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喧嘩でもしてんの?

その夜、寝る準備も終えて湊が部屋でスマホをいじっていると、「湊〜」と言って楓が入ってきた。


「なにー?」


湊が言うと、楓は湊の部屋の本棚を見ながら「漫画読み終わったから続き貸して」と言った。

湊は「いいけど読んだなら前のやつ返してよっ。楓兄めっちゃ借りパクしてるでしょ」と目を細めた。


「あ、ごめんごめん。後で持ってくるー」


楓はそう言いながら本棚の前にある椅子に座り、本棚をいじり始める。

湊は少しニヤニヤしながら楓を見て言った。


「ねえ、楓兄と光兄、喧嘩でもしてんの?」


少し小さめの声で茶化すように言う湊に、楓は「え」と呟いて湊の方を見た。


「なんで?してないけど」


楓が言うと、湊は「ふうん?」とニヤニヤ。


「なーんかただならぬ空気だったけど?さっき」


「え、別に普通じゃない?何が?」


「兄ちゃんの彼女の話とかあ、楓兄の好きな子の話とか?ギッスギスで俺気まずかったんだけど〜〜」


言われ、楓はキョトンとした表情を浮かべた。


「いや、別にそんなつもりないけど」


「楓兄がそんなつもりなくても、光兄はどうだったかな?ま、両方目が怖かったけど〜。ねえ何かあったの?教えてよっ」


湊は面白がるように言った。


「いや、残念だけど何もないって」と楓。


「えー、何で隠すのー。教えてくれたっていいじゃーん?えーなんだろ…あ、もしかして光兄の彼女と、楓兄の好きな子が一緒とかっ?!え、ベタ過ぎ???まさか過ぎ??でもあの空気はなあ〜〜〜」


湊は一人で楽しそうに言った。

楓はコイツこわ…と思いながら、「…そんなわけないでしょ」と言ってまた本棚に視線を移した。


「んーでもさあ、今日だけじゃなくて最近ずっと楓兄と光兄ギスギスしてるし、気になるじゃん?」


湊にそう言われ、楓は「えっ、そんなに?」と意外そうに湊を見た。


「え、うん。え、え、逆にあれで2人とも普通だと思ってたの?こっわ、バレバレだよ」


「まじで...」


「ま、楓兄が教えてくれないなら光兄に聞いちゃおっかなー?」


湊が言うと、楓は勢いよく振り返り「それはだめっ」と言った。

楓の顔を見て、湊は少し息を吐いた。


「ふうん?その焦りよう見ると原因は楓兄の方か」


満足気にそう言う湊に、楓は「やめろよ..」と呆れた表情を浮かべた。


「俺が聞いてあげるのにぃ」


「クソチャラ弟に相談するほど困ってないわ」


「そのクソチャラ弟に気遣わせてるのはお兄ちゃん2人でしょ~~」


湊にそう言われ、楓は「ごめんて」と呟く。


「ま、いいけど。俺はどっちの味方でもないし~~」


湊はそう言うとベッドに横になり、スマホをいじり始めた。



******



【今日はありがとう!楓くんと一緒に見れて嬉しかった!】

【良かったら来週、一緒に帰りませんか....?】


楓は自分の部屋に戻り、飛鳥からのメッセージを見つめた。


この子、俺のこと好きなんだろうなあ。

飛鳥ちゃんかあ。まあ結構かわいいし、いい子そうだし、何より俺のこと見てくれるし。

この子を好きになったら楽しいだろうなあ。

って自意識過剰か。


楓はそんなことを思いながら【いいよ】と返信し、飛鳥とのトークを閉じた。


ゆっくりとトークをスクロールし、《菜穂》とのトークを開き、アイコンをタップした。


早速文化祭の時に撮った遥との写真をアイコンにしていた。

派手な格好に全開笑顔の菜穂の写真を見て、楓は溜息をついた。



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