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16-2<卯早美と猫柳の誤算>

 湊ちゃんの探偵事務所がガス爆発でなくなってから一か月、その日、その時、その瞬間、にゃあはようやく卯早美ちゃんの気持ちを後押しすることに成功したのにゃ


 「それにしても卯早美ちゃん。本当によかったね、としか言いようがないのにゃ」

 「何がよ」

 「警視庁が建て替えられて、もう湊ちゃんのところに行けなくなると思ったら、ちょうど卯早美ちゃんのいる官舎の最寄り駅に湊ちゃんが新しく事務所を構えるなんてよくできてるのにゃ」


 ガス爆発もよく起こってくれたとは思うけど、これを言ったら流石の卯早美ちゃんでも怒りそうなのでこれは黙っておくにゃ。で、ここからが本題にゃ。


 「卯早美ちゃんちょっと顔を貸すのにゃ」

 「何するのよ」


 にゃあはしっかりと卯早美ちゃんの顔を掴むと激を入れる。


 「卯早美ちゃん。チャンスは今日しかないにゃ。湊ちゃんが借りた新しい部屋をちゃんとした探偵事務所にする前に決着をつけるのにゃ」

 「決着って何よ」

 「卯早美ちゃんが湊ちゃんを連れ帰るにしても、湊ちゃんが卯早美ちゃんを連れ帰るにしても早い方がいいってことにゃ。それにはまだ湊ちゃんが探偵事務所を元通りに開き直す今しかないのにゃ」


 そう言うとにゃあはカバンからあるものを取り出す。


 「何よこれは?」

 「湊ちゃんがいつも使ってるマグカップにゃ。ガス爆発で全部だめになったから買ってきたのにゃ。卯早美ちゃんから湊ちゃんに渡してやるのにゃ」

 「大丈夫よ」

 「いいから持ってくのにゃ」


 断ってくる卯早美ちゃんに無理やり渡すため、にゃあは卯早美ちゃんのカバンを無理やり開く。


 「にゃ!?」

 「私も同じのを持ってるわ」


 カバンの中には同じ箱に入った同じマグカップ。どうやら卯早美ちゃんも最初からそのつもりだった見たいにゃ。でも、最後に激を飛ばして卯早美ちゃん背中を押したのはにゃあだから、卯早美ちゃんの告白が成功したらにゃあのおかげということにしておくのにゃ。



・・・・・



 「湊ちゃん!来たのにゃ!」


 そして卯早美ちゃんと二人で来てにゃあは湊ちゃんの新しい探偵事務所の扉を開けた・・・。


 「ずいぶんと変わった部屋ね」

 「というより変わってないんだがな」


 にゃあが呆然として動けないなか、卯早美ちゃんと湊ちゃんはそんな話をする。確かに湊ちゃんの言う通り変わってない部屋・・・なのにゃ。ガス爆発でなくなった探偵事務所の部屋とまったく同じ家具、同じ配置・・・。


 そして部屋の端にある棚を恐る恐る開けると・・・。


 「なんで、こんなに、あるのにゃ」

 「ほら、前にお前がマグカップを割った時に大量に買っててな、半分をこっちにしまってもう半分を向こうに持って行ったんだ」


 つまりは・・・。


 「つまり、にゃあが行った時に売り切れだったのは、湊ちゃんが全部買い占めていたから・・・ということなのにゃ」


 半分どころか全部買っていれば・・・にゃあが行っても売ってるわけないのにゃ。そしてにゃあは卯早美ちゃんの声を聞いてハッとする。


 「結構前からこの部屋も持っていたの?」

 「持ってるというよりはこっちも賃貸だけどな。向こうが焼けても大丈夫なようにこっちも用意してたんだが、何とかなったな。備えあれば患いなし、ってところで。それにマグカップと同じでこういった予備は取っておく性質たちなんだ」


 卯早美ちゃんを見ると、この部屋の惨状を見てマグカップの入ったカバンに手を伸ばすこともなく告白をするわけでもなく適当にそれらしい挨拶を済ませてしまう。いつもは動じない卯早美ちゃんが一度心に決めたことを引っ込めるとは相当なのにゃ。


 そしてにゃあはそれでも何とか卯早美ちゃんの背中を押そうとしたけど、結局は卯早美ちゃんに無理やり引っ張られて湊ちゃんの探偵事務所を後にしたのにゃ。



・・・・・



 まったくもってこのせいで、

 卯早美ちゃんが湊ちゃんに告白するまでもう少し時間がかかることになったのにゃ。







 最後の最後で猫柳に語ってもらうことになりましたがこれで完結です。

 お読みいただきありがとうございました。




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