好きな子
その日の夜、文化祭が終わり、楓が家に帰ると家の前で光と会った。
「おおっ、楓。おかえり」
そう言いながら光は門を開けた。光に続き、楓も「ただいま。兄ちゃんもおかえり」と言って2人は家に入った。
楓は自覚してしまった手前すぐにでも部屋に行きたい気持ちを抑え、光に続いてリビングへ。
「あ、2人ともおかえり~~」
そう言ったのは、2人の弟の湊。
「ただいま」と2人は言って楓は湊がいるソファへ。光はダイニングテーブルの前の椅子へ。
「母さんは?仕事?」
楓が湊に言うと、湊は「うん。病院に呼び出されたってー。でそのまま明日勤務だから、明日の夜帰るって」と答えた。
母は看護師で、父は単身赴任で基本家にいない。
「へー」と楓。
「ねえ湊、明日友達の家行くって言ってたよね?楓も遊びに行くって言ってたよね」
光はそう言って2人を見た。
「うん~」と楓。
「俺もー。なんで?」と湊。
光は「明日彼女が家に来るから、一応確認?」と微笑んだ。
楓は一瞬どこか気まずい表情。
「えー光兄の彼女―?3年の先輩でしょ?見たかったあ。ねえ?楓兄」
湊はそう言って楓を見た。楓は「ああ..俺は会ったことあるよ」と答える。
「まじで!可愛い??俺まだ見たことないんだよね~。たまに探してるんだけどっ」
「あー..うん」
楓は何と答えていいか分からず、小さな声で呟いた。
光の顔を見るのが怖かった。
「すーっごい可愛いよ」と光は微笑んだ。
「へえー!そうなんだ!今度3年の教室見に行こーっと」
湊は呑気に光に言った。
「ねえ、楓兄は彼女いないのー?」
湊に言われ、楓は「あー残念ながら」と苦笑した。
「えー好きな子は?いないの???♡」
湊の何気ない一言で、楓も光も同時に内心ギョッとした。
互いに、互いの気持ちが分かるような気になった。
楓が「...いないよ」と言うと、湊は「え~~つまんな~~」と口を尖らせた。
すると、意外にも光が口を開いた。
「あれ、楓、今日一緒に花火見てた子は?てっきり好きな子できたんだと思ったけど」
言われ、楓は「え...?」と光を見た。
「...違うの?」
光はそう言って真っ直ぐ楓を見た。楓が何も答えずにいると、見つめ合った兄たちを見た湊は、空気がおかしいことに気づき口を開いた。
「...え、な、なにー??楓兄、今日女の子といたの??♡」
湊に言われ、楓は「あ、まあ」と苦笑した。
「ふーっ!2人ともやるじゃーんっ!♡」
1人でハイテンションな湊に、光は「湊は好きな子いるの?」と微笑んだ。
「えー今はいなーい。前付き合ってた子には無視されるしー。あ、でも今日花火一緒に見た子は絶対俺のこと好きだね~付き合わないけど」
「クソだなお前」と楓。
「だって誘われちゃったんだもーん。来るもの拒まずだよ。てか光兄と楓兄が真面目過ぎなんだよっ」
湊はそう言ってスマホでゲームを始めた。




