きょうだい
「いやァまさか桐山くんが光くんの弟だったなんて~~びっくりだよもう~~。あ、それ持とうか????」
品出ししている楓に、菜穂はニヤニヤしながら言った。
「いや結構です。なんか媚び売ろうとしてきてます?」
楓は目を細めて菜穂を見た。
「うん!だって弟とは仲良くしてた方がいいでしょ??♡」
菜穂は笑顔でそういい、楓は「いや知らないですけど」と言いながらまた品出しを始めた。
「てか俺もびっくりです。兄ちゃんが先輩みたいな人がタイプとか」
「いやそこじゃないだろっ!!」
「冗談です。いや冗談でもないか」
「オイ」
菜穂が睨むと、楓は空になった段ボールを手に立ち上がる。
「いや、普通に兄ちゃんは先輩みたいなおふざけキャラの人と付き合うと思わなかったので」
「え、私別におふざけキャラじゃないんだけど」
「そうでしたか。その方がびっくりです」
楓はそう言ってカッターを手に段ボールを潰し始めた。
菜穂を口を尖らせてから「あ、でもでも!」と微笑み、新しい段ボールを開けた。
「でも桐山くん、光くんの弟にしては性格違い過ぎだよ~全然気づかなかったもん」
「よく言われます」
「桐山くん全然明るくはないもんね~?」
菜穂が笑うと、「え、俺ですか?どっちも桐山なんで紛らわしいんですけど」と楓は菜穂を見た。
菜穂が顎に手をあて、考える素振り。
「それもそうだね...じゃあ、楓?」
「なんでだよ」
「えーだって楓くんって感じではないし」
「別に何でもいいですけど」
「あ、そう?てか楓と光くんって顔も似てないよね?別の系統っていうか???」
「早速呼び捨てかよ。だって俺、兄ちゃんと血繋がってないんで」
平然とそう言う楓に、菜穂は「えっあっ、ごめん....」と俯いた。
「嘘です。普通に兄弟です」
表情1つ変えずに言う楓に、菜穂は「オイ!!!!」と睨んだ。
「すいません普通にからかいました」
楓はそう言いながら展示用の商品の箱を組み立て始めた。
「いや冗談きついわ....」
菜穂はそう呟いてから「あ、そうだ」とケロッとして段ボールを開けながら言う。
「ねえ、私の妹も楓と同じ学年なんだけど知ってる?」
「ああ、汐崎礼実ですか?」
「え!礼実のこと知ってるの?」
「知ってるってか同じクラスです。話したことないですけど、汐崎ってそんなに多い苗字じゃないからそうかなって。顔似てる気がするし」
「まじか!正解正解~~~!仲良くしてやってね~~!」
「てか汐崎さんって先輩とは随分違いますよね」
「え、汐崎さんって私?あ、礼実????」
「ああ、さっきと同じ現象。礼実ちゃんと菜穂先輩、性格全然違いますよね」
「私もそれよく言われる~~~。礼実、学校でどんな感じなの?」
「ああ、可愛いですよね礼実ちゃん。大人しくて真面目で落ち着いてるって感じです。先輩は運動音痴だしうるさくて落ち着きがないです」
「いや、私のことは聞いてないんだけど...でも良かった~~上手くやってるんだあ礼実」
ヘラヘラそういう菜穂に、楓は「まじで能天気っすね」と呟きカッターをペン立てに戻した。
「てかそうなの!礼実昔から可愛くてモテモテなんだよ~~~知ってた??」
「いや知るわけないし。え、先輩、妹と対照的でつらくないんですか?」
楓は無表情でそう言い、菜穂は「オイコラ」と楓を睨む。
「冗談です。でも確かに、クラスで人気ですよ礼実ちゃん」
「へえそうなんだ!家帰ったら色々聞こう~~~」
「どうせ自分の話したいだけでしょ」
「あ、バレた?????光くんのこといっぱい話そ~~~!てか楓も聞いてよ」
「嫌ですよ。兄ちゃんの生々しい話ってだけでも嫌なのに、相手が菜穂先輩とか...」
「どういう意味だよっ」
「いや、知り合い同士の見てらんないんで。てか早く段ボール潰してください」
楓はそう言いながら次々と段ボールを潰した。




