6 じゃぱにーずそうるふーど(仮)と『マザー』の努力
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「おっまたせー。日本の郷土料理、ボク特性ハングバーガーが出来たよー」
「………これは、サンドウィッチのような」
「まあパンで挟んだ肉料理だよね。ちなみに赤いソースはトマトンの実に砂糖を入れて混ぜ混ぜしてみた。見よう見まねだけどとりあえず味付け重視で原作再現は二の次だよ」
「……形は綺麗ですけど、随分と大きいですわね。ところでナイフとフォークがないようですが、借りてきましょうか?」
「うんにゃ。これは手でカブリつくモンだよ」
「……は?」
「郷土料理なんだから、郷に従って食べないとね」
「……そんな意地の汚い、はしたない食べ方をしろと? このわたくしに?」
「無理強いはしないけどさー。人様の文化を汚いだのはしたないだの言うのは、貴族の誇りとしてどうなんだろうねえ」
「……いいでしょう。食べましょうとも」
「どうぞ、がぶりと」
「お先にどうぞ?」
「信用ないねえ。いいけど。そんじゃいただきまっす」
がぶり、とかじりついたカノンを見て、ようやくアリシアも覚悟を決めてかぶりついた。
「……あら。美味しい」
「そうでしょうとも」
もっきゅもっきゅと、ふたりとも無言で食べ進んでいった。
「あー。いいなー。あたしも喰いたいなー。でもクソみたいな『制約』がなー」
アドランテス上空、星の海を漂う軌道衛星『ライブラ』の管制室にて、アスカは駄々をこねるように足をバタつかせた。
『提案シマス。地上ヘノ物資供与ハ認メラレマセンガ、地上物資ノ搬入ハ可能デス』
いくらか人のように話す管制用人工知能『マザー』からの言葉に、アスカは、おお、と頷いた。
「ここで作ってもらえばいい、と。そりゃナイスなアイデアだわね。……というか、最近アンタ随分と人みたいに話すようになってないかしら?」
アスカの言葉に人工知能『マザー』の中枢たる球体がミラーボールのように点滅を繰り返した。
『ハイ。同盟者ニヨッテ、地上ノ人間カラノ関与ガ認メラレタ場合、対人接触用プログラムヲ機動スベシトノ提案ヲ受ケタタメ、言語形態ヲ逐次ニオイテ反映シテオリマス』
「アイツは、何がしたいのよ……。ってか『制約』なんてなきゃ、いますぐ降りてアタシも夕食一緒に食べられんのにさあ。ほんと、アタシしかいないってのになんでだれが作ったかもわかんないモンに縛られなきゃいけないのよー。どこのバカなわけ、そんな『制約』つくったのは!」
『ソノ質問ヘノ回答ハ、最重要機密ニヨリ却下サレマシタ』
「はいはい。ってか全然人間らしくないわよ、それ。もっと砕けた言い方しなきゃ対人プログラムなんて夢のまた夢よ。どうせならハルが持ってきた映像作品からでもいいから取り込みなさいよ」
『承知致シマシタ。…………――――同期完了。―――地獄へ落ちな。べいべー』
「……学習機能、バグってるわよ」
『―――確認致シマス』
ピロピロと音をたて光る球体の前で、アスカは冷えた固形食料をバキりと噛み砕いた。




