絵里奈
入学式の日、出会った瞬間に好きになった。
その顔も、声も、差し伸べてくれた優しい手も、一瞬で好きになった。
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1年半前。
絵里奈は入学式の日、慣れないローファ走り、足が痛くなって校門の前で転んでしまった。
クスクスと笑われる声に、初日から恥ずかしくなった。
そんな時、声を掛けてくれた人がいた。
「大丈夫?」
声が聞こえて上を向いたら、まったく知らないあたしのことをまるで友達のように、家族のように、恋人のように心配してくれている表情で、優しく手を差し伸べてくれた男の子。
それが桐山光という名前だと、後から知った。
「あ、ありがとう…」
絵里奈は恥ずかしそうに手を握り、光は微笑んで立ち上がらせてくれた。
と思えば、散らばった絵里奈の私物を拾い、カバンに入れた。
「靴、慣れないよね。俺も今日何回も転びそうになっちゃってさあ、そしたらこんな時間ギリギリ」
苦笑してカバンを渡してくれた彼は、「1年生?」と微笑みながら一緒に歩き出した。
「う、うん…!」
「そっか。俺も1年だから、クラス一緒になれるといいなあ。これからよろしくね」
そう言って彼は優しく微笑んでくれた。
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入学してからすぐに彼を見つけた。
奇跡的にクラスが一緒で、"桐山光"という名前だと言うことを知った。
嬉しくて胸が弾んだ。
最初のイメージ通り、桐山はかっこよくて、頭も良くて、スポーツも得意で、誰にでも優しい。
すぐに人気者になって、話しかけられなかったあたしは、ますます距離を感じた。
そんな時、仲良くなる方法を見つけた。
それが菜穂だった。
最初から親しかったわけじゃない。
でも、誰とでもヘラヘラ話す菜穂は、桐山ともよく話していた。
菜穂と仲良くなれば桐山に近づけるーーー。
それから菜穂と仲良くなるのに時間はかからなかった。
最初から誰にでも良い顔をしてる菜穂は、あたしを疑うわけもなく自然と一緒にいる時間が増えた。
もちろん最初から嫌いだったわけじゃない。
可愛いと思ったし、優しくて、穏やかで、いつも笑ってて、良い子だと思った。
でもあたしにはそんな菜穂の優しさは偽善に見えて、八方美人だと思ったし、裏で何考えるか分からない奴だと思った。
あたしが捻くれてるってことくらい分かってる。
でもどうしても菜穂みたいな子を見ると無性に腹が立った。
それで桐山と話す機会も増えて、連絡先も交換できた。
順調だと思った。なのにーーーーー。




