そうしないといけない
「菜穂、どうかした?」
一瞬後ろを見て3秒ほど止まっていた菜穂を見て、光は微笑みながら後ろを見た。
少し離れたところに楓と知らない女の子が手を繋いでいる。
光の表情からゆっくりと微笑みが消え、すぐに笑みを浮かべて菜穂を見た。
「....そう、楓ね、彼女できたみたいなんだよね!俺は知らない子だけど菜穂知ってる?」
「えっ!?ああ...うん!前にちょっと話したことある子!....かわいいよね」
菜穂がそう言って微笑むと、光も「そうだね」と微笑んだ。
「楓、あんなに堂々と付き合ってるの初めて見たなあ。中学ん時とか、1年の時はね、俺にバレるのが嫌でコソコソしてたんだよ。あの子のこと、好きなんだなあ」
光がそう言い、菜穂は「だね...!!幸せそうで何よりだよ!」と微笑んだ。
光は菜穂を見て苦笑し、「ねえ、金曜日うち来ない?楓もバイトって言ってたし、湊も合宿だからゆっくりしよ」と微笑んだ。
「うん、行く!楽しみにしてるね」
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そして金曜日、菜穂は光の家へ。
シフトを見ると、確かに楓は21時までバイトが入っていた。
少し安堵しながら、菜穂は「お邪魔しまーす!」と言って中へ。
「そういえば湊くんって私会ったことないから今度会ってみたいなあ!」
階段を上りながら菜穂が言うと、光は「いいね。今度伝えとく」と微笑んだ。
菜穂が階段を上り切ると、光の向かいの部屋が少し中が見えるほど開いていた。
楓か湊くんの部屋だろうなーーーーと思いながら光の部屋へ。
中へ入り、「なんか久しぶりかも」と菜穂は微笑み、ベッドに腰を下ろした。
「そうだね。最近はずっと外でデートしてたもんね。たまには菜穂と2人きりなのも嬉しいなあ」
光はそう言いながら菜穂の隣に座り、菜穂の顔を見つめて微笑んだ。
あ、キスされる。
菜穂がそう思った瞬間、予想通り光はそのまま菜穂にキスをした。
光くんとのキスは優しくて、温かくて、嬉しくて、気持ちいい。
まだ完全には慣れないし、毎回ドキドキする。
もっとしたいと思う気持ちと、この先が怖い気持ちが半分半分。
なのに今日はなんとなく、『もっとしたい』とか『嬉しい』と言うより『先に進んでしまった方がいいのでは』『頭の中を光くんでいっぱいにすれば他に何も考えないのに』と思った。
もちろん単純な興味も、喜びも同じくらいある。
なのにそうしないといけない、と思った。




