↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/133

絵里奈

入学式の日、出会った瞬間に好きになった。

その顔も、声も、差し伸べてくれた優しい手も、一瞬で好きになった。



******



1年半前。

絵里奈は入学式の日、慣れないローファ走り、足が痛くなって校門の前で転んでしまった。

クスクスと笑われる声に、初日から恥ずかしくなった。

そんな時、声を掛けてくれた人がいた。


「大丈夫?」


声が聞こえて上を向いたら、まったく知らないあたしのことをまるで友達のように、家族のように、恋人のように心配してくれている表情で、優しく手を差し伸べてくれた男の子。


それが桐山光という名前だと、後から知った。


「あ、ありがとう…」


絵里奈は恥ずかしそうに手を握り、光は微笑んで立ち上がらせてくれた。

と思えば、散らばった絵里奈の私物を拾い、カバンに入れた。


「靴、慣れないよね。俺も今日何回も転びそうになっちゃってさあ、そしたらこんな時間ギリギリ」


苦笑してカバンを渡してくれた彼は、「1年生?」と微笑みながら一緒に歩き出した。


「う、うん…!」


「そっか。俺も1年だから、クラス一緒になれるといいなあ。これからよろしくね」


そう言って彼は優しく微笑んでくれた。



******



入学してからすぐに彼を見つけた。

奇跡的にクラスが一緒で、"桐山光"という名前だと言うことを知った。

嬉しくて胸が弾んだ。


最初のイメージ通り、桐山はかっこよくて、頭も良くて、スポーツも得意で、誰にでも優しい。

すぐに人気者になって、話しかけられなかったあたしは、ますます距離を感じた。


そんな時、仲良くなる方法を見つけた。

それが菜穂だった。


最初から親しかったわけじゃない。

でも、誰とでもヘラヘラ話す菜穂は、桐山ともよく話していた。

菜穂と仲良くなれば桐山に近づけるーーー。


それから菜穂と仲良くなるのに時間はかからなかった。

最初から誰にでも良い顔をしてる菜穂は、あたしを疑うわけもなく自然と一緒にいる時間が増えた。


もちろん最初から嫌いだったわけじゃない。

可愛いと思ったし、優しくて、穏やかで、いつも笑ってて、良い子だと思った。


でもあたしにはそんな菜穂の優しさは偽善に見えて、八方美人だと思ったし、裏で何考えるか分からない奴だと思った。


あたしが捻くれてるってことくらい分かってる。

でもどうしても菜穂みたいな子を見ると無性に腹が立った。

それで桐山と話す機会も増えて、連絡先も交換できた。


順調だと思った。なのにーーーーー。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。