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また俺じゃなかった

遥と菜穂と帰りながら涙を拭った。


「...絵里奈のことは色々、思うとこあると思うけど、気にしなくていいよ。菜穂は何も悪くないから」


遥がそう言って微笑むと、菜穂も苦笑して「ありがとう」と呟いた。


「でも...」


菜穂が俯くと、遥は菜穂を見て言った。


「菜穂には私がいるよ。桐山も...楓っちもね」


言われ、菜穂は少しハッとした表情を浮かべてから「...うん」と苦笑した。


「..いやあ、しっかし!今日の楓っちはヤケにイケメンだったね??ほ、ほら桐山とは違ったイケメンだな〜〜〜〜〜って思ってたけど、あれはあれでイイよね〜〜〜グッときたなあ〜〜」


遥は空気を変えようと笑いながら言った。

そして先ほどの楓のことを思い出した。


菜穂は「...そうだね」と苦笑し、遥を見た。

そんな菜穂を見た遥は苦笑した。


「...あんなに真っ直ぐ信じてくれてるなんて知らなくて、びっくりしちゃった」


菜穂が言うと、遥は「....だね」と微笑んだ。


「...なんか、はは..なんだろうね...こんなのって...」


菜穂は苦笑しながらそう言った。




******



楓と光は別々に家に帰り、帰宅するなり互いにすぐに部屋に入った。


そんな2人を見た湊は「え....????」と呟き、階段の上を見上げた。

湊は「今回はちょっとガチ過ぎない....?ええ〜〜〜...?」と1人呟いた。



******



翌週、菜穂が学校に行くと絵里奈の姿はなかった。

すると遥が来て「絵里奈、今日休みだって」と呟いて絵里奈の席を見つめた。

菜穂が「そっか...」と呟いた。


「桐山とは?ちゃんと話せそう...?」と遥。


「...少し、落ち着いたらにしようかな。えっちゃんのこともまだ分からないし」


菜穂は苦笑した。




******




【少し落ち着いたら連絡するね。それまでは1人で帰りたい。ごめん】


菜穂からのメッセージを見て、光は溜息をついた。


ーーーー何で俺は菜穂を信じてあげなかったんだろう。

どうして事実がどうとか、状況がどうとか、そんなことを考えたんだろう。

楓に言われた時、何も言えなかった。


後から考えれば、そんなの楓は彼氏じゃないからそんなことが言えるんだ、とか。

楓は第三者で、冷静にみることができるからだ、とか。

そんな言い訳はたくさん思いついた。


それでも全部、言い訳以外何ものでもなかった。

そんなの自分でも分かってた。


あの日、あの時、あの状況で正しかったのは絶対に楓だった。

俺じゃなかった。

ーーーーまた、俺じゃなかった。

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