つい
ライブが終わると、人混みを抜けてライブハウスの外に出た。
「遥ちゃんかっこよかったなあ〜〜!和葉くんも!ギターできるなんてすごいね!」
楓にそう言うと、楓は微笑んだ。
「ですね。和葉が自分で言ってました。『俺超かっこいいからちゃんと見てて』〜って」
「はは、またそれも和葉くんらしい〜〜〜」
そう言って菜穂も微笑んだ。
成り行きで2人で街を歩き始め、いつも通り話した。
しばらく経った時、菜穂はふいに飛鳥のことが頭をよぎった。
菜穂が足を止め「...あ」と呟くと、楓は「ん?」と足を止めて菜穂を見た。
「ああいや...今日はその、飛鳥ちゃんと会わないの?大丈夫?」
菜穂がそう言うと、楓は「ああ...」と呟く。
「前も言いましたけど、そんな束縛する女の子と俺付き合わないですよ。気にしすぎです」
楓が笑うと、菜穂は「そ、そっか...!」と微笑んだ。
同時に、やっぱりまだ付き合ってるんだなという気持ちが湧いてきた。
だからってどう思ったわけじゃない。
ただそう思った。
「てか先輩こそ、兄ちゃん大丈夫ですか?俺と2人でいたらやっぱ不安になるんじゃーーー」
楓がそこまで言ったところで、菜穂の目から涙が溢れた。
菜穂の涙を見た楓は「えっ」と焦った表情で菜穂に一歩だけ、歩み寄った。
「どうしたんですか...?すいません、俺今何か嫌なこと言いました...?」
心配そうに見つめる楓に、菜穂は「あっ..ごめん..!何でだろう..はは..」と苦笑して溢れてくる涙を拭った。
「え、先輩?何かあったんですか?」
楓の心配そうに見つめる表情を見たら、わけも分からずまた涙が溢れてきた。
菜穂はその場にしゃがみこみ、声をあげて泣き出していた。
楓は戸惑った様子でしゃがみこみ、菜穂の肩を触れようとした手を止めた。
「...とりあえず、ここじゃ目立ちますし場所変えましょう」
楓はそう言いながら辺りをキョロキョロを見渡した。
菜穂は泣きながら頷いた。
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近くの公園に移動した2人はベンチに座っていた。
1時間程度、菜穂はずっと俯いたまま泣いていた。
楓は隣に座り、ティッシュを渡したり、菜穂が使ったティッシュを受け取ったりしながらただ辺りを見ていた。
菜穂は少し落ち着くと、「ごめん....」と呟いて楓の顔を見た。
「大丈夫ですよ。目、真っ赤じゃないですか」
楓はそう言いながらまた新しいティッシュを差し出した。
菜穂はそんな楓を見るなりまた目から涙が溢れ出し、受け取ったティッシュで目を拭いた。
「え、え、何で俺の顔見て泣くんですかっ」
楓は困惑した表情で菜穂を見る。菜穂は「分かんないっ...!ごめん...!」と言って涙を拭いた。
楓はまた泣き出した菜穂を見て「ええ」と呟き、新しいティッシュを差し出す。
「...何があったんですか?ていうか、何かあったんですか?こんな...只事じゃないですよね?」
楓がそう言うと、菜穂は鼻を啜りながら言った。
「違うのっ...!最近ちょっと色々あって...!楓と話したら何か...安心して..そしたら何か泣けてきちゃっただけで...」
そう言いながら涙を拭う菜穂を見て、楓は不思議そうに顔をしかめた。
「...何ですかそれ、意味わかんないんですけど...ていうか、最近ちょっと色々あったって何です?兄ちゃんと喧嘩でもしました?」
「..喧嘩っていうか、ちょっと誤解されてて..!それもあるけど、色々あって...!」
「誤解...?色々って....」
楓は何も分からないまま首を傾げ、泣いている菜穂を見て「ああもう大丈夫ですか」とまたティッシュを差し出し、濡れたティッシュを受け取った。




