ちょっとバスケしてみて
「ごめん菜穂!種目さ、バレーからバスケに変更してもいい?!けが人出ちゃって人数足りないんだよね」
クラスメイトにそう言われ、菜穂はキョトンとした顔で言った。
「え、いや私はどっちも下手だから全然どっちでも…」
「本当!ありがとう菜穂!」
ーーってなことがあり、元々苦手だったバレーから元々苦手なバスケに変更することに。
どちらにせよできないからやる事は変わらないのだけどれど。
「菜穂、バスケ大丈夫なの?」
昼休み、絵里奈が言うと、菜穂は「ん?全然大丈夫じゃないよ〜」と言って牛乳を買った。
「でもさあ、どうせどっちも苦手だし、最低限みんなに迷惑かけないようにはしたいけど」
菜穂は苦笑して絵里奈を見た。
「それは偉いけど…バレーもせっかく練習してたのに」
「ああいいのいいの。バスケもどうにか練習するだけだよ!(できないけど)」
菜穂はそういって牛乳を飲んだ。
「へえ、じゃあ今度はバレーボールじゃなくてバスケのボール顔面に受けて転んでるんですね」
バイト終わり、楓にこのことを話すと案の定こんな反応。
「いや、なんで転ぶ前提…?まあでも、そんな感じかな…あ、楓は何に出るの?」
菜穂が言うと、楓は「俺はバスケ部なのでバスケです」と平然と答える。
「え、バスケ上手いんだ?」
「兄ちゃんの方が上手いですよ」
「それはそうだと思うけど」
「まじで惚気けるの勘弁してください」
「あ、ごめんごめん」
菜穂はそう言ってヘラヘラ。
「どんだけ兄ちゃんのこと好きなんですか」
楓がそう言うと、菜穂は「え!聞いてくれる!?」と明らかにテンションが上がった。
「いえ、興味ないんで大丈夫です」
楓は淡々とそう言って歩き、公園の横を通った。公園にバスケットゴールがあるのが見え、楓は「あ」と呟いて立ち止まった。
菜穂は突然立ち止まった楓にぶつかり、「うあおっ、ちょ、急に止まらないでよ」と眉をひそめた。
「先輩、バスケしみせて下さいよ」
楓はそう言って菜穂を見た。菜穂は「え」と怪訝な表情。
「嫌だよ、何でバスケ部の人の前で...見世物じゃないし〜〜」
菜穂がそう言うと、楓は「アイス奢ります」と言った。菜穂は「しょうがないなあ」と微笑み、公園へ。
「まじでバカですね」
楓はそう呟き、菜穂に続いた。
公園へ行き、2人はベンチにリュックを置いた。
菜穂は制服のシャツをまくり、「よおし」と意気込んでいる。
楓はリュックからバスケットボールを出し、ふと菜穂を見た。
菜穂は飛び跳ね、できもしないのにゴールに向かってエアで1人練習している。
楓は「あの先輩」と言いながらリュックからジャージを出した。
「ん?」
菜穂が振り返ると、楓は菜穂に自分のジャージのズボンを投げた。
「そんな短いスカートで飛び跳ねたらパンツ見えますよ。俺のジャージしかないですけど」
淡々と言う楓に、菜穂は「うわ、最低〜〜〜」と怪訝な表情を浮かべてからすぐにニコニコと微笑み「ありがとう!!!」と言ってジャージを履き始めた。
楓は笑いながら、「本当変わった人ですね」と言ってその場でバスケットボールを地面に叩きつけた。




