好きに決まってる
「菜穂は…もう俺のこと好きじゃない?」
光に言われ、菜穂の目から涙が零れた。
1年生の時、光と出会ってすぐに一目惚れしたこと。
誰にでも優しくて、かっこよくて、楽しくて、努力家で、いつも笑っていて…
私をこんなに好きだと言ってくれる。
可愛いと微笑んでくれる。
温かい手や、名前を呼ぶ愛しい声。
その全部が大好きで、全部が愛おしかった。
涙が出るほど愛してくれて、ずっと手を離さないでいてくれる。
私はこの人を手放して後悔しないだろうか?
こんなに好きだと言ってくれる人はいるだろうか?
一度や二度、誰だって間違うんじゃないか。
間違ったからって、誰かに助けてもらったからってそんなに心が簡単に動くだろうか。
勘違いしてるのは私の方なんじゃないか。
光くんの顔を見たら、この間までの気持ちが嘘のように思えた。
なんてことをしてしまったのだと、自分は何を思ってしまったのかと思った。
でも同時に、別の気持ちも思い出して、やっぱり胸が熱くなって、また涙が出てきた。
どうしたいのか分からない。
光くんのことも好きなのに、大好きなのにどうしてーーー。
「好きじゃないわけない...好きだよ....好きなんだよ..」
菜穂はただ呆然と、呟くように言っていた。
嘘じゃない。
好きなの。光くんのことを好きなのは事実で、一緒にいて楽しいと思うのも本当。
ならちゃんと光くんと向き合って、光くんを見ていたらこんな気持ち、きっとすぐに消えてなくなる。
今はただ、色んなことがあって弱ってしまっただけ。
光くんと、ちゃんと向き合いたい。
こんなに私を想ってくれてるんだもん、好きに決まってる。




