本気なんだね
「色々考えることもあっただろうし、色々悩んだと思う。どうするか、どうすべきかじゃなくて、そういうの全部取っ払っていいとしたら楓くんは今、菜穂のことどう思ってる?」
遥がそう言うと、楓は苦笑した。
「..好きですよ。めちゃくちゃ好きです。付き合いたいです。ずっと傍にいたいです。ずっと話していたいです。ずっと...ずっと見ていたいです。兄ちゃんと別れないかなって思います。隣を歩いてるの見てめちゃくちゃ嫉妬してます。俺のことだけ見てくれればいいのにって思います」
楓の言葉を聞き、遥も苦笑した。
「そっか。ふは、めっちゃ素直じゃん」
「遥先輩が言えって言ったんじゃないですか」
「言ったけど!...菜穂のこと、本気なんだね」
遥はそう言って微笑んだ。
「はい。でも、ちゃんと忘れます。菜穂先輩が選んだのは、俺の兄ちゃんなので。兄ちゃんとも話したんです。兄ちゃんが菜穂先輩のことすっごく好きだってことも痛いほど分かります。菜穂先輩から聞いたと思いますけど、あの日俺が菜穂先輩に言ったこと、したことは忘れます。やっぱり何があったとしても、俺と菜穂先輩が付き合うって現実的に無理だと思うので」
楓はまた苦笑した。
「...そうだね。桐山も菜穂のことめちゃくちゃ好きなんだなって私も思う。表現方法は違っても、桐山も、楓くんも菜穂を見てくれてるって分かるよ。私は桐山のことも、楓くんのことも同じくらい好きだから、今こうして楓くんと話しに来たのも、悪いけど楓くんだけを応援してるからじゃない。話してくれてありがと」
「いえ。聞いてくれてありがとうございます」
「でも、もし気持ちが変わったら相談して。もしどうしようもなくなったり、つらくなったりしたら、菜穂の気持ち次第ではちゃんと応援するから」
遥に言われ、楓は「はい」と微笑んだ。
「...にしてもさ!この間の楓っちは痺れたなァ~~~~!貴様、超かっこいいじゃんかっ!!ビシッと信じてくれて、菜穂嬉しかったと思うな。私もキュンとしたしっ!」
遥は重い空気から一変し、ヘラヘラしながら言った。
楓はクスっと笑ってから言った。
「うっざ。遥先輩にキュンとされてもびっくりするくらい嬉しくないんですけど。むしろ最悪です」
「何でそんなこと言うかなあ~~??よく見たらイイ男じゃん??ねえ、年下はちょっとあれだから桐山以外にお兄ちゃんいないの??私そのお兄ちゃんと付き合いたーい♡♡」
「うーわ、きっしょ。うちの家族に近づかないでくださいね」
「えーいいじゃん紹介してよっ。楓っちの兄弟と私が結婚したらお姉ちゃんって呼んでいいからね♡楓♡」
「ちゃんと家族に注意喚起しときます」
そんな二人の会話を、壁に隠れた飛鳥は1人聞いていた。




