屋と男の人

 目が覚めると……知らない部屋にいた。


 カミラは一気に目が覚めて勢いよく起き上がると、顔が硬いものにぶつかり、ものすごく顔が痛くなった!


「うゔっ」


 正面から唸り声が聞こえて、片目に浮かんだ涙を拭うと、ノアが頭を押さえて私の膝に顔を埋めていた。


 なぜか、私の顔とノアの頭がぶつかった……らしい?


 その時、笑い声が聞こえた。


 そちらを見ると、部屋の中が赤く照らされていて、夕方だと知ることができた。


 ……そして、知らない、男の人がいる。


 私は咄嗟にノアの頭に覆い被さった。


 すると男の人はまた笑った。


「お互いに同じ行動をするんだねぇ。仲がいいね」


 男の人はその場から動かない。


「緊張しなくてもいいよ。俺は門番さ。森の中に倒れていた2人をパーズが見つけてね、俺に教えてくれたのさ」


 男が何かを触っている。


 獣だ。


 必死に逃げたことがある、追いかけてくる獣に見える。


 スズが言うことを繰り返して話してと伝えてきた。


「あの、ここは、どこ、ですか?」


 男が声を出した。


「おや? 君は丁寧に話せるんだね。……この国も末期かな」


 スズが重要な事を聞き取れるかもしれないから、話し続けるように伝えてきた。


「あの、あなたの、おなまえ? は?」


 私の片腕にノアがしがみついてきた。

 怖いよね。


「ああ、名前は言わなくていいよ。俺も言わないから」


 スズがやっぱり話し続けるように言う。


「ああ、まずは着替えようか。孫の小さかった時の服があるんだよ。君たちは『奴隷』ような服を着替えた方がいい」


 男の人は部屋から出て行った。

 ……獣を置いて。


「……にげる?」


 ノアが小さな声で聞いてくる。


 スズがやっぱり「男の人から話を聞け」と伝えてくる。


「にげないよ。ようすを見る」


 カタ、コト、と小さな音が聞こえた後には部屋の扉が開いて、男の人が何かを持ってきていた。


 私達に近づいてくる。


「ああ、君たちはすごい臭いだね。悪いが井戸には連れていけないな。着替えを持ってきたけど、1人で着替えられるかい?」


 スズが服だから見て! と伝えてくる。

 「ありがとうございます」と言え! と。


「ありがとう、ございます?」


 私は服を広げてみるけれど、初めて見る服だ。

 ……着方がわからない。

 そしてスズが素直に言え! と言っている。


「あの、着方が、わからない、です」


「俺が着替えさせるがいいかい? 触るよ?」


 (良いと言え!)

 スズ、うるさいよ。

 助かるけど。


「はい」


 男の人が私に伸ばした手を、ノアが叩いた!?


「カミラにさわるな!」


 ノアが今までで1番大きな声で叫んだ!


「ノア、ノア、落ち着いて、だいじょうぶだよ?」


 左腕に抱きついていたノアを抱きしめると、興奮しているのか息が荒い。

 ノアが震えている。

 怖いんだ。


 ノアをぎゅうっと抱きしめると、荒い息が落ち着いてきた。

 ノアの硬い髪を撫でる。

 いや、ほっぺを撫でた方がいいかな?


 ノアが落ち着くと、だらりと力をなくした。

 私が寝ていた場所にノアを寝かせて横に座る。


「もう、大丈夫かい?」


 真後ろから男の声が聞こえて、ビクッと身体が跳ねた!


「だ、だいじょうぶ、です」


 声が震えてしまった。


 脇に手を入れられて、ヒョイっと下に下ろされた。


「立てるかい? このまま着替えさせるよ?」


 男の人の顔を見ると……とても、老いていた。

 顔がしわくちゃだけど、体が大きいからか強そうに見える。


 男の人は私のかんとうい(スズが言ってた)をスポッと脱がせると、とても良さそうな服をスポッと慣れたように着せてくれた。


 ……この服、なんか優しい感じがする。

 それに今までに嗅いだことのない匂いがする。


「そこの男の子には、この服を着せたいのだが、大丈夫そうかな? なんだか眠ってしまいそうだけど」


 ノアを見ると確かに目がトロンとしている。


 私はノアのかんとういをズバッと脱がせた。


「すみません、あとは、よろしく、おねがい、します」


 って、スズが言ってた。


 しわくちゃな男の人はノアに上の服を着させると、スズが『ズボン』と言っていた服を足から着せた。


 排泄はどうするんだろうか?

 あ、スズが教えてくれるらしい。


「夕食を持ってくるからね。ほぼスープだけどごめんね」


 そう言うと、しわくちゃな男の人は私達のかんとういを持って部屋から出て行った。


 ……この服、着てないみたいに軽い。


 ボーッとしていた私の手に柔らかいナニカが触れて、見てみると……獣がいた。


 ひーーーっ!


 スズが頭の中で「パンを投げろ!」と教えてくれた。

 私は『箱庭』の倉庫からパンを出すと、ペイッと投げた。

 獣がパンを追いかけて食べている? 感じがする。


 ……そういえば、しわくちゃな男の人は、私の顔を見ても「化け物」と言わなかったな。


 初めて『人』として大人に見られた気がする。

 なぜか、胸がムズムズする。


 獣が「わふっ、わふっ」と鳴き声混じりの息を吐いて、私に近寄ってきた。


 なぜだか、もう、こわくない。


 『箱庭』の倉庫からパンを取り出して、獣の前に置いてみると、私に何か伝えるように「わふっ」と鳴いてから、パンを食べ始めた。


 それを見ていると「犬?」とスズが言った。


 え? 狼って凶暴な獣じゃ無いの?

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