視線の先
一方、菜穂は光と無事合流し、この日は校舎から一緒に会場まで移動していた。
歩きながら光は菜穂の手を繋ぎ、菜穂は恥ずかしそうに「ちょ、みんな見てるよ...!?」とコソっと言った。
光は微笑みながら「えー、だめ?」と菜穂を見た。
「う、ううん...!!」と菜穂は恥ずかしがりながら手を握り返した。
後ろから来た同級生たちに「うわっ!光と汐崎が手繋いでる~~~~♡」「ラブラブじゃん♡」「イチャイチャすんなよ~~」と茶化されながら、2人はグラウンドを移動した。
「ねえ菜穂。明日うち来ない?記念日だったからデートしよ?」
光に言われ、菜穂は「え、うん!楽しみ」と言ったところであることが頭を過った。
ーーーー光くんの家ってことは、楓もいるんだよね?
話し声とか聞こえるんじゃ?
一瞬そんなことを考えて、光は何かを察したように「明日誰もいないから、2人でゆっくりしよ」と微笑んだ。
菜穂は「えっ?あ、うん!楽しみ」と微笑んだ。
それからも話しながら会場に着き、光と一緒に縁石に座った。
「もうすぐだね」と光に言われ、菜穂は「だね!楽しみ!」と微笑んでふいに辺りをキョロキョロ見渡した。
カップルがいっぱいいて、同級生たちの姿もいっぱいある。
そんな中、菜穂の視界に楓が入った。
隣には体育祭の時、菜穂がバスケットボールから守った女の子。楽しそうに話す2人を見て、なぜか一瞬、胸がチクッとなった。
菜穂が呆然と楓を見つめると、視線に気づいたかのように楓も菜穂の方を見た。
目が合って、ドクンと鳴った心臓の音を掻き消すかのように、その瞬間に花火が上がった。
「すっごい綺麗だ...ね」
光はそう言って笑顔で菜穂を見た。
菜穂が明らかに空ではなく、別の方向を見ていることに気づき、視線の先を見た。
光は一度眉をひそめ、すぐに笑顔を浮かべた。
「菜穂」
言われ、菜穂は「あっごめん!綺麗だね~~!」と微笑み空を見上げた。
光は「...そうだね」と既に空を見ていた楓から目を離し、優しく微笑んで空を見た。




