ホームセンターのバイト
放課後、菜穂がバイトに行くと楓は既に着替え、メモ帳を見ながらレジをいじっていた。
「おー、桐山くんおはよ」
菜穂がそう言って歩み寄ると、楓は「あ、おはようございます。お腹大丈夫ですか」と言った。
「あ、うん全然大丈夫。忘れてたくらい」
「そうですか、なら良かったです。屈強ですね」
「ええ、なんかやめてくれる?可愛くないじゃん」
菜穂は怪訝な表情でエプロンの紐を結ぶ。
「褒めてるんですけど。男らしいですねって」
「いやそれ褒めてないから。むしろ貶してるって言うか。てか!高校一緒だったなら言ってよ~」
「それ昼間も聞きましたが」
「念押し!てかそうじゃなくて!コミュニケーションじゃんっ!」
「別に今日知ったんだし何でも良くないですか。じゃあ次見かけたら話しかけてあげてもいいですよ」
「うわあ~...上から目線」
「え、そう言って欲しかったんじゃないですか」
「可愛くなーい....」
田舎にあるホームセンターは特段忙しくない。
というか暇すぎてバイト中ずっと品出しをしていたり、観葉植物の葉を拭いていたりすることも多い。
「…暇っすね」
誰も来ない入口の自動ドアを見つめ、横並びで菜穂の隣に立っている楓が呟いた。
「だねえ。まあ、いつもこんな感じだから慣れるよ。てか楽だよ」
「まじですか、最高ですね。って言っても時間長く感じるんで何かすることないですか?」
楓に言われ、菜穂は「んーそうだなあ」と呟き、園芸コーナーの棚を見た。
「よし、じゃあ品出ししよう!」
菜穂はそう言って園芸コーナーの方へ歩き出し、「はい」と言って楓も後に続いた。
「じゃあ倉庫から商品持ってくるから、桐山くんはここで待ってて」
菜穂はそう言って倉庫へ。園芸用の砂を3つ抱え、楓の元へ。
「じゃああそこの砂を取って、スペース開けてからこの砂を入れよう!」
菜穂はそう言って棚を見ながら指示をした。楓は「はい」と言って脚立を出し、上の方にある砂を1袋引っ張った。
「重っっ…!」
楓はそう言いながらゆっくり脚立を降り、取り出した砂を床に置き、息を吐いた。
「あ、もう2袋あるよ。あ、私取っちゃうわ。新しいやつ梱包開けといて」
菜穂はそう言って微笑み、自分が脚立に登って砂に手を掛けた。
2袋持ち上げ、ゆっくり脚立から降りて砂を下ろした。
そんな菜穂を見た楓はキョトンとした表情で「化け物ですか」と呟いた。
「え?」
菜穂が不思議そうに楓を見ると、楓はもはや引いてるくらいの表情。
「俺1袋でも重くて死ぬかと思ったんですけど。これ8kgって書いてありますけど。先輩そんな小さい体であの高さから16kgの砂どうやって引っ張ったんすか」
楓に言われ、菜穂は「え、桐山くんが力ないんじゃないのー?」と笑った。
「やっぱ男らしいですね。まじ尊敬します」
「オイ」




