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そういう顔しちゃだめ

「先輩前に俺に言ったよね。俺と話すのが楽しいから親しくしてるんだって。今は楽しくなくなったから避けてるの?」


楓にそう言われ、菜穂は「ちがうっ!」と言った。

楓は少しだけ目を見開いてからすぐに表情を戻し、「じゃ何で?」と言った。


「それは.....」


菜穂はそれだけ呟いて俯いた。

そんな菜穂を見て、楓は少し間を置いてから口を開いた。


「...もしかして兄ちゃんに何か言われた?俺と話すなって?」


言われ、菜穂は「えっ」と呟いた。


「...そうなの?」


楓は自分で言っておきながら意外そうに言った。


菜穂は「ああ、いや...話すなとは言われてないよ..?ただ、ちょっと気にしてたみたいだから私がそうしようって決めたの。ごめん、変な態度とって嫌な気持ちになっちゃったよね」と楓を見上げた。


そう言うと、楓は静かに菜穂の腕を離した。

菜穂は楓の手を見てからゆっくりと楓の顔を見上げた。


「...分かりました。俺の方こそ、しつこくしちゃってすいませんでした。すいません、2人の邪魔しちゃって」


楓はそう言って菜穂の横を通り過ぎて歩き出した。

菜穂は「えっまって!」と言って楓の前に小走りで行き、「邪魔なんて思ってない..!」と必死に言った。


楓はそんな菜穂の顔を見て、「だめですよ、そういう顔しちゃ」と呟いた。


菜穂が「え?」と言うと、「俺、2人のこと応援してるんです。なので俺は大丈夫です。気にしないでください。それじゃ」と言ってまた歩いて行った。

菜穂は「えっ」と呟き振り返り去っていく楓を追いかけようとして足を止めた。



******



楓は家に帰ると、リビングにいたてんぷらを抱っこし、ソファに腰かけた。

するとだいふくも楓の横に来て、楓はてんぷらとだいふくを撫でながら溜息をつき、軽く髪を掻いた。



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