目的
翌日も文化祭2日目で、菜穂と光は昨日のことなどなかったかのように一緒に文化祭を回ったり、写真を撮って楽しんでいた。
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「楓ーっ!軽音部のライブ見に行こー」
和葉に言われ、楓は今日も昨日と同じコスプレで看板を持ちながら「宣伝終わったらねー」と答えた。
「めんどいよなァ〜〜今日くらい自由にさせて欲しいって言うかァ〜〜」
和葉はそう言いながらポケットに入れている100円ショップで買ったおもちゃの手錠をカチャカチャといじっていた。
その時、楓は遠くに何かを見つけ、「あ、ごめん和葉。ちょっとだけ一人でお願い」と言って看板を和葉に押し付け、1人歩き出した。
和葉は「えっおい!ずるいぞ〜!一人で遊ぶつもりかよーっ!」と言ったが、楓には聞こえていなかった。
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「ちょっといいですか」
楓は壁に手をつき、目の前を見下ろして言った。
楓に阻まれ、足を止めたのは絵里奈だった。
絵里奈は楓を見るなり少し笑った。
「…なに?あたし逮捕でもされんの?」
絵里奈がそう言うと、楓は絵里奈を睨むように見た。
「ふざけてる場合かよ。あんたどういうつもり?」
楓に言われ、絵里奈は「…何が?」と少し笑った。
「昨日、菜穂先輩が怪我したから教室に行って欲しいって、何で俺に言った?」
楓がそう言うと、絵里奈はクスッと笑った。
「菜穂、大丈夫だった?」
「ふざけんなよ。わざとだろ。菜穂先輩は怪我なんかしてなかったし、その場に兄ちゃんが来るなんてどう考えても偶然じゃないだろ。あんたが俺ら集めたんだろ」
「どうしてあたしがそんなこと?」
「知らねーよ。何が目的?あんた菜穂先輩といつも一緒にいるよね。何でこんなことすんの?」
楓はそう言って絵里奈を睨んだ。
絵里奈は不機嫌な表情を浮かべ、楓を見上げた。
「…何でもっと上手くやってくんないの?」
絵里奈に言われ、楓は「は?」と顔をしかめた。
絵里奈はため息をついて続けた。
「本当はこんな面倒臭いことしたくなかったけど、あなたがいつまでも良い子ぶって菜穂に手出さないからこんなことになったんじゃん」
絵里奈の言葉を聞き、楓は更に顔をしかめた。
「は…?あんた何言ってんの?」
「あなたが菜穂に手出してたら、桐山は菜穂と別れるでしょ?本当使えない男」
「…もしかしてあんた、兄ちゃんのこと好きなの?だから菜穂先輩と別れさせようとしてあんなこと?」
楓がそう言うと、絵里奈は口を尖らせて言った。
「…仕方ないじゃん。まさか菜穂が桐山と上手くいくだなんて思ってなかったんだからさ。桐山がそんなに趣味悪いと思わなかった」
「は?あんた菜穂先輩と仲良いよね、何でそんなこと言えんの?」
「はあ?仲良い?あたしが?あんなバカで、調子乗った奴のことなんか1年の時から大っ嫌いよ。能天気で、いっつもヘラヘラしてて、あんなののどこがいいのかさっぱり分かんない…!」
絵里奈は不機嫌に言い放った。
楓は少し口を開け、「…あんた最低だな」と呟いた。




