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16-1<秘めたる気持ち>

 俺が卯早美に真実を告げてから数日後、俺と卯早美はガス爆発で吹っ飛んだことになっている俺の探偵事務所に来ていた。そして俺は焼け跡を片付けつつ卯早美に聞く。


 「それで、あの俺の話は信じているのか?」

 「仕方なくね。それを信じたほうが今まで私が感じてきたあなたに矛盾を感じないんだもの」


 それはよかった。あの時、下手したらそのままどうにかされるんじゃないかと思ったが、すべてを聞いた卯早美はあのあと黙って俺の前から姿を消し、先ほど片づけをする俺の目の前に姿を現したばかりなのだ。


 「それで、ここに来てわざわざ監視をしに来た理由はなんだ」

 「監視だなんて、ただあなたがあの時知ったことを言いふらさないか釘を刺しに来ただけよ」


 それならわざわざ俺とここで片づけをする必要はない。本心はどうなのかわからないが、ちょうどそこに騒がしいのがやってくる。


 「呼ばれてないけどやってきたにゃー」

 「帰れ」

 「帰りなさい」

 「・・・帰るにゃー」


 呼んでいないということはそう言うことである。


 「あれでも本当に公安か?」

 「それは私と係長の二人だけ。その証拠に猫柳はあの場にいなかったでしょう」

 「基本的にはただの捜査一課の刑事なのよ」


 卯早美がそう言って再びその場に静けさが戻ったかと思うと次は卯早美が俺に問うてくる。


 「それにしても、あなたはこっちの世界でどうするつもりだったの」

 「どうもこうも、普通に暮らしていくのは無理だろう。普通に生きようとしても元の記憶があることを隠していくことになるんだから」


 俺にとってそれはこちらの世界に生まれてからの課題であった。人畜無害に暮らしていき、どこかでひっそり死んでいくぐらいがちょうどいいと思っていた。


 「そう、でも私はもう知ってしまっているんだから相談ぐらい乗るわよ」

 「それはお互い様だな」


 はっきりって俺はこれから卯早美との関係をどうすればいいのかわからない。そもそも卯早美からすれば異世界の記憶を持つ人間をどう思っているのかわからない。


 まあ、卯早美が相手なので真正面から聞いてみれば答えてくれるであろうが、それだけの踏ん切りがつかないのである。





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