逆だと思うけど....
「ただいま...」
菜穂が家に帰ると、リビングに礼実がいた。
「あ、お姉ちゃんおかえり~。桃食べる?」
礼実はそう言いながらテーブルの上にある桃を手に持った。
菜穂は「ううん、大丈夫。ありがと」と苦笑し、そのまま階段を上がって行った。
礼実は菜穂の背中を見て首を傾げた。
菜穂は部屋に入り、荷物を投げてすぐにベッドに横になった。
今日の楓の言動、行動、表情1つ1つが脳裏から離れない。
『俺は大丈夫です』と言った時の悲しそうな表情。去っていく背中。
なんでこうなっちゃうんだろーーーーーーーーーー。
菜穂は枕に顔を埋めて「んん~~~~!!!!!!!」と1人でバタバタ。
すると「お姉ちゃーん?」と声と同時にドアがノックされた。
菜穂は顔を上げ、「んー?」と答えた。
すると礼実がドアを開け「お姉ちゃん」と部屋に入って来た。
「どうしたのー?」
菜穂はベッドの上に起き上がり、不思議そうに礼実を見た。
「んー?お姉ちゃん、いつもうざいくらいハイテンションなのに今日元気なかったから話聞いてあげようと思って」
礼実に言われ、菜穂は「礼実~~~~~!」と目をうるうる。
******
「なるほどねえ..光先輩にばれちゃったんだ」
礼実にすべて話すと、礼実は眉をひそめた。
「うん...まあ、嘘ついた私が悪いんだけどね」と菜穂は俯く。
「まあ、そりゃね?嘘ついたのは悪かったと思うけど~~....」
ーーそんなに怒ることかな?弟がたまたま傍に居合わせて送ってくれたってだけなら。
やっぱり光先輩もなんとなく感じてる...?
礼実はそう思いながらも口には出さず、「でも、何で光先輩は知ってたんだろうね?私と、お姉ちゃんと楓君しか知らないのに」と言った。
「え?ああ、まあ言われてみれば....?」
菜穂はキョトンとした表情で言った。
「楓くんが誰かに話したとは思えないし...」と礼実。
「まあ、何となくそう思ったのかも知れないし、それはいいんだけさあ」と菜穂。
礼実は疑問を捨てきれないまま「うん?」と菜穂を見た。
「楓、なんかすっごい傷ついた顔してたし...私のせいで勝手に巻き込まれて迷惑だって思ってるよね...嫌われたかなあ...ちょっと怒ってるみたいだったし」
菜穂がそう言うと、礼実は「うーん...それはむしろ逆っていうか...」と呟いた。
「逆って?」
「あ、ううん何でもない。でも、そんなことで嫌いになるような関係だったら最初からなんで避けてるのなんて聞いてこないよ。お姉ちゃんと話すのが楽しいから悲しくはなったと思うけど。まあ...理由が理由だから仕方ないんだけどね」
「そうかなあ...これからどうすればいいんだろう~~~....」
菜穂が珍しく悲観的になっているのを見て、礼実は「んー...」と呟いた。




