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策略

全部上手くいった。

正直こんなに上手くいくとは思ってなかったけど、みんながあたしの思うように動いてくれた。

桐山楓が使えないならこうするしかない。


菜穂が俯き、何かを隠すように笑った顔を見て、絵里奈は思った。


まず、美優が簡単に人をいじめる奴だってことは知ってた。

現に、クラスの地味な女子に対する態度は最悪で、掃除を押し付けたり、きつい口調でよく話しているのを見てた。


そして美優が、宮村のことを好きだと言うことも知ってた。

だからあえて菜穂がいる場で美優を会話に交ぜ、恋愛の話に誘導した。

口の軽い美優なら必ず宮村のことを話すと思っていた。


思った通り、美優は菜穂やあたし、遥がいる前でも宮村のことを好きだと話していた。

そこで美優や周りの取り巻きに、美優が宮村を好きだという事実を菜穂が知ったことを認識させた。


その後、あたしは宮村に『菜穂が宮村に気があるっぽい』と伝えた。

宮村は元々女好きなことを知っていたし、桐山のことを良く思っていないことも知っていた。

だからこの条件を利用しない手はないと思った。


そうすれば、桐山の彼女である菜穂を奪うことで、桐山を良く思っていない宮村は優越感を得ることができる。

女好きの宮村なら必ず菜穂に対する態度が変わる。

案の定、宮村は今まで以上に菜穂に話しかけることが増えた。


そしてあたしは美優にこう伝えた。


"最近宮村が遠回りして帰ってるから、もしかしたら彼女かも"と。


執着心の強い美優は、気になって余計に宮村を見るようになる。

更には、最近宮村と菜穂が一緒にいるところをよく見て嫉妬していた美優は必ず宮村と菜穂を監視する。


そしてあの写真が撮れた。

まさかあんな良い感じの写真が撮れるとは思ってなかったけど、余計に美優の嫉妬心を煽る材料ができた。


それから美優は菜穂に嫌がらせをするようになる。

でも菜穂はあたしや遥には言わない。

巻き込みたくないとか、偽善をかざすに決まってる。


遥に知られたら面倒だとは思ったけど、幸い遥にも言ってないし、遥は気づいていない。

そして仕上げに、桐山楓のことで元々不安になっている桐山に、相談するフリをしてこの件を持ち掛ける。



******



2日前ーーー。


「桐山っ」


放課後、桐山に他愛もない話も持ち掛けた。

光は「おー橘」といつも通りの笑顔。

絵里奈は普通に話しながら、菜穂の話を

織り交ぜた。


そして弟の話も持ち出すことで、桐山の不安の表情を引き出した。

1年の時からあたしに菜穂のことを相談してる桐山は、あたしを完全に信じきっている。

そしてあたしは桐山の不安な表情を見逃さなかった。


「桐山、なんかあった?菜穂と」


絵里奈がそう言うと、光は「ん?なんでもないよ」と微笑む。


「本当に?何か不安なことがあるなら聞いてあげるよ」


絵里奈がそう言うと、光か苦笑した。


「…何があったってわけじゃないよ。ただ楓のこともあって不安で。この間も家に来た時急に帰っちゃうし何かあったのかなって思っちゃって。それに最近、何かずっとぼんやりしてて、なんかあった?って聞いても話してくれなくて」



来た。菜穂ったら、また桐山のこと不安にさせたんだ?

だめだよ、ちゃんと繋いでおかないとね。

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